CachyOS、ShellyをC#からZigに全面書き直し。Server Editionも始動

4月にC#で導入したGUIパッケージマネージャーが、もうZigで書き直された。kernel-managerとシステムトレイもRustに移り、Server Editionの実験的プロファイルが投入された。

CachyOS、ShellyをC#からZigに全面書き直し。Server Editionも始動

4月にC#で導入したGUIパッケージマネージャーが、もうZigで書き直された。kernel-managerとシステムトレイもRustに移り、Server Editionの実験的プロファイルが投入された。


4ヶ月で言語を乗り換える

CachyOSの2026年8月リリースが現地時間8月9日に公開された。今年5回目のISOリフレッシュになる。

目を引くのは、GUIパッケージマネージャー「Shelly」の全面書き直しだ。4月のリリースでOctopiに代わる既定ツールとして導入されたShellyは、C#と.NET 10で書かれていた。それが今回、Zigに移行した。パッケージ管理エンジン、CLI、GTK4デスクトップアプリ、キーリングツールのすべてがネイティブバイナリになり、.NETランタイムへの依存がなくなった

開発元のSeafoam Labsは7月29日にShelly 3.0としてリリースしており、CachyOSの8月ISOにはその最新版が組み込まれている。

デスクトップアプリには初回起動時のウェルカム画面が加わり、パッケージ一覧をリスト表示とグリッド表示で切り替えられるようになった。AURのPKGBUILDをプレビューでき、ビルド出力もそのまま確認できる。データベースの同期、キャッシュの掃除、孤立パッケージの削除はUtilitiesページ(ユーティリティ)に集約された。

CLI側も作り直された。リポジトリとAURの検索が統合され、リポジトリ・AUR・AppImage・Flatpakの更新を一括でチェックできる。バックアップのインポートとエクスポートはTOML形式で対応した。Flatpakサポートはオプションのshelly-flatpak-backendパッケージとして分離されている。

C#で書いたものをZigで書き直す。判断としては速い。4月に採用した言語を8月に捨てるのは、普通なら互換性リスクを嫌って避ける決定だ。だがCachyOSはパフォーマンスを最優先に据えるディストロとして、マネージドランタイムを挟む構造そのものを不要と判断した。Zigを採用した実運用アプリケーションの中でも、ユーザーに直接触れるGUIツールをZigで出荷した例は珍しい

バックエンドがRustに移る

Shellyと並行して、CachyOSは複数のバックエンドをRustに書き直している。

chwd(CachyOS Hardware Detection)のkernel-managerバックエンドがC++からRustに移行し、chwd-kernelに直接統合された。Cachy-UpdateはArch-Update v4.x系にリベースされ、システムトレイのアプレットもRustで再実装された。--check --enableオプションで自動更新チェックの有効化とトレイの起動をワンステップで済ませられるようになり、トレイの表示件数はTrayUpdatesPerPageで設定できる。既定のチェック間隔は6時間に引き上げられた。

ユーザー向けアプリケーション層にZig、カーネル境界やバックグラウンドサービスにRust。1つのディストロが2つの非C言語を使い分ける体制が、8月版で固まった。

Server Editionの下地づくり

CLIインストーラーに、Server Editionの実験的インストールプロファイルが追加された。

CachyOSがサーバー向けの展開を計画していることは2025年末に明らかにされていた。NASやホスティング環境を想定し、ハードニング設定とパフォーマンス最適化パッケージを組み合わせた構成が予告されている。今回のプロファイルはその第一歩で、CLIインストーラーでの修正やリファクタリングもサーバー対応の準備に含まれる。

ローリングリリースのサーバー運用には安定性の懸念がつきまとう。だがCachyOSの売りはパフォーマンスチューニングにある。デスクトップで培った最適化をサーバーワークロードに展開する狙いは、筋が通っている。

デスクトップ周りの変更

インストーラーではHyprland環境のログインマネージャーがSDDMからnoctalia-greeterに切り替わり、CinnamonのLightDMグリーターはlightdm-slick-greeterに変更された。GNOMEにはgvfs-dnssdが、COSMICにはcosmic-monitorが追加されている。

Noctaliaにはmango(Waylandコンポジター)とniri(タイリング型Waylandコンポジター)のバリアントが加わり、Hyprland dotfilesがNoctalia v5に対応した。Nord KDEテーマはPlasma 6.7向けに更新されている。

CachyOS-WelcomeではDNS処理が見直され、速度テストに基づくサーバーランキングが正しく機能するようになった。cachyos-rate-mirrorsはCachyOS独自のミラーリストAPIを使ったランキングに切り替わり、古いミラーや地域ミラーの順位付けが改善されている。ハンガリーにTier 2ミラーが新設された。

cachyos-settingsではnice値のチューニングがlimits.dに追加され、PipeWireのエラーに対処した。

chwd側のバグ修正として、board_name DMIファイルが存在しない環境でのエラー処理、仮想マシン環境の検出精度、pacman引数のクォートが改善されている。ハンドヘルドデバイスの検出もboard_nameのパターンマッチで強化された。

ゲーミングガイドのWikiも大幅改訂され、最新のproton-cachyos-slrで不要になった旧起動オプションが削除されている。

既存ユーザーはsudo pacman -Syuで更新できる。手動変更は不要だ。

CachyOS 2026年の技術シフト
2026年1月
Wayland標準化、SDDM廃止
ログインマネージャーをPlasma Login Managerに移行。X11を既定から外す
2026年4月
Octopi退役、Shelly導入(C#)
GUIパッケージマネージャーを刷新。.NET 10ランタイムに依存
2026年7月
Shelly 3.0公開(C#→Zig全面書き直し)
マネージドランタイムを排除しネイティブバイナリに移行。開発元Seafoam Labs
2026年8月
kernel-manager→Rust、Server Editionプロファイル
システムトレイもRustに移行。CLIインストーラーにサーバー向け実験的プロファイルを追加
※1月・4月は過去リリースの内容。3月(Handheld Edition刷新)・6月(Noctalia導入)は省略

8ヶ月で5回のリリース。その間にGUIパッケージマネージャーを入れ替え、さらにその実装言語まで書き直し、2つのバックエンドをRustに移し、サーバー進出の布石を打った。このディストロの動く速度は、ローリングリリースの枠を超えている。

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