GALAX消滅報道、当事者が動画で正面から否定

先週世界中の技術メディアを駆け巡った「GALAXがGPU市場から撤退」というニュースは、内部の連絡ミスから生まれた誤報だった。当事者本人がX上の動画で公式文書を読み上げ、ブランドの存続を明言した。

GALAX消滅報道、当事者が動画で正面から否定

先週世界中の技術メディアを駆け巡った「GALAXがGPU市場から撤退」というニュースは、内部の連絡ミスから生まれた誤報だった。当事者本人がX上の動画で公式文書を読み上げ、ブランドの存続を明言した。

先週世界中の技術メディアを駆け巡った「GALAXがGPU市場から撤退」というニュースは、内部の連絡ミスから生まれた誤報だった。当事者本人がX上の動画で公式文書を読み上げ、ブランドの存続を明言した。


「GALAXは終わらない」、当事者が動画で公式文書を読み上げる

GALAXの消滅報道は誤報だった。Palitとの統合過程で生じた内部の連絡ミスが、世界中の技術メディアを巻き込んだ騒動の発端だ。今、当事者本人が動画で正面から否定している。

ことの始まりは4月29日。WccftechがGALAX Brazilから流出した社内通知を独占スクープし、「PalitがGALAXの全業務を引き継ぎ、グローバルチームは解散される」と報じた。VideoCardz、Tom's Hardware、Tweaktown、TechPowerUp、Igor's Labなど主要な技術メディアが一斉に追随し、「30年の歴史を持つGPUブランドの終焉」として広まった。AIブームによる原材料供給の逼迫、EVGAに続くAIB(Add-in Board、グラフィックスカードを製造するNVIDIAやAMDのパートナー企業)パートナーの脱落、そんな文脈で語られた。

ところが、5月6日にWccftechが続報として伝えたPalit/GALAXの公式声明は、その認識を真っ向から覆すものだった。

GALAXは事業を停止しません。当社は高性能ハードウェアの開発・製造・サポートに引き続き全力で取り組みます。製品ロードマップは予定通り進行しています。

声明の主役は、ブラジルのGPUコミュニティで絶大な影響力を持つロナウド・ブアサーリ氏だ。彼はGALAX Brazilのリーダーであり、オーバークロック世界チャンピオンとして著名なTecLabの創設者でもある。RTX 3080で2340MHzの世界記録を打ち立てた、まさに「GALAX HOFシリーズ」を語る上で外せない人物だ。HOFはHall of Fameの略で、極限のオーバークロック向けに設計された最上位グラフィックスカードのラインナップを指す。

誤報の連鎖を生んだ「内部の連絡ミス」

声明によれば、ブアサーリ氏が受け取った情報そのものが間違っていたという。

当社の内部での誤解により、誤った情報が彼に共有されました。記録を正したいと思います。

つまり、GALAXの組織再編が進む中で、ブラジル支部のリーダーであるブアサーリ氏のもとに「ブランドが消滅する」という誤った内部連絡が届いた。彼はそれを受けて顧客向けの通知を出し、X上でも状況を報告。それを起点として、技術メディアが「GALAX終了」のストーリーを構築していった、ということになる。

ブアサーリ氏自身もX上で動画を公開し、ファンに向けて公式文書を画面に映しながら読み上げた。Wccftechが日本語訳に近い英訳で紹介している内容は、おおむね次の通りだ。

こんにちは、皆さん。重要な訂正をしに来ました。最近、Galaxが終わった、Galaxが閉鎖された、Galaxはもうブラジルには存在しない、という大きな誤報が広まりました。多くの方からメッセージをいただいたので、こう答えていました。「落ち着いて、公式文書を持ってきますから見てください」と。

動画の中で彼は紙の文書をカメラに見せ、Palit & GALAXの正式な署名入り声明を読み上げる。「GALAXはグラフィックスカード市場から撤退するのではなく、最高の製品を生み出すために動いている」、「GALAX、KFA2、HOFの管理機能はPalit Group本社に統合中だ」、「現世代GPUへの対応は万全で、次世代の準備にも入っている」。

そして締めくくりにこう述べている。

Galaxは続く、TecLabは強く続く、パートナーシップは続く。信じてくれた皆さんに感謝します。疑った人は、今、結果を見たでしょう。

Tom's Hardwareへの名指し批判、メディアの責任問題

ブアサーリ氏の動画には、もう一つ見過ごせない要素がある。Tom's Hardwareへの名指しの批判だ。

Tom's Hardwareは続報で「ブアサーリ氏のX投稿は削除されている(now-deleted X post)」と書いた。しかし当人は、投稿を削除した事実はないと明言している。X上のPC Facts(@PCFactsbr)も「ブアサーリ氏が投稿を削除したと報じた記事は事実誤認だ」と、当該投稿のスクリーンショットを添えて反論している。

これに対しブアサーリ氏は、PC Facts投稿への引用ポストでこう応じた。

Tom's Hardware é uma vergonha. Sua simples prova já demonstra! @PCFactsbr Rocks!(Tom's Hardwareは恥ずべきだ。証拠が物語っている。@PCFactsbrは最高だ)

ポルトガル語の短い宣言だが、温度感は明確だ。事実を確かめずに「投稿が削除された」と書いた媒体に対する、当事者からのカウンターパンチである。

誤報はどこで生まれ、どこで増幅されたか

ここで一度、時系列を整理しておきたい。

4月23日にPalitからGALAX Brazilに「4月27日までに業務を閉じてほしい」という内部通知が届く。4月29日、ブラジル法人を通じて「PalitがGALAXの全業務を引き継ぐ」という顧客向け通知が出回る。この時点で「ブランド消滅」と読める文面になっていた。同日、Wccftechがこれをスクープし、世界中の技術メディアが追随。Igor's Labは「30年続いた独立運営の終焉」と評し、Tech Critterは「ブランドの魂は失われた」と書いた。

そして4月30日、PalitとGALAXが公式声明で「ブランドは消えない、組織再編に過ぎない」と訂正。これを受けて5月1日、Notebookcheckなどが「business as usual(通常営業)」というタイトルで続報を出す。

この一連の流れを見て分かるのは、最初の社内文書の文面が誤解を招く形だったこと、そしてそれが当事者本人にも誤って伝わっていたという二重の問題だ。誰か一人の悪意でも怠慢でもなく、組織再編期の連絡経路の混乱が、世界中のメディアを巻き込む規模の誤報に発展した。

声明を素直に読めば、PalitもGALAX Brazilも被害者ということになる。声明はブアサーリ氏について「変更が行われた時点で誤った情報を与えられていた。共有された誤情報は、GALAXが事業を停止しブランドが消滅するという内容だった」と明記している。だが、ブアサーリ氏ほど影響力を持つ人物が動かなければ、世界中の読者は今もGALAXが消えたと信じていただろう。誤報は出回るのは速いが、訂正は思った以上に届きにくい。当事者本人がカメラの前に立つことで、ようやく訂正が元の記事の読者まで届いた。

結局、何が変わって何が変わらないのか

整理すると、現実の変化はこうだ。GALAXは独立した子会社としての運営をやめ、Palit本社の直轄ブランドになる。KFA2とHOFも同じく直轄管理へ移行する。ブランドは続く。製品も続く。HOFシリーズの極限オーバークロック向けGPUも、KFA2のヨーロッパ展開も維持される。

変わるのは管理体制と、おそらくは一部の社員の雇用だ。TechPowerUpのコメント欄では「ブランドが残ってもチームが残らないなら意味がない」、「実体のない名前だけが残る」という冷ややかな声もある。たしかに、HOFという名前が「白いPCBと液体窒素オーバークロックの聖地」として愛されてきた背景には、各拠点のエンジニアやコミュニティリーダーの存在があった。Palit直轄になった後、その文化がどこまで保たれるかは、まだ誰にも分からない。

ブアサーリ氏自身がブラジル拠点でTecLabブランドを継続することは明言された。世界中の他のGALAX拠点、特に香港本社で何が起きるのかは、現時点では公式には開示されていない。


「Galaxは終わらない」と当事者が動画で語った今、この騒動は一応の決着を見た。だが残ったのは、当事者本人が画面の前に立たなければ誤報を訂正できないという、苦い実感だ。


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