Microsoft Defender、スキャンが完了せずクラッシュする不具合。修正は配信済み
8月18日以降、Microsoft Defenderのウイルススキャンが完了せずクラッシュする不具合が、Windows 10・Windows 11の両方で発生していた。Microsoftは修正済みのセキュリティインテリジェンス更新を配信しており、Windows Updateの適用で解消できる。
8月18日以降、Microsoft Defenderのウイルススキャンが完了せずクラッシュする不具合が、Windows 10・Windows 11の両方で発生していた。Microsoftは修正済みのセキュリティインテリジェンス更新を配信しており、Windows Updateの適用で解消できる。
スキャンを開始すると数秒で止まる
現地時間8月18日の午後から、Microsoft Defenderでクイックスキャンやフルスキャンを実行すると、開始から数秒でクラッシュする報告がRedditやMicrosoftのサポートサイトに相次いだ。
画面には「脅威のサービスが停止しました」というエラーが表示され、再起動を促される。指示どおりに再起動しても、次のスキャンもまた途中で止まる。オフラインスキャンも90〜93%の地点で停止し、完了しない。
一方で、ファイルやフォルダを右クリックして実行する個別スキャンは正常に動作する。クイックスキャン・フルスキャン・オフラインスキャンというDefenderの標準スキャン機能だけが壊れており、ファイル検査の仕組み自体には問題がない。
イベントビューアーには、Defenderのマルウェア対策プロセスMsMpEng.exeがmpengine.dll内部でエラーコード0xC0000005(アクセス違反)を起こしてクラッシュした記録が残る。DefenderApiLoggerLowPrivのセッションエラーが数日前から出ていたという報告もあった。
不安に駆られたユーザーの反応は深刻だった。マルウェアに感染したと思い込みWindowsの再インストールに踏み切った人、急いでサードパーティのウイルス対策ソフトを導入した人もいる。Microsoftのサポートサイトには「Defenderが完全に壊れた」との投稿が複数寄せられていた。
原因はセキュリティインテリジェンス更新の不具合
問題の原因は、Defenderのセキュリティインテリジェンス(ウイルス定義ファイル)の更新だった。
Redditのr/antivirusスレッドでモデレーターを務めるアリエ・ゴレツキー氏(Aryeh Goretsky、元ESET研究者)が影響範囲を整理した。
Windows Defender Not Working.
by u/Huynh_Jovi in antivirus
それによると、Defenderエンジンのバージョンv1.1.26070.7およびv1.1.26080.2が、以下のセキュリティインテリジェンス更新と組み合わさった場合に不具合が発生する。
1.457.222.0、1.457.225.0、1.457.226.0、1.457.227.0、1.457.230.0
影響はWindows 10とWindows 11の両方に及び、クリーンインストール直後の環境や、企業向けのDefender for Endpointを使う管理下のデバイスでも症状が再現された。ユーザー側の設定やソフトウェアの競合ではなく、Microsoft側の更新そのものに原因がある。
古いセキュリティインテリジェンスに戻すとスキャンが復旧するという報告も、原因が定義ファイルの更新にあることを裏付けている。
ShieldBreakとの関係は未確認
今回のスキャン不具合が発生した時期は、Defenderのゼロデイ脆弱性(修正パッチが出る前に公開された脆弱性)「ShieldBreak」(CVE-2026-69414)への対応と重なっている。
ShieldBreakは、セキュリティ研究者Nightmare Eclipse(ナイトメア・エクリプス)氏が8月12日の月例セキュリティ更新(Patch Tuesday)直後に公開した脆弱性だ。Defenderが有効な環境で、ローカルアクセスを持つユーザーがWindowsの最高権限(SYSTEM権限)まで昇格できてしまうもので、以前に修正されたRoguePlanet(CVE-2026-50656)のパッチを迂回する。Microsoftは現在CVE-2026-69414として追跡し、修正パッチを開発中だが、まだ提供されていない。
Redditでは「ShieldBreakに対処しようとした定義更新がスキャンを壊した」との推測が出ていたが、Microsoftはこの2つの関連を公式には認めていない。タイミングの一致だけでは因果関係は成立しない。
重要なのは、今回のスキャン不具合の修正と、ShieldBreak脆弱性のパッチは別物だという点だ。スキャンは定義ファイルの更新で直るが、ShieldBreakの脆弱性そのものはまだ開いている。
6月9日 RoguePlanet公開 Defenderの権限昇格脆弱性が公開される 7月8日 Microsoft修正パッチ配信 エンジン更新でRoguePlanetに対処 8月12日 ShieldBreak公開 修正パッチを迂回する新たな脆弱性。CVE-2026-69414 8月14日 CVE-2026-69414として追跡開始 Microsoftが修正パッチの開発を表明 8月18日 スキャン不具合が発生 クイック・フル・オフラインスキャンがクラッシュ 8月19日 スキャン不具合の修正を配信 定義v1.457.236.0以降で解消。ShieldBreakのパッチは未提供 |
対処法:Windows Updateを実行する
Microsoftは問題を確認し、修正済みの更新を配信している。
セキュリティインテリジェンス更新バージョン1.457.236.0以降を適用すれば、スキャンは正常に戻る。ただし、一部のユーザーからはv1.457.236.0では直らず、v1.457.238.0以降で初めて解消したとの報告もある。確実なのは、その時点で提供されている最新の更新を適用し、適用後にクイックスキャンを実行して完了するかどうかを確認することだ。
手順は2つある。
Windowsセキュリティアプリから更新する場合は、「ウイルスと脅威の防止」を開き、「保護の更新」から「更新プログラムのチェック」を実行する。
Windows Updateから更新する場合は、「設定」→「Windows Update」→「更新プログラムのチェック」で最新の定義ファイルが配信される。
更新後、クイックスキャンを手動で実行して最後まで完了すれば、修正が適用されている。
なお、更新が届くまでの間もDefenderのリアルタイム保護は動作しており、定期スキャンが失敗している間もバックグラウンドの監視は継続していたとみられる。ただ、スキャンの完了を自分の目で確認できない状態が数日続いたことは、Windowsの標準セキュリティを唯一の防御として使うユーザーにとって、小さくない不安だったはずだ。
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