Surface Laptop 8、自社アプリWordでMacBook Airに2倍負ける

ロボットがキーボードとマウスを操作し、同じ手順を両方のノートPCで繰り返す。条件を揃え、人間の癖を排除して出た結果がこれだ。

Surface Laptop 8、自社アプリWordでMacBook Airに2倍負ける

ロボットがキーボードとマウスを操作し、同じ手順を両方のノートPCで繰り返す。条件を揃え、人間の癖を排除して出た結果がこれだ。


Wordの500ページが開くまでの12秒

ロボット操作によるラボテストで知られるYouTubeチャンネルPhoneBuffが、Surface Laptop 8とMacBook Airの比較テストを公開した。両機とも16GB RAM、最安構成。Surface側はSnapdragon X2 Plus、MacBook側はApple M5を搭載している。

最初に目を引くのはMicrosoft Wordだ。

同じ500ページの文書を開くのに、MacBook Airは約7秒。Surface Laptop 8は約12秒。Microsoftが30年以上にわたって自社OS向けに最適化してきたアプリが、macOSの半分の速度でしか動かない。

Wordだけではない。6GBのファイル解凍はMacBook Airが約10秒、Surfaceが約42秒で4倍以上の差がついた。

Adobe Premiere Proの一連の作業(プロジェクト作成、クリップ読み込み、カラーグレード、スタビライザー適用、レンダリング、書き出し)ではMacBook Airが1分46秒、Surfaceが3分19秒。Blenderの1080pレンダリングもMacBook Airが28秒、Surfaceが56秒。ブラウザテストだけが18秒で同着だった。

テストに使われたアプリはすべてARM64でネイティブ動作しており、エミュレーションの影響ではない。唯一Cyberpunk 2077がPrism(Windows on ARMの互換レイヤー)によるエミュレーション環境だったが、ここでもベンチマーク結果はほぼ互角(MacBook Air 18.43fps、Surface 18.70fps)。Frame Generation(フレーム生成)をオンにするとMacBook Airは50.95fpsまで伸びたが、Surfaceは38.19fpsにとどまった。

パフォーマンス比較(処理時間。短い方が速い)
タスクMacBook AirSurface
Laptop 8
ブラウザ18.65秒18.63秒同着
Word6.70秒11.90秒1.8倍
ファイル解凍9.71秒42.25秒4.4倍
Photoshop26.50秒32.29秒1.2倍
Premiere Pro1分46秒3分19秒1.9倍
Blender28.40秒56.33秒2.0倍
Cyberpunk
2077起動
39.71秒48.25秒1.2倍
※ロボット操作によるラボテスト。両機とも16GB RAM最安構成(MacBook Air: M5 / Surface Laptop 8: Snapdragon X2 Plus)。全アプリARM64ネイティブ動作

バッテリーだけはSurfaceが先行した

性能で圧倒されたSurfaceだが、バッテリーテストでは異なる結果が出ている。

WordとExcelの間でコピー&ペーストとキーボード入力を繰り返し、Spotifyをバックグラウンドで流す生産性テスト。2時間後、Surfaceのバッテリー消費は16%、MacBook Airは24%。軽負荷の日常作業ではSurfaceが明確に省電力だった

Zoom(ビデオ通話)でも同傾向で、30分後にSurfaceが57%残、MacBook Airが49%残。Disney+の動画再生ではSurfaceのディスプレイが24Hzまでリフレッシュレートを落とせるため、2時間でSurfaceが18ポイント消費に対しMacBook Airは24ポイント消費と差が広がった。

ところが最後のAdobe Premiereテスト(バッテリーが尽きるまで回す)で状況が一変する。重い処理になった途端、MacBook Airの効率が跳ね上がり、Surfaceが蓄えた14ポイントのリードをほぼ帳消しにした。最終的に両機が停止したのはわずか5分差。合計20時間超のテストで5分なら誤差の範囲であり、PhoneBuffも実質的なタイとしている。

充電速度はMacBook Airの勝ち。付属充電器で30分後にMacBook Airが46%、Surfaceが33%だった。

チップの問題か、Windowsの問題か

もう1本、PhoneBuffが同時期に公開したテストがある。

MacBook NeoとDell XPS 13の比較テストで、MacBook NeoにはA18 Pro(iPhoneから転用されたチップ)、Dell XPS 13にはIntel Core 5 320(Wildcat Lake世代、8GB RAM)が搭載されていた。

結果は同じだった。同一の500ページWord文書を開くのにMacBook Neoが7秒、Dell XPS 13が12秒。チップメーカーが違う。アーキテクチャも違う(SnapdragonはARM、IntelはWildcat Lakeのx86系)。それでもWordを開く速度が同じ比率で遅い。

これはSnapdragon X2 Plusの問題ではない。Intel系でも起きている以上、遅いのはWindowsか、Windows版のWordか、あるいはその両方ということになる。

iPhoneのチップを転用した9万9800円のノートPCが、MicrosoftのアプリをWindows PCより速く動かしている。

300ドル高く、性能は低い

PhoneBuffは動画内で、Surface Laptop 8がMacBook Airより約300ドル高いと述べている。Webカメラの画質、マイクの音質、USB-Cポートの転送速度(50GBファイル転送でMacBook Air 13秒、Surface 43秒)でもMacBook Airが優位だった。Surfaceが勝った項目はタッチスクリーン、120Hzリフレッシュレート、フルサイズUSB-Aポートの3点。そして軽負荷時のバッテリー持ち。

YouTubeのコメント欄では「Surface: responsive screen / MacBook: responsive OS」(Surfaceは画面が反応する、MacBookはOSが反応する)という投稿が932件の高評価を集めた。「MacBook Airはファンレスなのにファン付きのSurfaceに勝っている」という指摘には620件。別のコメントは「Windowsが全部遅くしている」と一言で片づけ、604件の同意を得た。

折しも7月31日、Windows + Devices部門を率いるパバン・ダブルリ氏(Pavan Davuluri)がWindows 11のメモリ使用量が多すぎることを認め、8GB以上のPCを対象に年末までの最適化を約束した。メモリアロケータの効率化、WinUI 3のチューニング、Chromium/WebView2のメモリ削減が進行中だという。

OSが肥大化していることをMicrosoft自身が認めた直後に、そのOS上で自社アプリが競合の半分の速度でしか動かないテスト結果が出た。チップを速くしても、OSが足を引っ張れば意味がない。QualcommがCPUコアの第3世代Oryonで35%のシングルコア性能向上を謳っても、ファイル解凍で4倍、Premiere Proで2倍の差は埋まらなかった。

速いチップは作れる。速いOSを、Microsoftはまだ作れていない。

関連記事

この記事を共有する