メモリ不足

SKハイニックス会長「メモリ価格は異常」、米国工場も検討

メモリ不足

SKハイニックス会長「メモリ価格は異常」、米国工場も検討

メモリ業界最大手のトップが、自社製品の価格が高すぎると認めた。増産しなければ市場そのものが縮む、という危機感が動かす次の一手。 「建てられる場所に、できるだけ速く建てる」 SKグループのチェ・テウォン(Chey Tae-won)会長が7月15日、済州島での記者会見でメモリ半導体の現在の価格水準を「異常(abnormal)」と表現した。 AI企業は投資で高騰分を吸収できる。PCやスマートフォンのメーカーにその余裕はなく、コスト増は製品価格に転嫁される。買うのは個人の消費者であり、値上げには限界がある。 チェ会長はこの連鎖を「チップフレーション(chipflation)」と呼び、供給の拡大で断ち切る必要があると述べた。 チェ会長が見ているのは消費者の負担だけではない。メモリ価格が高いまま放置すれば韓国の半導体産業そのものが危うくなる。高い利益率は新規参入を呼び込み、各国政府はメモリ調達を「経済安全保障」の問題として扱い始める。 チェ会長の言葉を借りれば「建てられる場所に、できるだけ速く建てることが、韓国半導体産業の生命線になりつつある」。 需要は倍増、供給は追いつかない

CXMT、2027年末までDRAM生産能力が予約済みに

半導体

CXMT、2027年末までDRAM生産能力が予約済みに

Samsung、SK hynix、Micronに次ぐ「第4のDRAMメーカー」として存在感を増す中国CXMTに、大手PCメーカーの発注が殺到している。生産能力は2027年末まで予約で埋まり、中小OEMにはほとんど枠が残っていない。 大手が押さえ、中小が弾かれる CXMTのDRAM生産能力が、2027年末まで予約で埋まった。サプライチェーン筋の情報として報じられている。 割り当てを確保できたのはDell、HP、Appleといった大手PCメーカーに限られる。購入量で交渉力を持つ企業が、過去の水準を上回る価格であっても長期契約を結んでいる。デスクトップやノートPC市場でのプレゼンスが小さいブランドには、ほとんど枠が回っていない。 Samsung、SK hynix、Micronの大手3社がAI向けHBM生産に製造ラインを集中させた結果、汎用DRAMの供給が逼迫している。PC向けメモリの調達先は構造的に細り、CXMTは「代替」ではなく「争奪対象」に変わった。 SK hynixのクァク・ノジョン(Kwak Noh-jung)CEOは7月10日、2027年が供給面で「業界史上最悪の年にな

米議会、中国製メモリの購入禁止をトランプ政権に要請

半導体

米議会、中国製メモリの購入禁止をトランプ政権に要請

Appleが求めた中国DRAM調達の許可に、議会幹部が真っ向から反対した。対象はAppleに限らない。米国企業全体への禁止措置を求めている。 「重大な過ち」 下院中国特別委員会のジョン・ムーレナー(John Moolenaar)委員長と下院外交委員会のブライアン・マスト(Brian Mast)委員長が、トランプ政権に書簡を送った。米国企業が中国製メモリチップを購入することを禁じるよう求めている。 宛先はハワード・ラトニック(Howard Lutnick)商務長官。CXMTおよびYMTCからメモリを調達することは安全保障・経済・サプライチェーンのすべてにおいて「容認できないリスク」だとし、両社のエンティティリスト追加を求めている。 ムーレナー氏はこの動きを「重大な過ち」(a grave mistake)と表現した。中国軍と結びつく企業から部品を購入すれば、その売上が人民解放軍のデュアルユース(軍民両用)技術開発を直接支えることになるという主張だ。 Appleが先に動いていた 書簡の標的はAppleだ。 Appleは6月末までに、CXMTからのDRAM調達について商務省や

CXMT製DDR5、ASUSテストで判明した4つの弱点とIPO直前の現実

CXMT

CXMT製DDR5、ASUSテストで判明した4つの弱点とIPO直前の現実

DRAM不足の中で急拡大するCXMTのDDR5に、マザーボードメーカー自身が品質面の課題を報告した。上場まで12日。量と質のギャップが数字で見え始めている。 8600 MT/sは回ったが、中身が違う ASUSがCXMT製DDR5ダイのオーバークロック特性を検証した結果を、オーバークロッカーのSafedisk氏がまとめ、UNIKO's Hardwareが7月15日に共有した。SK Hynix製ダイとの差が明確に出ている。 kingbank 2x24 6000c36 1.25 kit (cxmt 3gb dies) on asus c10a manual oc to 8600c44 mt 100% key characteristics of cxmt dies - dont scale with voltage - cant tighten timings - silicon variance appears to

世界スマホ出荷Q2は11%減、13年ぶり低水準でAppleが過去最高シェア

スマートフォン

世界スマホ出荷Q2は11%減、13年ぶり低水準でAppleが過去最高シェア

メモリ危機が予測の段階を超えた。2026年第2四半期、世界のスマートフォン出荷台数は2013年以来の低水準に沈んだ。 「勝者」と「敗者」が分かれた四半期 Counterpoint Researchが7月13日に発表した速報値で、2026年4〜6月期の世界スマートフォン出荷台数は前年同期比11%減となった。第2四半期としては2013年以来の最低水準になる。 原因はこれまで繰り返し指摘されてきたメモリ不足だが、今回のデータで見えるのは、同じ危機の中で勝ち組と負け組がはっきり分かれたことだ。 サムスンが首位を奪還した。シェアは24%で、トップ5中で最も高い前年同期比成長率を記録した。 Galaxy S26シリーズが牽引し、インドと中東では値上げを抑えた戦略と夏のプロモーションが奏功した。中でもGalaxy S26 UltraはプライバシーディスプレイとオンデバイスAIへの関心が高く、プレミアム帯の需要をつかんでいる。 Appleはシェア20%で2位につけた。第2四半期としては過去最高で、出荷は前年同期比3%増えている。主要メーカーで唯一値上げをしておらず、メモリ価格の上昇分を自

SK Hynix CEO「2027年は史上最悪」、265億ドル上場初日に

AI

SK Hynix CEO「2027年は史上最悪」、265億ドル上場初日に

メモリ業界のトップが、供給不足の終わりが見えないと認めた。巨額の投資を重ねても、需要に追いつけない現実がある。 265億ドルを手にした日の警告 SK HynixのNasdaq上場は、数字の上では好調な滑り出しだった。 現地時間7月10日、ADR(米国預託証券)の取引が始まり、公開価格149ドルに対して初日の終値は168ドル。約13%の上昇で取引を終えた。調達額は265億ドル(約4兆3000億円)。外国企業による米国初上場としては史上最大の規模になる。 その日、CEOのクァク・ノジョン(Kwak Noh-jung)氏がReutersとBloombergの取材に応じた。祝賀ムードの中で、同氏の口から出たのは警告だった。 クァク氏によれば、来年2027年はメモリ業界にとって供給面で史上最悪の年になる。顧客の需要は増え続けているが、生産能力には限界がある。需要が供給を上回る状態は2030年を超えても続くという。 メモリ不足が長期化するという見通し自体は新しくない。3月にはSKグループ会長のチェ・テウォン(Chey Tae-won)氏が、構造的なウェーハ不足が20%を超えており20

RTX 5070 Ti SUPERの消費電力、Seasonicに掲載翌日削除

GPU

RTX 5070 Ti SUPERの消費電力、Seasonicに掲載翌日削除

電源メーカーの計算ツールに消費電力が掲載され、翌日に消えた。RTX 50 SUPERシリーズは、NVIDIAが認めないまま周辺から情報だけが漏れ続けている。 掲載と削除の24時間 7月7日から8日にかけて、電源ユニットメーカーSeasonicのオンラインワット数計算ツールに、NVIDIAが公式には認めていないGPUが出揃った。RTX 5070 Ti SUPERとRTX 5070 SUPERは2025年9月から掲載されていたが、今回新たにRTX 5080 SUPERが加わり、3モデルの消費電力が並んだ。 RTX 5070 Ti SUPERは350W。通常のRTX 5070 Tiから50W、17%の増加にあたる。RTX 5070 SUPERは275W(25W増)、RTX 5080 SUPERは415W(55W増)。リーカーのkopite7kimi氏が以前に発信した数値と一致する。 翌7月9日、3モデルすべてが計算ツールから削除された。新規追加分だけでなく、2025年9月から掲載されていた2モデルもまとめて消えた。 電源ユニットの推奨容量を算出するには、GPUの消費電力データが必

RTX 5090 SE、リーク直後に技術的矛盾を指摘される

GPU

RTX 5090 SE、リーク直後に技術的矛盾を指摘される

RTX 5080とRTX 5090の間を埋める新GPUの情報が出回り、当日中に複数メディアが信憑性に疑問を投げかけた。 384bitバスに32GBは載るのか NVIDIAがGeForce RTX 5090 SEを準備しているというGameGPUの報道が7月9日に出た。RTX 5080とRTX 5090の価格・性能の隙間を狙う製品だとしている。 GPUはRTX 5090と同じGB202ダイで、192基あるSM(ストリーミングマルチプロセッサ)のうち110基を有効化。CUDAコア1万4080基、RTコア110基、Tensorコア440基。メモリは32GB GDDR7で384bitバス接続、TGPは約500W。 想定MSRP(希望小売価格)は1,500ドル。キャンセルされたとされるRTX 5080 Tiの代替製品で、RTX 5090Dのような輸出規制対応モデルではなくグローバル展開のゲーミング製品だという。 報道当日、OC3Dが矛盾を突いた。384bitバスで32GBという構成は成立しない、と。 GDDR7のメモリ構成には物理的な制約がある。384bitバスは12枚のメモリチッ

エヌビディア株がS&P 500より割安に。ボトルネックはメモリへ移った

AI

エヌビディア株がS&P 500より割安に。ボトルネックはメモリへ移った

AI半導体で圧倒的な存在だったエヌビディアの株価が、予想利益ベースでS&P 500の平均を下回った。エヌビディアが値を下げた2カ月間にメモリ大手マイクロンの株価は3倍に跳ね上がり、データセンターの「詰まる場所」が入れ替わっている。 GPUの余り、メモリの枯渇 エヌビディア株は5月14日に235.47ドルの最高値をつけた。7月に入っても200ドル前後で推移し、2カ月で15%前後を失ったまま戻らない。 売上は落ちていない。2027年度第1四半期(2026年5月発表)の売上高は816億ドル、前年同期比85%増と過去最高を更新した。 それでもフォワードPER(向こう12カ月の予想利益に対する株価の倍率)は約18倍にまで圧縮され、S&P 500の20倍超を下回った。年間66%で売上を伸ばす企業が、指数の平均銘柄より割安で取引されている。 一方、メモリチップメーカーのマイクロンは真逆の軌道を描いた。年初来で株価は約3倍に上昇し、5月26日に時価総額1兆ドルを突破した。48日間で時価総額が倍増しており、1兆ドル到達の速度は上場企業として史上最速とされる。2026年度第3四半期(2026年

SEMIがメモリ市場への政府介入に反対を表明

メモリ不足

SEMIがメモリ市場への政府介入に反対を表明

半導体業界団体SEMIが、メモリチップの供給不足に対する政府介入を控えるようトランプ政権に書簡で求めた。Appleは中国メーカーからの調達を、議員は米国顧客の優先供給を、消費者は価格引き下げを望んでいる。メモリ不足をめぐるワシントンの綱引きに、メーカー側が加わった。 メモリ不足がワシントンの政策課題になっている メモリ不足が製品価格に直接跳ね返り始めた6月下旬、Appleが全MacとiPadの価格を最大300ドル引き上げた。マイクロソフトもXboxの価格を100〜150ドル引き上げると発表した。Dell、HP、任天堂も同様の対応を取っている。 AI向けデータセンターがメモリ生産能力の大半を吸い上げ、PC・スマートフォン・自動車向けの供給が構造的に逼迫している状況は、報じられて久しい。 新しいのは、この問題がワシントンで複数の方向から政治的な圧力を生み始めたことだ。 SEMIは7月1日付で、スコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官、ピート・ヘグセス(Pete Hegseth)国防長官、ハワード・ラトニック(Howard Lutnick)商務長官、マルコ・ルビ

マイクロンCEO「顧客が価格を3分の1に叩いた」

メモリ不足

マイクロンCEO「顧客が価格を3分の1に叩いた」

スマートフォンやPCのメモリ不足が続く中、マイクロンのCEOがその原因について踏み込んだ発言をした。AI需要の急増だけでなく、特定の大口顧客が過去に価格を極端に押し下げたことで、メモリメーカー各社が設備投資に必要な資金を失ったという。高騰の原因はAIだけではない。 「2023年、価格は3分の1になった」 マイクロンCEOのサンジェイ・メロートラ(Sanjay Mehrotra)氏は現地時間6月30日、テレビインタビューでメモリ供給不足の責任がメーカーだけにあるわけではないと主張した。 メロートラ氏によれば、過去数年間にわたり特定の顧客が強引な値下げ交渉を続け、業界全体の売上を押し下げた。2023年にはメモリの販売価格がピーク時の3分の1まで下落し、マイクロンを含む各社が赤字に陥ったという。マイクロンの粗利益率は2023年度(同年8月期末)にマイナス7.3%を記録している。 企業は赤字だった。投資する余裕がなかった。それが業界の投資能力に大きな打撃を与えた(メロートラ氏、CNBCへの説明) マイクロンの最高事業責任者スミット・サダナ(Sumit Sadana)氏も先週、同様の

DRAM大手3社に反トラスト訴訟。消費者が問う「700%」

メモリ

DRAM大手3社に反トラスト訴訟。消費者が問う「700%」

メモリ価格が歴史的な高値を記録するなか、世界のDRAMを支配する3社が米国で消費者から訴えられた。訴状が突きつけているのは、AI需要という構造要因の裏側にある、もうひとつの疑惑だ。 訴状が描く構図 現地時間2026年6月25日、カリフォルニア北部地区連邦地裁に集団訴訟が提起された。事件番号3:26-cv-06345、訴因は反トラスト法違反。被告はサムスン電子、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジーの3社と、その米国法人だ。 原告は個人消費者と小規模PC事業者。Troy's Computers LLC、JB Tech Solutions LLCといった、街のPCショップや修理業者が名を連ねる。代理人を務めるのはニューヨークの法律事務所Bathaee Dunne LLP。反トラスト訴訟を専門とし、直近ではディズニーに対するストリーミング価格の訴訟も手がけている。 訴状の骨子はこうだ。3社はAI向けのHBM(広帯域メモリ、GPUに搭載される高速メモリ)への生産転換を口実に、汎用DRAMの生産を協調的に絞った。DDR3やDDR4からの撤退を足並みをそろえて進め、供給を意図的に制限

PS6の部品原価が3ヶ月で200ドル上昇。960ドルに到達

ゲーム

PS6の部品原価が3ヶ月で200ドル上昇。960ドルに到達

3月末に760ドルだったPS6の部品原価が、6月下旬時点で960ドルまで膨れ上がった。1000ドルまであと40ドル。699ドルで出せるかもしれないという3ヶ月前の議論は、もう成立しない。 760ドルから960ドルへ リーカーのKeplerL2氏が現地時間6月27日、NeoGAFのスレッドで投稿した。3月に自身が示したPS6のBOM(部品原価)見積もりについて問われ、その数字から約200ドル上がったと回答している。 3月時点のBOM見積もりは約760ドルで、ソニーが妥当な補助金を負担すれば699ドルでの発売も不可能ではないとKeplerL2氏は述べていた。あれから3ヶ月。状況は一変した。 200ドルの増加は、ほぼ全てメモリとストレージに起因する。PS6には30GBのGDDR7と1TBのSSDが搭載されるとみられており、この2つの部材が今、急激に値上がりしている。 メモリ危機は構造的に終わらない 同じ週に、この上昇が一時的ではないことを裏付ける材料がいくつも揃った。 6月25日、マイクロンが決算で16件の長期供給契約を公表した。データセンターと家電向けは2026年から20

Appleが中国CXMTからのメモリ調達を政府に直訴。値上げの翌日に

Apple

Appleが中国CXMTからのメモリ調達を政府に直訴。値上げの翌日に

Mac・iPadの大幅値上げから一夜明けた6月26日、Appleがトランプ政権に対し、中国DRAMメーカーCXMT(長鑫存儲)からのメモリチップ購入許可を求めてロビー活動を展開していることが明らかになった。2月に浮上した中国メモリ調達の構想は、いまや米政府への正式な働きかけに変わっている。 値上げとロビー活動の時系列 Appleの動きには明確な段階がある。 6月17日、ティム・クック(Tim Cook)CEOがウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで、メモリ価格の高騰を受けた値上げは不可避だと認めた。安全保障上の規制で米企業が中国メモリメーカーと取引しにくい現状を問われると、「あらゆる供給先を検討すべきだ」と踏み込んでいる。 6月25日、Appleは実際にMac・iPad・Apple Vision Proなどの価格を一斉に引き上げた。日本国内ではMacBook Air(M5、13インチ)が18万4800円から22万4800円へ4万円増、MacBook Pro 14インチは24万8800円から33万9800円へ9万1000円増と、値上げ幅が最も大きい構成では10万円近い