マイクロンCEO「顧客が価格を3分の1に叩いた」

マイクロンCEO「顧客が価格を3分の1に叩いた」
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スマートフォンやPCのメモリ不足が続く中、マイクロンのCEOがその原因について踏み込んだ発言をした。AI需要の急増だけでなく、特定の大口顧客が過去に価格を極端に押し下げたことで、メモリメーカー各社が設備投資に必要な資金を失ったという。高騰の原因はAIだけではない。


「2023年、価格は3分の1になった」

マイクロンCEOのサンジェイ・メロートラ(Sanjay Mehrotra)氏は現地時間6月30日、テレビインタビューでメモリ供給不足の責任がメーカーだけにあるわけではないと主張した。

メロートラ氏によれば、過去数年間にわたり特定の顧客が強引な値下げ交渉を続け、業界全体の売上を押し下げた。2023年にはメモリの販売価格がピーク時の3分の1まで下落し、マイクロンを含む各社が赤字に陥ったという。マイクロンの粗利益率は2023年度(同年8月期末)にマイナス7.3%を記録している。

企業は赤字だった。投資する余裕がなかった。それが業界の投資能力に大きな打撃を与えた(メロートラ氏、CNBCへの説明)

マイクロンの最高事業責任者スミット・サダナ(Sumit Sadana)氏も先週、同様の認識を示している。サダナ氏は「非常に攻撃的な価格交渉をしていた顧客に対し、この姿勢は建設的ではないと伝えた」と述べ、2023年に業界全体の投資が停止した直接の原因が価格と利益率の崩壊にあったと指摘した。

名指しを避けた「特定の顧客」

メロートラ氏もサダナ氏も、価格を引き下げた顧客の名前を挙げていない。「特定の顧客」という表現にとどめている。

マイクロンにとって最大級の個人向け顧客はAppleだ。幹部はこれまでにも、不況期にメモリの底値買いを行った大口顧客への不満を繰り返し表明してきた。発言のタイミングも見逃せない。Appleは6月25日にMacとiPadの大幅な値上げに踏み切ったばかりであり、ティム・クック(Tim Cook)CEOは直前に「値上げは避けられない」と認めている。

メモリメーカー側の言い分を整理すると、こうなる。不況期に顧客が値下げを迫り、メーカーは赤字のまま生産を続けた。設備投資に回す資金が枯渇し、新工場の着工が遅れた。そこにAI需要の爆発が重なり、供給は完全に追いつかなくなった。

メモリ不足が起きた経緯
不況期に大口顧客がメモリの価格を3分の1に押し下げメーカー各社が赤字に転落マイクロン粗利益率 −7.3%(2023年度)設備投資が停止新工場の着工が遅れるAI需要が爆発的に増加供給不足が深刻化2027年以降も継続の見通し
マイクロンCEOの説明に基づく因果関係の整理。供給不足の原因はAI需要に加え、不況期の価格引き下げによる投資停止がある

「待てば下がる」は通用しない

メモリ不足がAI需要だけで説明できるなら、AIブームが落ち着けば価格は戻る。だがメロートラ氏の主張を踏まえれば、問題はもっと根が深い。新しい工場を建てるには数年かかり、次世代メモリの製造工程はさらに複雑になっている。不況期に止まった投資の空白を埋めるには、時間が必要だ。

メロートラ氏は供給不足が2027年以降も続くとの見通しを示した。マイクロンは製造とR&Dに約2000億ドルを投じると発表しており、アイダホ州ボイシとニューヨーク州シラキュースに新工場を建設中だ。ボイシ工場の最初のチップ出荷は「来年半ば」を予定している。

マイクロン株は2026年第2四半期に240%以上上昇し、時価総額は約1兆3000億ドルに達した。消費者が値上げに苦しむ一方で、メモリメーカーは過去最高の利益を記録している。AIブームが利益をもたらしたのは事実だが、不況期の投資停止が供給回復の遅れとして今も残っている。

Appleは値上げの理由にメモリ価格の高騰を挙げ、マイクロンはその高騰を招いた一因として大口顧客の価格圧力を指摘する。iPhone 18シリーズは今年9月の発売が見込まれ、さらなる価格上昇が報じられている。値上げの負担は、最終的にスマートフォンやPCを購入する消費者にかかる。

参照元:Micron CEO: Customers driving hard bargain on price contributed to memory shortage

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