PS6の部品原価が3ヶ月で200ドル上昇。960ドルに到達
3月末に760ドルだったPS6の部品原価が、6月下旬時点で960ドルまで膨れ上がった。1000ドルまであと40ドル。699ドルで出せるかもしれないという3ヶ月前の議論は、もう成立しない。
760ドルから960ドルへ
リーカーのKeplerL2氏が現地時間6月27日、NeoGAFのスレッドで投稿した。3月に自身が示したPS6のBOM(部品原価)見積もりについて問われ、その数字から約200ドル上がったと回答している。

3月時点のBOM見積もりは約760ドルで、ソニーが妥当な補助金を負担すれば699ドルでの発売も不可能ではないとKeplerL2氏は述べていた。あれから3ヶ月。状況は一変した。
200ドルの増加は、ほぼ全てメモリとストレージに起因する。PS6には30GBのGDDR7と1TBのSSDが搭載されるとみられており、この2つの部材が今、急激に値上がりしている。
メモリ危機は構造的に終わらない
同じ週に、この上昇が一時的ではないことを裏付ける材料がいくつも揃った。
6月25日、マイクロンが決算で16件の長期供給契約を公表した。データセンターと家電向けは2026年から2030年までの5年契約で、顧客は計220億ドルの保証金と財務コミットメントを差し入れている。キャンセルできない取り決めだ。契約の下限価格でも、マイクロンの粗利率は過去のピークを上回る。
この契約にDRAM出荷量の約20%、NAND出荷量の約3分の1が縛られる。マイクロン自身、メモリ供給がいつ需要に追いつくか「現時点では見通せない」としている。
同日、マイクロソフトがXbox Series X/Sの3度目の値上げを発表した。8月1日から、512GBモデルは100ドル、1TBモデルは150ドルの引き上げ。Xbox Series X(ディスク付き1TB)は800ドルになる。2TBモデルは廃止される。マイクロソフトはXbox Wireの投稿で、コンソールのストレージとメモリの調達コストが2.5倍以上に膨らんでおり、2027年秋までにさらに2倍になると見込んでいると明かした。
その翌日、レノボがドイツで開催されたISC 2026でメモリ価格の見通しを発表した。DRAMとNANDの価格は2025年前半の水準には「もう戻らない」。2030年以降も高止まりする「新常態」になるという見解だ。発表者が「never」と言ったとき、会場には笑いが起きた。だがその後の分析は笑える内容ではなかった。SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長もComputex 2026で、ウェハー生産能力を5年以内に2倍にする計画を示しつつ、供給不足は2030年まで続くとの見方を示している。
根本にあるのはAIデータセンターのメモリ需要だ。HBM(広帯域メモリ)はDDR5の約3倍のウェハー面積を消費する。サムスン、SKハイニックス、マイクロンの3社はいずれも利益率の高いAI向けに製造ラインを振り向けている。コンシューマー向けDRAMの供給はその分だけ減り、契約価格はTrendForceの調査で2026年第1四半期に前期比90〜95%上昇した。第2四半期もさらに58〜63%の上昇が見込まれている。
「待てば安くなる」が通用しない理由
KeplerL2氏は同スレッドで、PS6の発売延期に否定的な見解も示している。論理は単純だ。部品価格が上がり続けるなら、延期すればするほどBOMは膨らむ。価格が横ばいになるなら、延期する意味がない。どちらに転んでも、待つ合理性がない。
仕様はすでに確定している段階だとされる。SoC(Orion)のTSMC製造契約は2027年半ばに動き出す見込みで、設計を今から変更する余地はないという。仮に延期しても、スペックが上がるわけではなく、同じハードウェアがより高い価格で出てくるだけだ。
PS3の前例がある。2006年にPS3を599ドルで発売したとき、ソニーは1台あたり200ドル以上を負担していた。後に部品コストが下がり、価格改定で巻き返した。KeplerL2氏は同じ道筋を示唆している。2027年末に高い価格で出して数百万台を売り、メモリ価格が落ち着いた段階で値下げすればいい。2030年まで待ってゼロから始めるより、その間の販売台数分だけ先行できる。
だがPS3時代との決定的な違いがある。2006年のゲームソフト開発費は今よりはるかに小さかった。ソニーが1台あたり100ドルの補助金を負担したとして、初年度に1000万台売れば10億ドル(約1600億円)の赤字だ。PS5世代で得た利益がどこまで持つか。
「999ドルのディスクレス」が最良のシナリオ
KeplerL2氏はBOM 960ドルという数字をもとに、ディスクドライブなしのPS6が999ドルになるのが消費者にとっての「ベストケース」だと述べている。PS5とNintendo Switch 2も今後6ヶ月以内に再び値上げがあるだろうと付け加えた。
家庭用ゲーム機を1000ドルで発売した前例はない。PS3の599ドルが歴代最高額だった。999ドルは、その記録を6割以上上回る。
すでにXbox Series X(ディスク付き)が800ドルに到達している。Steam Machineは1049ドルからだ。Valveは当初700ドル台前半を想定していたが、メモリ高騰で300ドル以上の上乗せを余儀なくされた。マイクロソフトの次世代機Project Helixも同じ部品を調達する以上、状況は変わらない。
「いくらで出すか」ではなく「出せるのか」
3ヶ月前、議論の焦点は「699ドルか、799ドルか」だった。今は違う。960ドルのBOMが部品費のみなら、梱包・物流・小売マージンを加えた販売価格は1000ドルを超える。ソニーが補助金でどこまで吸収するかが、すべてを決める。
ただし、このBOMはあくまで6月下旬時点の推定値だ。PS6が2027年末に発売されるとすれば、実際の部品調達時の価格はさらに変動している可能性がある。TrendForceはDRAM契約価格の上昇が2026年を通じて続くと予測しており、マイクロンの新工場が意味のある生産量に達するのは2027年後半以降だとしている。2027年末のBOMが960ドルより下がっている保証はどこにもない。
ソニーは何も発表していない。PS6の存在すら公式には認めていない。だが同社が直面している現実は、マイクロソフトがXbox Wireで吐露した言葉にそのまま表れている。コンソールは利益を出して売るものではなく、原価を下回る価格で売るものだ。その原価が1000ドルに迫ったとき、ゲーム機というビジネスモデルが持つかどうか。
参照元: (Up) According to KeplerL2, the PS6's BoM is estimated at around $960