USB4STREAMがLinux 7.2にマージ。ケーブル1本のPC間転送が正式機能に
5月にパッチ段階で報じたUSB4STREAMが、Linux 7.2のメインラインに正式マージされた。USB4/Thunderboltケーブルで直結したPC間を、ネットワークスタックを経由せずに生データが流れる。
ケーブル直結のストリーム転送、メインラインへ
現地時間6月22日、USBサブシステムのメンテナであるグレッグ・クロー=ハートマン(Greg Kroah-Hartman)氏が、Linux 7.2-rc1向けのUSB/Thunderboltドライバ変更をリーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏に提出した。トーバルズ氏は異議なくGitマスターにマージしている。
目玉はUSB4STREAMだ。IntelのThunderboltメンテナ、ミカ・ヴェステルベリ(Mika Westerberg)氏が5月に提出したパッチは、Thunderbolt.gitの「next」ブランチを経て、今回メインラインカーネルに到達した。stream.cだけで1,698行。プルリクエスト全体では194ファイルに手が入り、約7,000行が加わった。
仕組みはシンプルだ。USB4/Thunderboltケーブルで接続した2台のPC上に /dev/tbstreamX というキャラクタデバイスが現れ、read()/write()だけでデータを直接やりとりできる。IPアドレスもSSHも不要で、tarやddがそのまま通る。ConfigFSでストリームを作成し、HopIDを割り当てればチャネルができる。
プルリクエストのもう一つの注目点
今回のUSB/Thunderbolt更新にはUSB4STREAM以外にも目を引く変更がある。
Thunderbolt周りでは、マルチディスプレイ接続時のDisplayPortトンネル割り当てが見直され、Thunderboltドック経由の帯域配分が柔軟になった。USB4ルーターの安定性に関わる修正も複数入り、Configuration ReadyビットのタイムアウトやNotification Timeoutの値を引き上げている。
もう一つ、AMD Promontory 21チップセットの温度センサードライバが目を引く。AM5マザーボードのxHCIコントローラに内蔵された温度センサーを、HWMONサブシステム経由で読めるようにするものだ。パッチの注記には、OpenAIのコーディングエージェント(Codex GPT-5.5)で作成した旨が記されている。AIが書いたコードがメインラインに入った事例として記録される。
Linux 7.2のリリースまで
Linux 7.1は6月14日にリリースされ、7.2のマージウィンドウはその直後に開いた。rc1は6月28日がターゲットで、その後6〜10週間のリリース候補期間を経て安定版リリースとなる。順調にいけば 2026年後半、USB4STREAMが使えるカーネルが手に入る。
USB4/Thunderboltポートは、IntelにもAMDにも広がった。だがホスト間のデータ転送となると、ネットワーク設定かUSBメモリかの二択だった。USB4STREAMは「ケーブルを挿して、読み書きするだけ」という第三の選択肢を加える。
ネットワークが使えない環境での災害復旧、エアギャップが必要な工場、あるいは単純にPCの引っ越し。用途は地味に広い。そしてこの「地味さ」こそが、カーネルに長く残る機能の条件かもしれない。
参照元
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