AMD新ドライバ、待望のFSR 4.1解禁とWindows 10の罠

AMD新ドライバ、待望のFSR 4.1解禁とWindows 10の罠
AMD

Radeon RX 7000シリーズにFSR 4.1がやってきた。300以上のゲームで、RDNA 4と同等の画質が手に入る。ただし、Windows 10を使っているなら話は別だ。同じドライバが、GPUごと認識不能にする。


半年待った答え

AMDが現地時間6月22日に公開したAdrenalin 26.6.2は、Radeon RX 7000シリーズにFSR 4.1アップスケーリングを公式に開放するドライバだ。7月の予定が数日早まった。

FSR 4.1は機械学習ベースのアップスケーラーで、これまでRDNA 4世代のRX 9000シリーズでしか使えなかった。RX 7000ユーザーは昨年末のFSR 4発表以来、半年以上待ち続けていた。その間にソースコードが流出し、コミュニティが非公式ツールで旧世代対応を実現。AMDへの公式サポート要求が日増しに強まっていた。

対応タイトルは300以上。ドライバを更新するだけで、FSR対応ゲームのアップスケーリングがFSR 3.1からFSR 4.1に切り替わる。

FP8からINT8へ、同じ品質を別の道で

RDNA 4はFP8(8ビット浮動小数点)を処理するハードウェアを持っている。FSR 4.1はこのFP8上で動く設計だ。RDNA 3にはFP8のサポートがない。代わりにINT8(8ビット整数演算)を使う。AMDはFSR 4.1のモデルをINT8向けに設計し直し、RDNA 3で動くようにした。

データ型の変換作業が遅延の理由だとAMDは説明している。最終的な画質はRDNA 4版と同等。公開された比較動画でも、FSR 3.1との間に明確な改善が見て取れる。

ただし、今回のドライバで有効になるのは FSR 4.1アップスケーリングのみ だ。フレーム生成はRDNA 4の機能に依存しており、RX 7000シリーズではFSR 3.1のフレーム生成にフォールバックする。ここは混同しやすい。アップスケーリングの画質は上がるが、フレーム生成は据え置きだ。

RDNA 2(RX 6000シリーズ)への対応は2027年初頭の予定で、こちらはさらに複雑になる。RDNA 2にはAIアクセラレータがなく、GPUのストリームプロセッサだけで処理しなければならない。

RDNA世代別 FSR 4.1対応状況
RDNA 4RDNA 3RDNA 2
アップ
スケーリング
フレーム生成×
データ型FP8INT8未定
対応時期提供中26.6.2〜2027年初頭
※ RDNA 3のFSR 4.1フレーム生成は非対応。FSR 3.1にフォールバックする
※ RDNA 3 APU向けには軽量MLモデルを開発中(AMD発表)
※ 対応ゲーム数は300以上(全世代共通)

Windows 10では起動すらできない

問題はここからだ。

Adrenalin 26.6.2をWindows 10にインストールすると、AMD Softwareが起動しない。「起動されたAMD Softwareのバージョンは、現在インストールされているAMDグラフィックスドライバーと互換性がありません」というエラーメッセージが表示される。デバイスマネージャーではGPUの横に黄色いビックリマーク。OSがGPUを正常に認識できていない。

AMDはサポート記事PA-622でこの問題を公式に認め、エンジニアが調査中であること、修正版が用意でき次第提供すると発表した。当面の回避策は、前バージョンのAdrenalin 26.6.1へダウングレードすることだ。

AMD

奇妙なのは、公式リリースノートにこの問題が記載されていない点だ。Known Issues(既知の問題)にはBattlefield 6のクラッシュやBlenderの描画不具合が並んでいるのに、Windows 10での起動失敗は載っていない。別途サポート記事で対応するという扱いになっている。

AMD

影響は広い。リリースノート上、26.6.2はWindows 10 64ビット版21H2以降を正式サポートしている。対応を謳いながら動かない。テスト工程でWindows 10環境を十分にカバーできていなかった可能性がある。

影響を受けたら

すでに26.6.2をインストールして問題が発生している場合、AMD Cleanupユーティリティを使ったうえで26.6.1にダウングレードするのが確実だ。通常のアンインストール→再インストールだけでは症状が解消しないケースも報告されている。

26.6.1に戻せばGPUは正常に動作するが、当然ながらFSR 4.1のRDNA 3対応は含まれない。Assassin's Creed Black Flag ResyncedとDOOM: The Dark Ages | Revelationsへの公式最適化も26.6.2の新機能であり、26.6.1にはない。Windows 10ユーザーは、修正ドライバが出るまでこれらの恩恵を受けられない。

Valveも同じ日に動いた

26.6.2の公開と同日、ValveがProton ExperimentalにFSR 4.1のINT8版を含むファイルを一時的にプッシュしていたことが明らかになった。すぐに削除されたが、取得できたユーザーの検証によれば、RDNA 3だけでなくRDNA 3.5(Radeon 890M等)でも動作が確認されている。AMDがRDNA 3.5へのFSR 4.1対応について明言を避けてきたなかでの出来事だ。Steam Machineに向けたProton統合が進んでいることを示唆する。

AMDのジャック・フイン(Jack Huynh)上級副社長はFSR 4.1の公開にあたり、「RDNA 3 APU向けに軽量な機械学習モデルを開発中」と述べた。統合グラフィックスへの展開も視野に入っている。

良いドライバ、悪いドライバ

26.6.2の中身を整理する。修正された問題は、RX 7000シリーズでRoadCraftプレイ中に発生していたクラッシュと、RX 6000シリーズでHP Reverb G2ヘッドセット使用時の紫画面の2件。残っている既知の問題は、Battlefield 6のクラッシュ(Ryzen AI 9 HX 370環境)、Battlefield 6でのFSRが無効と表示される問題(RX 9000シリーズ)、BlenderとCinema 4Dの描画不具合(RX 7000以上、26.3.1への退避推奨)。

FSR 4.1のRDNA 3対応は文句なく大きい。半年以上待たされたユーザーの声に応え、予定より早く提供した。一方でWindows 10の問題は、ドライバの基本的な品質保証への不安を残す。

Windows 11に移行済みのRX 7000ユーザーなら、迷わずインストールしていい。Windows 10を使い続けている人は、修正版を待つしかない。

参照元: AMD Software: Adrenalin Edition 26.6.2リリースノート

他参照: AMD サポート記事PA-622(Windows 10互換性問題)

関連記事

この記事を共有する