Windows 11に埋め込まれた広告ID。オフにする手順
Windows 11はユーザーごとに広告用の追跡IDを生成し、デフォルトで有効にしている。設定アプリからオフにできるが、止められるものと止められないものがある。
Windows 11はユーザーごとに広告用の追跡IDを生成し、デフォルトで有効にしている。設定アプリからオフにできるが、止められるものと止められないものがある。
広告IDとは何か
Windows 11は、ユーザーごとに一意の広告IDを生成している。ユーザーとデバイスの両方に紐付く英数字の文字列で、アプリ開発者と広告ネットワークがこのIDを使ってユーザーの行動履歴を蓄積・分析し、アプリ内で表示する広告を選別する仕組みになっている。
ブラウザCookieと同じ構造だ。ウェブサイトがCookieでユーザーを識別し、閲覧履歴に基づいた広告を表示するように、広告IDはWindowsのアプリ層でそれと同等の役割を果たす。違いは、ブラウザCookieがブラウザごとに管理されるのに対し、広告IDはOSレベルで発行され、そのWindows上で動くすべての対応アプリに共有される点にある。
この広告IDは、Windows 11の新規インストール時にデフォルトでオンになっている。ユーザーがPCを初めて起動した時点で、広告IDの割り当ては始まっている。そして広告主がこのIDを通じてどんなデータを収集したのかを確認する手段を、Windows 11は提供していない。
オフにする手順と、その限界
広告IDの無効化は、設定アプリから数ステップで完了する。「プライバシーとセキュリティ」を開き、「推奨事項 & オファー」に進み、「広告識別子」をオフにする。
オフにすると、それまで蓄積された広告プロファイルは削除される。再度オンにした場合はIDがリセットされ、白紙の状態から始まる。
ただ、オフにしても広告の表示数自体は変わらない。Microsoftが公式に述べている通り、変わるのは広告の関連性で、パーソナライズされた広告が消え、代わりに無関係な広告が表示されるようになる。また、この設定はWindowsのアプリ層にしか影響せず、ブラウザ上のCookieベースの追跡はブラウザ側で別途対処する必要がある。
もうひとつのID
広告IDとは別の追跡識別子が、Windows 11には存在する。GDID(Global Device Identifier)と呼ばれるデバイスレベルの識別子で、Microsoftのサーバーが発行し、Windowsのレジストリに格納される。
広告IDとGDIDの決定的な違いは、ユーザーが制御できるかどうかにある。広告IDにはオフスイッチがあり、リセットも可能で、プロファイルの削除もできる。GDIDにはどれもない。設定アプリにGDIDの項目は存在せず、OSのアップデートを経ても値は変わらない。唯一GDIDが変わるのはWindowsを再インストールしたときだが、同じMicrosoftアカウントでサインインすれば、Microsoftのサーバー上で新旧のGDIDは紐付け可能になる。
GDIDの存在が一般に知られるようになったのは、2026年7月に公開された米連邦訴状がきっかけだった。ハッキンググループScattered Spiderのメンバーとされるピーター・ストークス(Peter Stokes)容疑者を、FBIがVPNと3か国をまたいで追跡した事件で、GDIDが決め手のひとつになった。
Microsoftは法廷で、GDIDについて「Windowsのインストールを一意に識別する、永続的なデバイスレベルの識別子」と説明している。
Microsoftは、GDIDは広告目的には使われないとしている。Appleの広告識別子にはApp Tracking Transparency(アプリの追跡の透明性)による同意画面とリセット機能があり、Androidにも同様の制御がある。GDIDにはどちらもない。
| 広告ID | GDID | |
|---|---|---|
| 初期状態 | オン | オン |
| 無効化 | 設定から可能 | 不可 |
| リセット | 再オンで新ID | 再インストールのみ |
| 広告への影響 | 関連性低下 | 広告用途なし |
| 同意画面 | なし | なし |
| データ確認 | 手段なし | 手段なし |
Windowsは、消せるIDと消せないIDを同時に走らせている。片方はユーザーの指先で止まり、もう片方はユーザーの知らないところで動き続ける。

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