Nova Lake-S。iGPU PL2は40W、チップ全体で154W
以前「65W」とされていた数字の中身が見えてきた。iGPUの最大消費電力はその6割程度にとどまり、残りはマザーボード側の設計マージンだった。
以前「65W」とされていた数字の中身が見えてきた。iGPUの最大消費電力はその6割程度にとどまり、残りはマザーボード側の設計マージンだった。
65Wの正体
Nova Lake-Sの12コアXe3P内蔵GPU(iGPU)について、7月下旬に「フルグラフィックス性能を引き出すには65W級の電力供給区分が必要」というリーク情報が出ていた。この数字が独り歩きし、iGPU自体が65Wを消費するという解釈が広まった。
今回、同じリーカーのJaykihn氏が内訳を明かした。
The iGPU-specific PL2 is currently 40W.
— Jaykihn (@jaykihn0) August 9, 2026
The chip-wide PL2 is currently 154W. https://t.co/nZymZZRjmD
iGPU固有のPL2(最大ターボ電力)は40W。チップ全体のPL2は154W。
65Wはマザーボードの電力供給設計(PD segment)の容量であって、iGPUが常時食う電力ではなかった。iGPU PL1(定常消費電力)は15〜25W程度とされており、40Wはあくまで瞬間的な最大値だ。1000W電源を積んだPCが常に1000Wを引っ張らないのと同じ話で、65Wの電力供給設計は突入電流のマージンを含む。
この区別は小さくない。65Wという数字は、電力レール側の設計基準だった。
154Wの中身
チップ全体のPL1(ベースTDP)は65W。オーバークロック非対応の通常モデルと同じ電力帯で、PL2は現行Core Ultra 5 225F(121W)を上回り、オーバークロック対応のKモデル(159W)よりは下に位置する。
154Wという数字自体は、デスクトップCPUとして突出して高いわけじゃない。注目すべきはその配分だ。154Wのうち最大40WがiGPUに割り当てられている。チップ電力の4分の1超が、内蔵グラフィックスの最大ブーストのために確保されている計算になる。
通常のデスクトップCPUでは、iGPUの電力配分はチップ全体から見て端数だ。画面を映す最低限の機能にしか使わないから、VCCGTフェーズ(iGPU専用の電力供給回路)は1基で足りる。Nova Lake-Sの12 Xe3P搭載SKUは、この回路を2基要求する。Jaykihn氏は、この電力供給区分の設計について「上にも下にも動かせない。マザーボードの1つのPDマクロセグメントに固定される」と説明している。
Yes. The iGPU power limit is currently 40W.
— Jaykihn (@jaykihn0) August 9, 2026
The PD segment is notable because you cannot go higher or lower without sacrificing iGPU performance. You are locked to one macro PD segment of motherboard.
マザーボードメーカーにとっては、VCCGTフェーズを2基載せるかどうかが製品設計の分岐点になる。このSKUのiGPU性能をフルに使いたければ、対応した電源設計のボードを選ぶ必要がある。
L2キャッシュは25%増の20MB
電力の話と同時に、iGPUのL2キャッシュ容量も判明した。
Xe3P 12Xe L2 cache 20MB (Nova Lake) ⬆️
— Jaykihn (@jaykihn0) August 8, 2026
Xe3 12Xe L2 cache 16MB (Panther Lake)
Nova Lakeの12 Xe3P構成はL2キャッシュ20MB。現行Panther Lakeの12 Xe3構成が16MBなので、25%の増量になる。
キャッシュの増量はiGPUにとってメモリ帯域の不足を緩和する手段だ。ディスクリートGPUが専用の広帯域メモリ(GDDR6やHBM)を持つのに対し、iGPUはCPUとメインメモリを共有する。キャッシュを増やせば、メインメモリへのアクセス頻度を下げてその弱点を薄められる。Xe3からXe3Pへの移行で性能向上を図る上で、キャッシュの拡大は妥当な設計判断に見える。
12 Xe3P構成はデスクトップ、モバイル、エッジの3セグメントに展開されるという。Nova Lake-Hの一部SKUにはデュアル4 Xe3P(4コア×2)の構成も用意される見通しだ。
40Wが意味するもの
AMD側のデスクトップAPUは、現時点でRadeon 860M(RDNA 3.5、8コンピュートユニット)が最上位だ。Intelの12 Xe3Pは、現行Panther Lakeの12 Xe3がIntel公式ベンチでRTX 4050相当のスコアを出していることを踏まえると、その強化版をデスクトップの余裕ある熱設計枠で回すことになる。
ただ、40WのiGPUが本当にディスクリートGPUを不要にするかは、実際のベンチマーク次第だ。数字の上では有望に見えても、ドライバの成熟度やゲームごとの最適化で結果は大きく変わる。IntelのiGPUはXe2世代のArc B580で信頼を勝ち取ったが、ディスクリートGPU版のXe3P(Celestial)はゲーミング向けがキャンセルされている。iGPUでの実力証明が、Xe3Pアーキテクチャにとっては唯一のゲーミング実績になる。
Nova Lake-Sは2027年初頭のラウンチが見込まれている。すべてリーク段階の暫定仕様であり、製品版で変わる可能性はある。
40Wという数字が示しているのは、Intelがデスクトップ向けiGPUを「画面を映す部品」から「ゲームを動かす部品」に変えようとしていることだ。その意思は、マザーボードに専用の電力回路を2本要求するという設計から読み取れる。あとは動くシリコンが証明する番だ。
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