Windows 11、AI不要の実用5機能が7月に全員へ

Windows 11、AI不要の実用5機能が7月に全員へ

Windows 11の7月アップデート(KB5095093)で、Copilot+ PCもAIサブスクリプションも不要な5つの実用機能が全PCに展開される。更新の一時停止をカレンダーで選べるようになり、PCを72時間前の状態に丸ごと巻き戻す復元機能が一般提供される。ウィジェットは静かになり、Bluetoothは一度にこれだけ直るのかというほど手が入った。6月のプレビュー配信を経て、7月14日のPatch Tuesdayで全ユーザーに届く。


「AIではない」ことの意味

2026年のWindows 11は、毎月のようにAI関連の機能を積んできた。Copilotがタスクバーに住みつき、AIエージェントがバックグラウンドで走り、Recallはセキュリティ研究者からの指摘が絶えない。そのたびにSNSで繰り返されてきた声がある。「AIより先にやることがあるだろう」。

7月のアップデートは、その声に対するMicrosoftの回答に見える。5つの目玉機能はどれもCopilot+ PCを必要としない。NPUもクラウドも関係ない。Windows 11 24H2と25H2が動くすべてのPCに届く、地に足のついた改善だ。

更新の一時停止がカレンダーに変わる

設定 > Windows Update に、カレンダー型の一時停止UIが加わる。終了日を選ぶだけで最大35日間の一時停止が可能になり、期限が来る前に日付を選び直せば何度でも延長できる。

従来の「1週間」「2週間」といった固定選択肢は不自由だった。プレゼン前夜、出張中、納期直前。更新を止めたい理由は人それぞれで、「5週間まで」という上限に意味はない。Microsoftは2026年に入ってからこの方針を転換し、3月には事実上の無期限一時停止を認める姿勢を公式に示した。カレンダーUIはその到達点であり、「更新は止められない」というWindows 11の悪評を実質的に終わらせる。

もっとも、これは「更新しなくていい」という話ではない。一時停止を繰り返してセキュリティパッチを何か月も当てないユーザーが増えれば、それはそれで問題になる。だが少なくとも、判断はユーザーの手に戻った。

ポイントインタイム リストアが全PCに降りてくる

「ポイントインタイム リストア」が、InsiderチャネルからRelease Previewに降り、7月に一般提供される。PCをまるごと過去の状態に巻き戻す復元機能だ。有効にすると、Windowsがボリューム シャドウ コピー サービス(VSS)を使ってOSボリューム全体のスナップショットを自動で取り続ける。アプリ、設定、個人ファイルまで含めた完全な状態を最大72時間保持し、何か壊れたらWindows回復環境から選んで巻き戻せる。

設定 > システム > 回復 から有効化でき、スナップショットの作成間隔は4時間から24時間まで選べる。クラウド不要、サブスクリプション不要。すべてローカルで完結する。

ポイントインタイム リストア vs システムの復元
ポイントインタイム
リストア
システムの復元
復元対象OSボリューム全体OS・レジストリ・設定
個人ファイル含む(巻き戻る)原則影響なし
保持期間最大72時間最大60日
作成間隔4〜24時間(自動)イベント時+手動
起動方法Windows回復環境設定またはWinRE
※ポイントインタイム リストアはVSSでOSボリュームのブロックレベルスナップショットを取得。システムの復元の保持期間はKB5060842(2025年6月)以降の値

従来の「システムの復元」との違いは明確だ。システムの復元がレジストリとシステムファイルだけを戻すのに対し、ポイントインタイム リストアはOSボリューム上のすべてを戻す。ドライバー更新で画面が映らなくなった、Windows Updateのあとに起動が遅くなった。そうした「直前までは動いていた」トラブルに、初期化よりずっと手軽に、かつ確実に対処できる。

ただし万能ではない。復元対象はOSボリュームだけで、別パーティションのデータには触れない。ストレージの空き容量が少なければスナップショットの作成自体が失敗する。72時間を過ぎた復元ポイントは自動で消える。バックアップの代替にはならない。それでも、「更新が怖いから止めている」というユーザーにとっては、更新を受け入れるハードルを大きく下げるセーフティネットになる。

ウィジェットが「静かになる」

ウィジェットがホバーで開かなくなる。それだけで、どれほどの人が救われるか。

タスクバーのウィジェットボタンに触れただけでMSNフィードが画面を覆い尽くす。隣のアイコンをクリックしようとして、指がわずかにずれるだけで起きる事故だった。Microsoftはこれを「デフォルトの動作」として何年も放置し、ユーザーはレジストリ編集やサードパーティツールで無効化してきた。

7月のアップデートでは、ホバーによる展開がデフォルトで無効になる。通知バッジは最小化され、バッジの色はWindowsのアクセントカラーに合わせて目立たなくなる。初回起動時にはMSNフィードではなくダッシュボードが表示され、ロック画面のウィジェットも天気だけに絞られる。ダッシュボードを離れればバッジは自動でクリアされる。

ウィジェットが「押し付けてくるもの」から「見に行くもの」に変わる。2025年にはニュースリンクがEdge経由ではなくデフォルトブラウザで開くようになり、MSNフィードと広告のデフォルト無効化も進んでいた。今回はその延長線上にある仕上げであり、ウィジェットの存在感を最小限に抑える方向への転換が完了に近づいた。

画面ティントでディスプレイに色を被せる

設定 > アクセシビリティ に、画面全体にカラーオーバーレイを重ねる「画面ティント(Screen Tint)」が追加される。夜間モードが色温度だけを調整するのに対し、画面ティントは色そのものと強度をユーザーが選べる。プリセットにはアンバー、ブルー、グリーンなどが用意され、カスタムカラーとスライダーによる強度調整にも対応する。

長時間の画面作業で目の疲れに悩む人や、光過敏のために着色レンズを使っている人にとって、OS内蔵の代替手段になる。地味だが、毎日PCの前に座る人にとっては実用的だ。

同じアップデートで拡大鏡も改善される。倍率をテキスト入力で直接指定でき、拡大鏡バーからインクリメントの変更が可能になる。毎回Windowsの設定まで遷移する必要がなくなった。

BluetoothがWindows 11史上最大の修正を受ける

Bluetoothの不安定さはWindowsの持病だ。ヘッドセットが突然切れる、ハイバネーション復帰後に再接続しない、ミュートボタンの状態がOSと食い違う。7月のアップデートでは、こうした問題にまとめて手が入る。

中でも大きいのがマイクミュート状態の同期だ。Bluetoothヘッドセットのミュートボタンを押したとき、Windowsのオーディオミキサーとハンズフリープロファイル(HFP)のミュート状態が一致するようになる。これまではヘッドセット側のLEDが「ミュート」を示していても、Windows側ではミュートが解除されているという事態が起きていた。ビデオ会議中にこれが起きれば、聞こえていないはずの発言が相手に届く。

そのほか、AirPodsのペアリングモードでの認識が速くなり、Beats Studio Proのマイク安定性が改善される。LE Audioストリーミングは切断からの復帰が確実になり、マイク併用時のオーディオ再生開始も速くなる。クラシックBluetoothデバイスはハイバネーション復帰後の再接続が高速化される。

Phone Link経由の通話にも改善が入る。ペアリング済みのスマートフォンから発信したとき、呼び出し音はスマートフォン側で鳴り、相手が応答してからPC側にオーディオが切り替わるようになる。従来は発信直後にPCへ音声が飛んでしまい、呼び出し音がPC側から聞こえるという不自然な動作だった。また、Windowsで「応答不可」が有効なときは、ペアリング済みスマートフォンからの着信音がPC側で鳴らなくなる。

一つひとつは地味な修正だ。だが「Bluetoothが壊れている」というユーザーの実感は、こうした小さな不具合の積み重ねから生まれていた。それをまとめて片付けるアップデートは、Windows 11としては珍しい。

そのほかの改善

絵文字パネルのGIFプロバイダーがTenorからGIPHYに切り替わった(Tenor APIの廃止に伴うもの)。エクスプローラーのアドレスバーが二重バックスラッシュや引用符付きパスを正しく処理するようになり、パスのコピペで引っかかっていたパワーユーザーの不満が解消される。プリンターの新規セットアップはIPP(Internet Printing Protocol)がデフォルトになり、古いドライバーベースのインストールから脱却する。Copilot+ PCではフランス語・ドイツ語・スペイン語の音声アクセスと音声入力が追加され、リアルタイムの文法・句読点補正が効くようになる。タッチパッドの右クリック領域のサイズが小・中・大から選べるようになった。

Insiderではもっと先が見えている

7月のアップデートは全PCに届くが、Insiderチャネルでは25H2以降の変更がさらに先行している。タスクバーの移動(上・左・右への配置変更)がテスト中で、スタートメニューの全面的なカスタマイズがExperimentalチャネルに入っている。検索ではタイポや部分一致でもアプリが見つかるようになり、Bing検索結果を非表示にするトグルがテストされている。

26H2は2026年秋のリリースが確認済みだ。7月のアップデートが「地味だが確実な改善」なら、年後半にはWindows 11の見た目と操作感が大きく変わる可能性がある。

参照元:Windows 11 Insider Release Preview Build 26100.8728/26200.8728 - Microsoft Learn

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