Xが「コミュニティ」廃止、利用率0.4%の数字の裏側

X(旧Twitter)が「コミュニティ」機能を5月30日で廃止する。利用率0.4%未満なのにスパム報告の80%を生んだというのが説明だが、その数字自体がXの手で作られたのではないかという批判が噴出している。

Xが「コミュニティ」廃止、利用率0.4%の数字の裏側

X(旧Twitter)が「コミュニティ」機能を5月30日で廃止する。利用率0.4%未満なのにスパム報告の80%を生んだというのが説明だが、その数字自体がXの手で作られたのではないかという批判が噴出している。


「0.4%が80%のスパムを生む」という数字

ビアー氏の説明は明快だ。コミュニティ機能は利用率0.4%未満でありながら、X全体のスパム報告・金融詐欺・マルウェアの80%を占めていた。ある週にはチーム時間の半分を消費し、アプリの他の部分の開発が滞ったという。数字だけ見れば、廃止の判断は妥当に見える。

移行先としてXChatのグループチャットが案内された。現在350人が上限だが、24日に500人、数週間以内に1,000人まで引き上げる予定だ。ビアー氏は「ごく一部を除き対応可能」としている。あわせて、Premium会員向けに75以上のトピックをホーム画面にピン留めできる「カスタムタイムライン」も展開中で、ニッチな関心への投資は続くと強調した。

ビアー氏の投稿を原文に近い形で再現すると、次のような言い回しになる。

コミュニティには素晴らしいビジョンがあった。だがユーザーの0.4%未満しか使わず、スパム報告、金融詐欺、マルウェアの80%を生んだ。ある週にはチームの時間を半分食っていた。その間、アプリの他の部分は放置されたままだった。

Xの姿勢として、この判断自体は理解できる。保守コストが収益に見合わないプロダクトを切ることは、どの企業でもやることだ。問題は、その前段階にある。

「使われなくなった」のか「使えなくされた」のか

発表への反応で最も鋭かったのは、利用率の低さそのものへの疑義だった。Xのユーザー @oAstriaa 氏は「0.4%だって?お前らがコミュニティタブをデスクトップのmoreタブの中に入れて、誰にも見えないようにしたからだろう。モバイルでは一時期タブごと消えていた」と投稿。Smoking T1ger氏も「数字を尻から取り出してきただけだ。お前らはコミュニティタブを隠して、何ヶ月もトラフィックを迂回させてきた」と突き放している。

実際、コミュニティ機能は今月上旬から新規作成ができなくなっていたと日本のテックブログが指摘している。発表直前に機能を静かに縮小し、利用が減ったところで「使われていない」を理由に廃止する。判断の前提となる数字そのものが、Xの側で作られたものではないか——これが反発の核心だ。

Diecou氏の表現が的確だった。「視認性を下げておいて、ずっと前から決めていた決定を正当化するために統計を持ち出した」。0.4%という数字は原因ではなく、結果かもしれない。

反発した大物クリエイターたち

IShowSpeed(アイ・ショー・スピード)、xQc(エックスキューシー)、KSIといったXで最大級のフォロワーを持つクリエイターが、そろって再考を求めた。IShowSpeedは10万人以上が所属する自身のコミュニティを引き合いに「やめるべきじゃない」と投稿。KSIは「なぜこんなことをするのか、本当にやめてほしい」と書き、xQcは自身の「The Jungle」コミュニティが必要だと訴えた。

これに対しビアー氏の返しは冷淡だった。IShowSpeedのコミュニティは「4月の平均アクティブは287人」と具体的な数字を投げ、別の投稿では「500%成長しても時間投資は正当化されないだろう」と切り捨てている。成功した少数のコミュニティの大半はKickへの集客チャネルか、有償の切り抜き師コミュニティだったとも指摘。ビアー氏はこれを「Temu版のsubreddit」と揶揄した。

ren alana氏の返信は、このやり取り全体を象徴している。

あなたがプロダクトと、自分が管理しているプラットフォームのユーザーについて語るときの軽蔑と嫌悪は異様だ。ユーザー満足度と、あなたが力を入れる機能の間にある断絶がそこに表れている。

XChatへの集約が意味するもの

廃止の論理的帰結として、Xは「つながり」のインフラをオープンな場(Timeline、コミュニティ、カスタムタイムライン)とクローズドな場(XChat)に二分することになる。コミュニティが持っていた半公開と半クローズの中間領域が消える。

この変化は、2022年のElon Musk買収以降のXの方向性と一貫している。広告主離れで収益が落ち込んだ同社は、サブスク(Premium)、決済(X Money)、取引機能(Smart Cashtags)と、個人のトランザクションから収益を取る方向へ舵を切ってきた。「興味でゆるくつながる場」より、「決済が回る閉じた空間」のほうがビジネス的に価値が高い。

同時に、Redditのようなフォーラム文化をXに持ち込もうとした試みが失敗したとも読める。コミュニティの成功例が「切り抜き集客チャネル」だったという事実は、X上でサブカルチャー的な場を育てるのは難しかったことを示している。盛り上がる議論はタイムラインで起こり、深い会話はDiscordに流れる。「中間に居場所がなかった」。

残るのは数字だけではない

機能廃止そのものより、ユーザーが引っかかったのは、自分たちが使ってきた機能の「開発責任者」が、その機能と利用者を見下していた点だろう。数字の低さは事実としても、その数字を作った責任の一端はXにある。それを棚に上げて「Temu版のsubreddit」と笑ってみせる姿勢は、移行先のXChatに人が移ってくる動機を削いでいる。

1万人を超えるコミュニティも含め、多くのユーザーが5月30日までに別の場所を探すことになる。Blake Robbins氏の皮肉が、今回の顛末を最もよく言い当てているかもしれない。

Xがコミュニティを閉じるのは、Discordへの巨大な贈り物だ。クリエイターコミュニティの多くは、まだ居場所を必要としている。Discordがデフォルトの受け皿になる。

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