YouTube、広告収益の参加条件を2倍に引き上げ。2018年以来の大幅変更
Shortsの1日あたり再生回数が2,000億回を超えた巨大プラットフォームが、新規クリエイターへの門を狭くする。既存メンバーには影響しないが、これから収益化を目指す人にとっては別の話だ。
Shortsの1日あたり再生回数が2,000億回を超えた巨大プラットフォームが、新規クリエイターへの門を狭くする。既存メンバーには影響しないが、これから収益化を目指す人にとっては別の話だ。
9年ぶりの引き上げ
YouTubeが現地時間8月10日、YouTubeパートナープログラム(YPP)の参加条件を改定すると発表した。
2027年2月1日以降、新規クリエイターが広告収益とPremium収益の配分を受けるには、過去365日間の総再生時間8,000時間、または過去90日間のShortsの再生回数2,000万回が必要になる。登録者1,000人の条件は変わらない。
現行の条件は再生時間4,000時間、Shorts再生1,000万回。どちらもちょうど倍だ。
YPPの広告収益条件が変更されるのは、2018年2月に総再生回数1万回から「4,000時間+登録者1,000人」に切り替えて以来、約9年ぶりとなる。
すでにYPPに参加しているクリエイターの資格には影響しない。スーパーチャットやチャンネルメンバーシップなどの視聴者ファンディング、ショッピング機能の参加条件(登録者500人+再生時間3,000時間または300万Shorts再生)も据え置かれる。
| 適用時期 | 登録者 | 再生時間 | Shorts再生 |
|---|---|---|---|
| 広告・Premium収益の条件 | |||
| 2017年4月 | — | 再生回数1万回 | — |
| 2018年2月 | 1,000人 | 4,000時間 | — |
| 2027年2月 | 1,000人 | 8,000時間 | 2,000万回 |
| 視聴者ファンディングの条件 | |||
| 2023年6月 | 500人 | 3,000時間 | 300万回 |
ショート収益に新しい足切り
条件の引き上げとあわせて、Shortsの収益配分にも新たな要件が加わる。
2027年2月1日以降、Shorts Creator Pool(ショート広告の収益プール)から配分を受けるには、過去90日間に1,000万回以上のShortsの再生が必要になる。この基準を下回っても、チャンネルはYPPに残る。長尺動画の収益はそのまま継続する。Shortsの再生が1,000万回に戻れば、収益配分も自動的に再開する。
基準を下回るクリエイターには、ショッピングボーナスやブランド契約の制作クレジット、トレンド活性化のインセンティブなど、広告収益に頼らない収益手段を提供するという。詳細は今後公開される。
Premium Liteの全世界展開
同じ発表の中で、YouTubeはPremium Liteを、YouTube Premiumが提供されている全地域に拡大すると明らかにした。日本ではすでに月額780円(税込)で提供されている。
クリエイターへの収益配分の仕組みも示された。Premium Liteの場合、純定額収入の60%がクリエイター向けの配分プールに充てられる。通常のPremiumは30%にとどまる。
このプールは視聴時間と再生回数に基づいてクリエイターに分配される。長尺動画の取り分は55%、Shortsは45%。
YouTubeは「Premiumに加入したユーザーからの収益は、広告を視聴していた頃よりも平均して高い」としている。
条件は2倍、でもプラットフォームも2倍以上に育った
YouTubeは引き上げの理由として「YouTubeの成長に歩調を合わせるため」と説明している。Shortsの1日あたりの再生回数は2,000億回を超え、テレビでの視聴時間は1日10億時間に達した。
2018年の条件変更では、それまでの「1万回再生」から「4,000時間+1,000人」に引き上げ、不正チャンネルやスパムの排除が目的だった。影響を受けたチャンネルの99%は年間収益が100ドル未満だったとYouTubeは説明していた。
今回も事情は似ている。条件が倍になっても、すでに一定の視聴者を持つクリエイターには到達可能な数字だろう。だが「これから始める」人にとって、8,000時間は軽い数字じゃない。1年で8,000時間の再生を稼ぐには、毎日平均22時間分の視聴を集め続ける必要がある。
YouTubeは同時にアクティビティ要件も更新している。2027年2月1日以降、YPP内でチャンネルが「アクティブ」とみなされるには、過去365日間に1,000時間の再生、または過去90日間に100万回のShortsの再生、あるいは90日ごとに長尺動画2本もしくはShorts5本の投稿が求められる。基準を下回った場合は90日間の猶予が与えられる。
他のプラットフォームも動いている
収益プログラムの再編はYouTubeだけの動きではない。
Xは現地時間8月8日、クリエイター向けの収益配分プログラムを刷新し、オリジナルコンテンツだけを報酬対象とする方針に切り替えた。Facebookも今年3月、TikTokやYouTubeからクリエイターを引き込むための新しい収益化プログラムを立ち上げている。
プラットフォームが大きくなるほど、「誰に報酬を払うか」の線引きが厳しくなる。300万人以上が参加するYPPの中で、YouTubeは活発に視聴者を集めるクリエイターへの配分を手厚くし、その代わりに入口を狭くする方向を選んだ。既存メンバーは2027年1月31日までにYouTube Studioで更新規約に同意すれば、これまで通り収益化を続けられる。
8年前、4,000時間が「高い壁」だった時代がある。それが当たり前になった今、次の当たり前は8,000時間になる。
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