6月の月例更新で、ごみ箱が「中身」を見せてしまう

6月の月例更新で、ごみ箱が「中身」を見せてしまう

Windowsのごみ箱からファイルを完全に削除しようとすると、確認ダイアログに見覚えのない文字列が表示される。自分が削除した「レポート.docx」ではなく、「$R4K9MW.docx」。6月のセキュリティ更新を適用した全てのWindows環境で、この症状が確認されている。


ずっと隠されてきた裏側

Windowsのごみ箱は、見た目ほど単純な仕組みではない。ファイルをごみ箱に送ると、内部では $Rxxxxx というランダムな識別子にリネームされる。元の名前やパス、削除日時は別の $Ixxxxx ファイルにメタデータとして残る。エクスプローラーがこの2つを照合して、ユーザーには元のファイル名だけを見せていた。Windows Vista以降、この仕組みは一度もユーザーの目に触れることなく動き続けてきた。

6月9日に配信されたセキュリティ更新(Windows 11 24H2/25H2向けのKB5094126ほか)が、この内部名を表に出してしまった。ごみ箱の一覧では従来どおり正しいファイル名が並ぶが、ファイルを1つ選んで完全に削除しようとすると、確認ダイアログにはエクスプローラーが「翻訳」する前の内部名がそのまま出てくる。

Microsoftは6月18日、Windows Release Health Dashboardでこの問題を公式に認めた。

実害はないが、影響は広い

データの破損は起きない。ファイルの復元も正常に動く。ごみ箱の一覧に出るファイル名も正しい。問題は完全削除時の確認ダイアログだけだ。

ただし影響範囲は異例に広い。対象はWindows 11の26H1から23H2、Windows 10の22H2とEnterprise LTSC/LTSB各世代、さらにWindows Server 2025から2012 R2まで。現在サポートされているクライアントとサーバーのほぼ全てだ。確認ダイアログ1枚の表示バグがこれほどの範囲に及ぶのは珍しい。ごみ箱のシェル処理が、それだけ深くWindows全体で共有されている。

6月更新、トラブルの連鎖

今月のPatch Tuesdayでは、ごみ箱の問題はむしろ穏やかな部類に入る。同じKB5094126の適用後、一部のPCでBitLocker回復画面が誤って表示され、システムにアクセスできなくなる問題が報告されている。ローカルアカウントでBitLockerを明示的に無効化していた環境では回復キーがバックアップされておらず、データにたどり着けないケースも出ている。サードパーティ製アプリからOfficeを起動できなくなる不具合や、一部のHP・Dell環境でのブルースクリーンなど、複数の問題が並走している。

それでも、198件の脆弱性修正とゼロデイ対応を含む更新だ。物理アクセスでBitLockerを突破できる脆弱性(CVE-2026-50507)も修正対象であり、適用しないという選択肢は現実的ではない。

セキュリティ更新は必要だ。だが、その更新が別の問題を生む。この繰り返しを、ユーザーはもう何年も見ている。

対処と見通し

一般ユーザー向けの回避策は今のところない。Microsoftは将来のWindows更新で修正を配信する予定としているが、次回のPatch Tuesdayで届くのか、定例外の緊急パッチになるのかは明らかにしていない。企業環境ではMicrosoftのビジネスサポートに問い合わせることで回避策を入手できるとしている。

確認ダイアログに「$R」から始まるファイル名が出ても、実際に削除されるのはごみ箱の一覧で確認できるファイルと同じものだ。見た目が不審なだけで、別のファイルが消えるわけではない。不安なら、削除する前にごみ箱を開いてファイル名を確かめればいい。

参照元:Windows 11, version 25H2 known issues and notifications - Microsoft Learn

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