Ryzen AI MAX+ 495リーク、メモリ192GBに到達
AMDの次期Halo APU「Ryzen AI Max+ PRO 495」の姿がPassMark経由で表に出た。GPUはRadeon 8065S、搭載メモリは192GB。Strix Haloの上限128GBを大きく超える数字が並ぶ。
192GBという数字が意味するもの
リーカーのGray(@Olrak29_)がPassMarkのベースラインを発掘したことで、AMDの次期Halo APU「Gorgon Halo」の最上位モデルが姿を現した。
検証マシンに搭載されたチップの正式名称は AMD Ryzen AI Max+ PRO 495 with Radeon 8065S。CPUは16コア32スレッド、L3キャッシュ64MBで、現行のStrix Halo世代(Ryzen AI Max+ 395)と同じ規模感を維持している。
注目すべきは、その周辺に並ぶ数字の方だ。検証機にはH58GJ8MK9BX209Nというモジュールが8枚、合計で192GB分のLPDDR5Xが載っていた。OSが認識した容量は188GB。AMD公式が現行Strix Haloで上限としている 128GB の枠を、明らかに踏み越えている。
Total Memory: 188GB, Number of RAM Modules: 8 Slot 1〜8: H58GJ8MK9BX209N
192GBという容量は、ノートPC向けAPUの常識からするとかなり異質だ。Strix Halo自体が「ノートPC用APUに128GBのユニファイドメモリ」というサイズですでに市場を驚かせている。Gorgon Haloはさらにその上を5割上積みする計算になる。
なぜ容量が重要なのか
Strix Halo世代で128GB全域がGPUからアクセス可能という設計が、ローカルLLM推論の文脈で大きな意味を持っていた。70B級の量子化モデルを統合GPU側のメモリプールから直接走らせられるからだ。Framework DesktopやGMKtec EVO-X2、ASRock AI BOX-A395といったStrix Halo搭載機が、まさにこの「ローカルAI機」としての需要を取り込んでいる。
そこに192GB枠が現れたとなれば、想定される使われ方の上限がさらに上がる。AMD公式は現行Strix Haloについて「128GBのうち最大96GBをGPU専用VRAMに変換可能」と明示している。192GB世代でこの上限がどこまで引き上げられるかは未公表だが、ローカルLLM推論で扱える最大モデルサイズに直結する数字になる。デスクトップRTX 5090でもVRAMは32GBどまりで、それを大きく上回るメモリ容量を統合GPU側に持たせられるノート型APUは、まだ他に存在しない。
|
|
ただし、AMD公式が「Strix Haloは128GBまで」と明示してきた以上、Gorgon Halo世代では メモリコントローラ側の拡張 が入っていると見るのが自然だ。LPDDR5Xチップ単体の高密度化と、コントローラの対応容量上限の引き上げ、その両方が揃わないと192GBには届かない。
ベンチマーク数値の冷静な見方
PassMarkに記録されたスコアは、シングルスレッドの4293とマルチスレッドの57525という値だ。
これを現行のRyzen AI Max+ PRO 395(シングル4086、マルチ51778)と並べると、シングルで5%、マルチで10%ほど上回る。同じZen 5・16コア構成でこの差が出るとすれば、 クロック底上げ が寄与していると考えるのが自然だ。検証時のCPU実測クロックは3.09GHzと記録されているが、これは特定ワークロード時の値であって、ブーストの最大値ではない。
|
Ryzen AI Max+ PRO 395 (Strix Halo)
Ryzen AI Max+ PRO 495 (Gorgon Halo)
|
PassMarkのページには「サンプル数1件、誤差大(Margin for error: High)」との但し書きが添えられている。リーク段階のチップはBIOSやドライバが詰め切れていないことも多く、製品版のスコアと一致するとは限らない。
10%という数字を「確定した世代間ギャップ」として扱うのは、まだ早い。
GPU側のスコアもPassMark上で出ており、3Dベンチマークで18427を記録している。Strix HaloのRadeon 8060Sが18185なので、ここでの差はわずか1.3%。GPUコアの規模はおそらく据え置きで、 クロック微増にとどまる 可能性が高い。事前のリークでも、Gorgon Haloの主な差分は「100MHz前後のクロックアップ」と「LPDDR5X-8533への対応」とされており、PassMarkの結果はこの予想とおおむね整合している。
Strix Halo世代との位置づけ
Gorgon Haloは、アーキテクチャを刷新する世代ではない。Zen 5とRDNA 3.5という骨格はそのままに、クロックとメモリ周りを詰めてきたリフレッシュ版という位置づけだ。
| 項目 | Ryzen AI Max+ 395 (Strix Halo) |
Ryzen AI Max+ 495 (Gorgon Halo) |
|---|---|---|
| CPUコア | Zen 5 16コア / 32スレッド |
Zen 5 16コア / 32スレッド |
| L3キャッシュ | 64MB | 64MB |
| 統合GPU | Radeon 8060S 40CU |
Radeon 8065S 40CU想定 |
| メモリ規格 | LPDDR5X-8000 | 未公表 |
| メモリ上限 | 128GB (公式仕様) |
192GB (検証機で確認) |
| PassMark シングル |
4,086 | 4,293 (+5.1%) |
| PassMark マルチ |
51,778 | 57,525 (+11.1%) |
事前のリーク情報では、Gorgon Haloの差分は「100MHz前後のクロック上振れ」と「LPDDR5X-8533対応」が中心とされてきた。今回の192GBという数字は、その想定を超える動きで、メモリコントローラ側にも手が入っている可能性を示唆する。
「派手な世代交代」を期待していた読者には肩透かしかもしれない。ただ、AMDが今のHalo路線で勝負しているのは、ベンチマーク棒グラフの長さではなく ローカルAI実用領域 だ。192GBという数字は、その領域での競争を押し上げる材料になる。
残された問い
このリークから読み取れない情報も、まだ多い。
ひとつは、TDPと消費電力だ。Strix Halo世代の上位機はピーク140W・継続120Wで動作しており、メモリ容量とクロックを伸ばした状態でこの枠に収まるかは未知数だ。検証機のマザーボードが「HP 8F6D」と記録されている点から、HPのワークステーションクラスかゲーミングノートでの試験と推測できる。薄型機で同じ性能を引き出せるかは、また別問題だ。
Gorgon Haloは、Strix HaloのFP11パッケージを共通で使う設計とされており、既存の基板を流用できる利点がある。一方で、配線層やVRMの設計はメモリ容量・クロックの上振れぶんを織り込んで再設計される可能性が高い。
もうひとつは価格と販売チャネルだ。Strix Haloでさえ「ゲーミング用途では割高」と評されることが多い。Gorgon Haloで192GB構成が市場に出てきたとき、その価格帯を受け止められる層は限られる。AI開発者・研究者・小規模スタジオあたりが一次の買い手になりそうだが、 コンシューマ機の受け皿 は限定的だろう。
AMDのGorgon Haloラインナップは、複数のリーク情報で 2026年第4四半期 の投入が見込まれている。詳細は2026年6月のComputex 2026で出てくる可能性が高く、PassMarkに転がっていた今回のベースラインは、その前哨戦の足音くらいに受け取っておくのがちょうどいい温度感だ。
この世代の真価が見えるのは、製品版が市場に出て、192GBという数字が実機で何を可能にするかが示された時だ。
参照元
関連記事
- Ryzen AI Max 400、192GBで3000億パラメーターLLMをPC1台で
- Ryzen PRO初の16コアX3D、PassMarkに姿現す
- AMDのAI開発機「Ryzen AI Halo」が予約開始。DGX Sparkより約11万円安い
- FSR 4.1がRDNA 3.5に来ない? AMD幹部の否定と残る疑問
- AMDがRTX Sparkを歓迎する余裕の裏側
- gkh_clanker_t1000の正体、Framework Desktopが浮上
- X3Dはゲーム専用じゃなかった、RAGで光る大容量キャッシュ
- Corsair Strix Halo PCが突如1100ドル値上げ
- 正体不明のAMD GPU「GFX1156」がドライバに出現。RDNA 3.5は終わらない
- FSR 4.1のRDNA 3.5対応、AMD上級副社長が「来るとは言っていない」