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映画業界がWayland移行に本腰を入れる

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映画業界がWayland移行に本腰を入れる

VFXとアニメーションの制作現場は、長年Linux上のX11に依存してきた。そのX11が消える。RHEL 10からXorgサーバーは削除され、GNOMEもX11コードを完全に落とした。デスクトップLinuxの世界ではWaylandへの移行がほぼ完了したが、プロの映像制作現場では話が違う。ペンタブレット、カラーマネジメント、スタジオ間のリモートアクセス、数百人のアーティストが同時に使う商用・自社製ツール群。X11の上に積み上げてきたワークフロー全体が、Waylandで同じように動く保証はまだない。 業界横断のワーキンググループが発足 Academy Software Foundation(ASWF)と視覚効果協会(VES)の技術委員会は現地時間6月24日、「Wayland for Artists Working Group」の設立を発表した。VFX・アニメーション業界全体でWayland移行の課題を洗い出し、ロードマップを策定するための中立的な場だ。 ASWFは米映画芸術科学アカデミーとLinux Foundationが2018年に設立した組織で、OpenEXR、OpenVDB、

KVM ARM64新機能ゼロ。AIパッチの代償

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KVM ARM64新機能ゼロ。AIパッチの代償

Linux 7.2のマージウィンドウに投入されたKVMの変更一覧には、奇妙な空白がある。Intel向けもAMD向けもs390もRISC-Vも新機能を載せているのに、ARM64だけが「新機能なし」で終わった。 2026年6月18日、KVMメンテナーのパオロ・ボンジーニ(Paolo Bonzini)氏がリーナス・トーバルズ氏へプルリクエストを送った。そこにはKVM/arm64メンテナーのマルク・ザンジエ(Marc Zyngier)氏のコメントが引用されている。今回は純粋に修正だけだと前置きし、AI生成の修正パッチが大量に流れ込んだせいで新機能のレビューに手が回らなかったと説明している。 修正に埋もれたマージウィンドウ KVMに限った話ではない。ARM64アーキテクチャ全体のメンテナーであるウィル・ディーコン(Will Deacon)氏は自身のプルリクエストの冒頭で、AIツールの台頭が機能開発のペースを落としたと認め、Sashiko(LLMベースのコードレビューシステム)による追加のレビューラウンドもあって、いくつかの機能が次のサイクルに先送りになったと書いている。 KVM ARM

トーバルズが「不快」と一蹴したのは機能ではなく、ファイルの置き方だった

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トーバルズが「不快」と一蹴したのは機能ではなく、ファイルの置き方だった

新しいコードに不具合があったわけではない。遅いわけでもない。リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)が「不快だ」と書いたのは、ファイルをディレクトリのどこに置くか、その一点だった。そして彼が引き合いに出したのは、半世紀前の技術だった。 機能には何も言わなかった 舞台はLinuxカーネルの次期版、7.2のマージウィンドウ。sched_extと呼ばれる仕組みの更新が、トーバルズのもとに届いた。sched_extは、ユーザー空間で動くBPFプログラムとしてCPUスケジューラを書ける拡張可能スケジューラの枠組みで、6.12でカーネル本体に取り込まれて以来、ゲーミング性能の改善やスケジューラ研究の素早い試作に使われてきた。今回の7.2では、サブスケジューラ支援の開発が続いている。1つのシステムに複数のスケジューラを階層的に載せ、ワークロードごとに最適なものを割り当てる構想だ。マルチテナント環境のような場面で効いてくる。 トーバルズは、この機能のどれにも反対しなかった。コードは取り込んだ。ただし、取り込みながらこう書いた。 Please don't do this disgu

USB4STREAMがLinux 7.2にマージ。ケーブル1本のPC間転送が正式機能に

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USB4STREAMがLinux 7.2にマージ。ケーブル1本のPC間転送が正式機能に

5月にパッチ段階で報じたUSB4STREAMが、Linux 7.2のメインラインに正式マージされた。USB4/Thunderboltケーブルで直結したPC間を、ネットワークスタックを経由せずに生データが流れる。 ケーブル直結のストリーム転送、メインラインへ 現地時間6月22日、USBサブシステムのメンテナであるグレッグ・クロー=ハートマン(Greg Kroah-Hartman)氏が、Linux 7.2-rc1向けのUSB/Thunderboltドライバ変更をリーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏に提出した。トーバルズ氏は異議なくGitマスターにマージしている。 目玉はUSB4STREAMだ。IntelのThunderboltメンテナ、ミカ・ヴェステルベリ(Mika Westerberg)氏が5月に提出したパッチは、Thunderbolt.gitの「next」ブランチを経て、今回メインラインカーネルに到達した。stream.cだけで1,698行。プルリクエスト全体では194ファイルに手が入り、約7,000行が加わった。 仕組みはシンプルだ。USB4/Thunde

Xfce Waylandコンポジタ「xfwl4」初版が公開

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Xfce Waylandコンポジタ「xfwl4」初版が公開

今年1月に開発が発表されたXfceのWaylandコンポジタ「xfwl4」の初のプレビュー版が出た。約半年の開発を経たアルファ版で、広くテストしてもらう段階に入る。 半年の開発が形になった Xfceには長年、X11ウィンドウマネージャーのxfwm4がある。xfwl4は、そのWayland版にあたるコンポジタだ。Rustで一から書かれている。 1月にXfceプロジェクトがコア開発者のブライアン・タリコーン(Brian Tarricone)氏への開発スポンサーシップを発表し、年初から同氏がフルタイムで開発に集中してきた。当初「年半ばにリリース」としていた目標を、ほぼ予定どおりに達成した格好だ。 タリコーン氏はこれをアルファ版と位置づけている。バグや未実装機能は残るが、より多くの環境で動かしてフィードバックを集める時期に来たとしている。 「X11と区別がつかない」が最終目標 xfwl4の開発目標は、Xサーバー上で動くXfceデスクトップの操作感を、Wayland上でも可能な限り再現することだ。既存のxfwm4設定ダイアログやxfconfの設定値をそのまま流用できるよう設計され

Bcachefs 1.38.6、「実験的」卒業後の実力をベンチマークで確認する

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Bcachefs 1.38.6、「実験的」卒業後の実力をベンチマークで確認する

「実験的」の看板を外したBcachefs。その最初のリリースとなる1.38.6が、データベースやコンパイルといった実ワークロードでどれだけ前に進んだのか。独立したベンチマークが公開された。 200本のパッチが積み上げたもの 開発者のケント・オーバーストリート(Kent Overstreet)氏がBcachefs 1.38.6を「パフォーマンスリリース」と呼んだ。Bツリーのイテレータからトランザクションコミット、ジャーナル、ファイルシステムレベルのコードまで、200本以上のパッチを投入している。 変更の中身は地味だが効いている。ジャーナルのフラッシュパスは完全にロックフリーになった。Bツリーのシャーディングも手が入り、新規inodeの割り当てをCPUではなくPIDに基づかせ、ロック競合時にはスレッドをデータのシャードに対応するCPUへ移動させる。トランザクションコミットのホットパスが4KBのマシンコードにまで縮んだ。 ここで一つ、開発者が掘り当てた厄介な原因がある。GCCが static_branch_unlikely() を適切に処理できていなかった。Linuxカーネルにはラ

FSR 4.1.1がValveの手違いで流出。RDNA 3.5でも動く

GPU

FSR 4.1.1がValveの手違いで流出。RDNA 3.5でも動く

AMDが「決定していない」と言い続けたRDNA 3.5へのFSR 4対応が、Valveのうっかりミスであっさり証明された。 Proton Experimentalから消えた62MBのDLL 6月22日、Valveが配信するLinux向け互換レイヤーProton Experimentalの最新ブランチに、あるファイルが追加された。amdxcffx64.dll。AMDのFSR 4アップスケーリングを司るDLLで、バージョンは2.3.0。AMDによるデジタル署名の日付は6月20日。ファイルサイズは62.6MB。 この変更をいち早く検出したのが、SteamDBを定常的に監視しているブラッド・リンチ(Brad Lynch)氏だ。同氏が投稿した直後、Valveは直後にファイルを引き上げたが、削除前にダウンロードしたユーザーがいた。r/radeonのRedditユーザーu/AthleteDependent926氏だ。同氏はFSR 4のリーク品をこれまでも繰り返しテストしてきたコミュニティの常連で、今回も入手したDLLをOptiScaler経由で即座に検証し、結果を公開した。 FSR 4.

Rust製zlib実装がIntel CPUバグを回避。C言語なら黙って壊れていた

Rust

Rust製zlib実装がIntel CPUバグを回避。C言語なら黙って壊れていた

zlibのRust実装「zlib-rs」の最新版0.6.4が6月21日にリリースされた。AArch64のチェックサム修正やAVX-512の最適化も含まれる。だが今回の本題は別にある。Intel Raptor Lake世代のCPUバグに対する回避策だ。 Raptor Lakeが引き起こしたクラッシュ zlib-rsは、Trifecta Tech Foundation(オランダ)が開発するRust製のzlib互換実装で、ISRGのProssimoプロジェクトが初期の開発を支援した。2024年4月の初版から採用が広がり、2026年5月にリリースされたFirefox 151.0.0でgzip圧縮・展開のデフォルトバックエンドに採用されている。 問題が起きたのは、Firefoxがzlib-rsを統合した直後だった。Nightly版でクラッシュレポートが上がり始め、ログには「論理的にありえない境界チェックの失敗」が残っていた。開発者はローカルでは再現できず、レポートが積み重なるにつれてパターンが見えてきた。クラッシュの報告元が、Intel第13・14世代Core(Raptor Lake)に

AIが直した36秒、AIが間違えた原因

Linux

AIが直した36秒、AIが間違えた原因

ASUS ROG Strix G16のLinux起動が36秒も止まる。Ryzen 9に32GBメモリを積んだハイエンドノートでだ。Gemini 3.5 Flashが原因を突き止め、カーネルパッチまで生成した。GoogleのAI開発プラットフォームAntigravity上での作業だ。起動時間は正常に戻った。ただし、AIが示した「原因」は間違っていた。 36秒の沈黙 ASUS ROG Strix G16 G614は、日本でもRyzen 9 9955HX3D搭載モデルが販売されているゲーミングノートだ。Linuxを入れると、カーネルの起動だけで約36秒かかる。電源を入れてからデスクトップが出るまでの時間ではない。カーネルそのものの起動が36秒止まる。 この問題は以前からASUSフォーラムでも報告が上がっていた。G614の複数のサブモデルで同じ症状が見つかり、ファームウェアのバージョンによっては回避策もなかった。Linuxを使うユーザーにとっては、せっかく買ったハイエンド機がまともに起動しない状況だ。 Geminiの診断 マルコ・スカルドヴィ(Marco Scardovi)氏は、

1996年のGIMP 0.54が2026年のLinuxで動く

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1996年のGIMP 0.54が2026年のLinuxで動く

30年前の画像編集ソフトが、Flatpakパッケージとして現代のLinuxデスクトップに帰ってきた。GTKが生まれる前の、Motifツールキット最後のGIMPだ。 GTKが存在しなかった時代のGIMP GIMP 0.54をFlatpakに移植したプロジェクトが、GNOME.org GitLabで公開された。開発者がGNOMEの週報「This Week in GNOME #254」で紹介している。 GIMP 0.54は1996年2月にリリースされた、GIMPの最初の公開バージョンだ。開発したのはカリフォルニア大学バークレー校のスペンサー・キンボール(Spencer Kimball)氏とピーター・マティス(Peter Mattis)氏。コンパイラの授業で使っていたCommon LISPが17MBのメモリ確保に失敗してクラッシュし、「何でもいいからCで書こう」と始めたプロジェクトだった。 当時のGIMPが依存していたのはMotifツールキット。Open Software Foundationが開発した商用のGUIライブラリで、使うにはライセンス料が必要だった。Linuxユーザーの多

Linuxカーネルからstrncpyが消えた。6年362コミットの結末

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Linuxカーネルからstrncpyが消えた。6年362コミットの結末

C言語の標準ライブラリに含まれる関数が、Linuxカーネルから完全に姿を消した。strncpy()。文字列を指定バイト数だけコピーするこの関数は、1970年代のUNIXから受け継がれ、あらゆるCプログラマが一度は使ったことがあるだろう。だが、その挙動はバグの温床だった。 何が起きたのか 現地時間2026年6月19日、リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏がLinux 7.2のマージウィンドウでプルリクエストをマージした。strncpy()のAPI定義、5アーキテクチャ(alpha、m68k、powerpc、x86、xtensa)のアセンブリ実装、FORTIFY_SOURCEの防御コード、テストケースのすべてが削除され、19ファイルから346行が消えた。 この作業を率いたのは、Googleでカーネルセキュリティの強化に取り組むケース・クック(Kees Cook)氏だ。クック氏は2015年にKernel Self-Protection Project(KSPP)を立ち上げ、「バグを個別に潰すのではなく、バグが生まれる原因そのものを消す」という方針でカーネルの堅牢化を

オープンソースのNVKドライバがDLSSに対応。まだ実験段階だが意味は大きい

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オープンソースのNVKドライバがDLSSに対応。まだ実験段階だが意味は大きい

NVIDIAのオープンソースVulkanドライバNVKが、DLSSの実行に必要なコードをMesa 26.2-develに統合した。環境変数を設定すれば、Linux上のゲームでDLSSが動く。ただし既知のバグがあり、すべてのGPUで使えるわけではない。「対応した」と「実用になる」のあいだには、まだ距離がある。 8か月かけて埋まった溝 2025年10月、Valveの開発者オータム・アシュトン(Autumn Ashton)が3日間の作業でDLSSをNVK上で動かしたと発表した。ゲーム「Control」の画面が960×540から1920×1080にアップスケールした画面がそのまま証拠になった。 DLSSの実体はCUDAカーネルの集合体だ。NVKにVK_NVX_binary_importとVK_NVX_image_view_handleという2つのVulkan拡張を実装すれば、ゲームが同梱するDLSSバイナリをGPU上で実行できる。DXVKとVKD3D-ProtonがDXVK-NVAPIを通じてこの仕組みを使い、Windows向けゲームのDLSSをLinux上で再現する。原理はシンプルだ

SteamOS 3.8安定版公開。Steam Machine発表直前のOS整備が完了

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SteamOS 3.8安定版公開。Steam Machine発表直前のOS整備が完了

3月にプレビューとして姿を見せたSteamOS 3.8が、現地時間6月17日、バージョン3.8.10として全ユーザーに届いた。Steam Machine対応、Linuxカーネル6.16、デスクトップモードのWayland標準化。3ヶ月のベータ期間を経た変更量は、パッチノートの長さだけで異例だと分かる。 発表5日前のOS整備 リーク情報によれば、Steam Machineの価格・発売日は6月23日に発表される可能性がある。6月30日に予約開始とも伝えられている。あくまで未確認の情報だが、発表の5日前にOS安定版を全ユーザーへ配信した事実は、ソフトウェアを先に仕上げる動きとして筋が通る。 パッチノート冒頭の「Steam Machineハードウェアの初期サポート」は、3月のプレビュー時点から存在していた一行だ。だが当時は言葉だけだった。安定版に載ったことで、ソフトウェア側の準備は完了段階に入った。 問題はハードウェア側にある。Valveは2025年11月の発表時、小売価格を1,000ドル前後で想定していたとされる。それがAI需要によるDRAM価格高騰で計画が崩れた。リーク情報では1

Bcachefs 1.38.6、ジャーナルのロックを全面排除。性能に本腰

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Bcachefs 1.38.6、ジャーナルのロックを全面排除。性能に本腰

カーネルの外に追い出されたファイルシステムが、速度で勝負を仕掛けてきた。Bcachefs-Tools 1.38.6は、ジャーナル周りのロック競合を根本から潰すパフォーマンスリリースだ。 ロックを捨てる Bcachefs 1.38.6が現地時間6月17日にリリースされた。ディスクフォーマットの変更はなし。目玉は新機能ではなく、コードベース全域にわたるパフォーマンスチューニングにある。 開発者のケント・オーバーストリート(Kent Overstreet)氏が公開したChangelogを読むと、手の入れ方が尋常ではない。 最大の変更は、ジャーナルフラッシュの完全ロックフリー化だ。マルチスレッドで O_SYNC や fsync を叩くワークロードで、従来はジャーナルのメインロックがボトルネックになっていた。1.38.6ではフラッシュ処理からロックを排除した。ピンリストもジャーナル全体でロックを共有する方式をやめ、リストごとの個別ロックに切り替えている。ジャーナルの読み込みにはバイナリサーチを導入し、デフォルトのジャーナルサイズも引き上げた。 データベースサーバーやコンテナ環境で f