オープンソース

Fedora、AI Desktop議論を終了。制度自体も停止

Linux

Fedora、AI Desktop議論を終了。制度自体も停止

Fedora Councilが2か月にわたるAI Developer Desktopの議論を閉じ、コミュニティ・イニシアティブの制度自体を無期限停止した。 提案の否決ではなく、制度の停止 Fedora Councilは現地時間7月1日、AI Developer Desktop提案の議論終了を宣言した。同時に、この提案を受理したコミュニティ・イニシアティブ制度そのものが機能していないとして、即時停止に踏み切っている。 声明によれば、コミュニティ・イニシアティブは新しいアイデアに建設的なフィードバックを集め、Councilの支持につなげる場として機能していなかった。進行中のFedora Forge、Atomic、Fedora Docs 2026は予定通り完了させるが、新たなイニシアティブは受け付けない。 AI Developer Desktopの道が完全に閉じたわけではない。声明は、作業が成熟すればRemixとしてCouncilの商標承認とFESCoの技術レビューを経る通常の経路を使えるとしている。提案者のゴードン・メスマー(Gordon Messmer)氏やAI/ML SIGと

ZLUDA v6公開。3度目の資金喪失と32bit PhysX対応

GPU

ZLUDA v6公開。3度目の資金喪失と32bit PhysX対応

ZLUDAがバージョン6をリリースした。NVIDIA以外のGPUでCUDAアプリケーションを無改変で動かす互換レイヤーが、32bit PhysXのプリアルファ対応、Blender動作、Windows対応の大幅改善を引っ提げて戻ってきた。同時に、プロジェクトを支えていた匿名スポンサーからの資金が途絶え、開発者アンジェイ・ヤニク(Andrzej Janik)氏の個人プロジェクトに回帰したことも発表された。ZLUDAが商業的な後ろ盾を失うのは、Intel、AMD、匿名スポンサーに続いて3度目になる。 核心の判断: 今回の新しい情報は、資金喪失と32bit PhysX対応の両方だが、記事の芯は「企業に繰り返し切られながら、切られるたびに技術的な成果を出して戻ってくるプロジェクトの構造」にある。 AMD GPUでPhysXが動く ZLUDAバージョン6の目玉は、32bit PhysXへのプリアルファ対応だ。 PhysXは2008年にNVIDIAが買収した物理演算エンジンで、以降はNVIDIA GPU専用のアクセラレーション機能として提供されてきた。2000年代後半から2010年代前半に

Linuxゲーミングのアンチチート問題にオープンソースの対案が出た

Linux

Linuxゲーミングのアンチチート問題にオープンソースの対案が出た

PCゲームのオンライン対戦で不正行為を防ぐアンチチートは、現在ほぼすべてがカーネルレベルで動作する。Windowsカーネルにドライバとして常駐し、プレイヤーのシステム全体を監視する。Easy Anti-Cheat、BattlEye、Riot Vanguardといった主要アンチチートはいずれもこの方式を採り、搭載タイトルは380本を超える。この設計のせいで、Linuxからはこれらのゲームを起動できない。TLACは、その構造に対するオープンソースの対案として登場した。 カーネルに入らないアンチチート TLAC(Tuncor's Local Anti-Cheat)はLinux向けに開発されたユーザーレベルのアンチチートツールで、2026年6月28日にバージョン2.0がリリースされた。開発言語はRust。MITライセンスのもとGitHubで公開されている。 既存のアンチチートとの最大の違いは、カーネル空間に侵入しない点にある。TLACはユーザー空間で動作し、ptraceとprocfsを使って対象ゲームのプロセスメモリだけを読み取る。ptraceはLinuxのデバッグ用システムコールで、

Linux 7.2-rc1公開。6年越しの安全対策が完了

Linux

Linux 7.2-rc1公開。6年越しの安全対策が完了

Linux 7.2のマージウィンドウが閉じ、最初のリリース候補が現地時間6月28日に公開された。パッチの3分の1をAMD GPUのレジスタ定義が占めているが、その裏では6年がかりのセキュリティ改善が完結し、AMDのHDMI 2.1対応やUSB4の新プロトコルなど、実用に響く変更が揃った。安定版は8月下旬の見込みで、カーネルのソースコードは総行数4389万行を超えた。 6年362コミット、strncpy()が消えた Linux 7.2で最も意味のある変更は、新機能の追加ではなく削除だ。 C言語の文字列コピー関数strncpy()が、カーネルのソースツリーから完全に除去された。6月20日のマージで、関数の実装そのものと全アーキテクチャ固有の最適化コードが一括で消えている。 Linuxカーネルからstrncpyが消えた。6年362コミットの結末Linuxカーネルから文字列コピー関数strncpyが完全に削除された。NUL終端を保証しない危険な仕様はバグの温床とされ、6年間で362コミット・70人の開発者がstrscpy等の安全な代替へ移行。Linux 7.2で19ファイル346行を

GLM-5.2がClaude超え。Semgrepの脆弱性検出で独立検証

AI

GLM-5.2がClaude超え。Semgrepの脆弱性検出で独立検証

Fable 5の規制から16日。米国が止めたのと同等のサイバーセキュリティ能力が、中国のオープンウェイトモデルで確認された。セキュリティ企業Semgrepの独立ベンチマークで、Z.aiのGLM-5.2がClaude Codeを脆弱性発見の精度で上回った。中国のセキュリティ大手360は「中国版Mythos」の開発を発表し、ジェフリーズはこの動きを「DeepSeekモーメント」と呼んだ。 「Mythosが家にある」 6月22日、セキュリティ分析ツールを開発するSemgrepが公開したベンチマーク結果のタイトルは「We Have Mythos at Home」(うちにMythosがある)だった。 We have Mythos at Home: GLM 5.2 beats Claude in our Cyber BenchmarksAmong models given nothing but a prompt, the best open-weight

映画業界がWayland移行に本腰を入れる

Linux

映画業界がWayland移行に本腰を入れる

VFXとアニメーションの制作現場は、長年Linux上のX11に依存してきた。そのX11が消える。RHEL 10からXorgサーバーは削除され、GNOMEもX11コードを完全に落とした。デスクトップLinuxの世界ではWaylandへの移行がほぼ完了したが、プロの映像制作現場では話が違う。ペンタブレット、カラーマネジメント、スタジオ間のリモートアクセス、数百人のアーティストが同時に使う商用・自社製ツール群。X11の上に積み上げてきたワークフロー全体が、Waylandで同じように動く保証はまだない。 業界横断のワーキンググループが発足 Academy Software Foundation(ASWF)と視覚効果協会(VES)の技術委員会は現地時間6月24日、「Wayland for Artists Working Group」の設立を発表した。VFX・アニメーション業界全体でWayland移行の課題を洗い出し、ロードマップを策定するための中立的な場だ。 ASWFは米映画芸術科学アカデミーとLinux Foundationが2018年に設立した組織で、OpenEXR、OpenVDB、

KVM ARM64新機能ゼロ。AIパッチの代償

Linux

KVM ARM64新機能ゼロ。AIパッチの代償

Linux 7.2のマージウィンドウに投入されたKVMの変更一覧には、奇妙な空白がある。Intel向けもAMD向けもs390もRISC-Vも新機能を載せているのに、ARM64だけが「新機能なし」で終わった。 2026年6月18日、KVMメンテナーのパオロ・ボンジーニ(Paolo Bonzini)氏がリーナス・トーバルズ氏へプルリクエストを送った。そこにはKVM/arm64メンテナーのマルク・ザンジエ(Marc Zyngier)氏のコメントが引用されている。今回は純粋に修正だけだと前置きし、AI生成の修正パッチが大量に流れ込んだせいで新機能のレビューに手が回らなかったと説明している。 修正に埋もれたマージウィンドウ KVMに限った話ではない。ARM64アーキテクチャ全体のメンテナーであるウィル・ディーコン(Will Deacon)氏は自身のプルリクエストの冒頭で、AIツールの台頭が機能開発のペースを落としたと認め、Sashiko(LLMベースのコードレビューシステム)による追加のレビューラウンドもあって、いくつかの機能が次のサイクルに先送りになったと書いている。 KVM ARM

トーバルズが「不快」と一蹴したのは機能ではなく、ファイルの置き方だった

Linux

トーバルズが「不快」と一蹴したのは機能ではなく、ファイルの置き方だった

新しいコードに不具合があったわけではない。遅いわけでもない。リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)が「不快だ」と書いたのは、ファイルをディレクトリのどこに置くか、その一点だった。そして彼が引き合いに出したのは、半世紀前の技術だった。 機能には何も言わなかった 舞台はLinuxカーネルの次期版、7.2のマージウィンドウ。sched_extと呼ばれる仕組みの更新が、トーバルズのもとに届いた。sched_extは、ユーザー空間で動くBPFプログラムとしてCPUスケジューラを書ける拡張可能スケジューラの枠組みで、6.12でカーネル本体に取り込まれて以来、ゲーミング性能の改善やスケジューラ研究の素早い試作に使われてきた。今回の7.2では、サブスケジューラ支援の開発が続いている。1つのシステムに複数のスケジューラを階層的に載せ、ワークロードごとに最適なものを割り当てる構想だ。マルチテナント環境のような場面で効いてくる。 トーバルズは、この機能のどれにも反対しなかった。コードは取り込んだ。ただし、取り込みながらこう書いた。 Please don't do this disgu

USB4STREAMがLinux 7.2にマージ。ケーブル1本のPC間転送が正式機能に

Linux

USB4STREAMがLinux 7.2にマージ。ケーブル1本のPC間転送が正式機能に

5月にパッチ段階で報じたUSB4STREAMが、Linux 7.2のメインラインに正式マージされた。USB4/Thunderboltケーブルで直結したPC間を、ネットワークスタックを経由せずに生データが流れる。 ケーブル直結のストリーム転送、メインラインへ 現地時間6月22日、USBサブシステムのメンテナであるグレッグ・クロー=ハートマン(Greg Kroah-Hartman)氏が、Linux 7.2-rc1向けのUSB/Thunderboltドライバ変更をリーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏に提出した。トーバルズ氏は異議なくGitマスターにマージしている。 目玉はUSB4STREAMだ。IntelのThunderboltメンテナ、ミカ・ヴェステルベリ(Mika Westerberg)氏が5月に提出したパッチは、Thunderbolt.gitの「next」ブランチを経て、今回メインラインカーネルに到達した。stream.cだけで1,698行。プルリクエスト全体では194ファイルに手が入り、約7,000行が加わった。 仕組みはシンプルだ。USB4/Thunde

Xfce Waylandコンポジタ「xfwl4」初版が公開

Linux

Xfce Waylandコンポジタ「xfwl4」初版が公開

今年1月に開発が発表されたXfceのWaylandコンポジタ「xfwl4」の初のプレビュー版が出た。約半年の開発を経たアルファ版で、広くテストしてもらう段階に入る。 半年の開発が形になった Xfceには長年、X11ウィンドウマネージャーのxfwm4がある。xfwl4は、そのWayland版にあたるコンポジタだ。Rustで一から書かれている。 1月にXfceプロジェクトがコア開発者のブライアン・タリコーン(Brian Tarricone)氏への開発スポンサーシップを発表し、年初から同氏がフルタイムで開発に集中してきた。当初「年半ばにリリース」としていた目標を、ほぼ予定どおりに達成した格好だ。 タリコーン氏はこれをアルファ版と位置づけている。バグや未実装機能は残るが、より多くの環境で動かしてフィードバックを集める時期に来たとしている。 「X11と区別がつかない」が最終目標 xfwl4の開発目標は、Xサーバー上で動くXfceデスクトップの操作感を、Wayland上でも可能な限り再現することだ。既存のxfwm4設定ダイアログやxfconfの設定値をそのまま流用できるよう設計され

OpenAI Daybreak拡大。脆弱性は見つかる、直す手が足りない

AI

OpenAI Daybreak拡大。脆弱性は見つかる、直す手が足りない

AIが脆弱性を見つける速度は、すでに人の手で修正できる速度を追い越した。OpenAIが出した答えは「見つけるだけでなく、直すところまでやる」仕組みの拡張だった。 5月の宣言から6月の実装へ OpenAIは現地時間6月22日、サイバーセキュリティ構想「Daybreak」の大幅なアップデートを発表した。5月11日の初回発表では構想と基盤が中心だったが、今回は具体的な成果と新たなプログラムが揃う。柱は4つ。セキュリティ特化モデル「GPT-5.5-Cyber」の正式版リリース、Codex Securityプラグインのアップデート、パートナー企業向けの「Daybreak Cyber Partner Program」、そしてオープンソースの脆弱性を実際に修正するイニシアチブ「Patch the Planet」だ。 4月にAnthropicがフロンティアモデル「Claude Mythos Preview」を限定公開し、Project Glasswingを立ち上げてから2ヶ月あまり。しかもAnthropicは6月12日、米商務省の輸出管理指令によりFable 5とMythos 5への全アクセス

Rust製zlib実装がIntel CPUバグを回避。C言語なら黙って壊れていた

Rust

Rust製zlib実装がIntel CPUバグを回避。C言語なら黙って壊れていた

zlibのRust実装「zlib-rs」の最新版0.6.4が6月21日にリリースされた。AArch64のチェックサム修正やAVX-512の最適化も含まれる。だが今回の本題は別にある。Intel Raptor Lake世代のCPUバグに対する回避策だ。 Raptor Lakeが引き起こしたクラッシュ zlib-rsは、Trifecta Tech Foundation(オランダ)が開発するRust製のzlib互換実装で、ISRGのProssimoプロジェクトが初期の開発を支援した。2024年4月の初版から採用が広がり、2026年5月にリリースされたFirefox 151.0.0でgzip圧縮・展開のデフォルトバックエンドに採用されている。 問題が起きたのは、Firefoxがzlib-rsを統合した直後だった。Nightly版でクラッシュレポートが上がり始め、ログには「論理的にありえない境界チェックの失敗」が残っていた。開発者はローカルでは再現できず、レポートが積み重なるにつれてパターンが見えてきた。クラッシュの報告元が、Intel第13・14世代Core(Raptor Lake)に

1996年のGIMP 0.54が2026年のLinuxで動く

オープンソース

1996年のGIMP 0.54が2026年のLinuxで動く

30年前の画像編集ソフトが、Flatpakパッケージとして現代のLinuxデスクトップに帰ってきた。GTKが生まれる前の、Motifツールキット最後のGIMPだ。 GTKが存在しなかった時代のGIMP GIMP 0.54をFlatpakに移植したプロジェクトが、GNOME.org GitLabで公開された。開発者がGNOMEの週報「This Week in GNOME #254」で紹介している。 GIMP 0.54は1996年2月にリリースされた、GIMPの最初の公開バージョンだ。開発したのはカリフォルニア大学バークレー校のスペンサー・キンボール(Spencer Kimball)氏とピーター・マティス(Peter Mattis)氏。コンパイラの授業で使っていたCommon LISPが17MBのメモリ確保に失敗してクラッシュし、「何でもいいからCで書こう」と始めたプロジェクトだった。 当時のGIMPが依存していたのはMotifツールキット。Open Software Foundationが開発した商用のGUIライブラリで、使うにはライセンス料が必要だった。Linuxユーザーの多

Linuxカーネルからstrncpyが消えた。6年362コミットの結末

Linux

Linuxカーネルからstrncpyが消えた。6年362コミットの結末

C言語の標準ライブラリに含まれる関数が、Linuxカーネルから完全に姿を消した。strncpy()。文字列を指定バイト数だけコピーするこの関数は、1970年代のUNIXから受け継がれ、あらゆるCプログラマが一度は使ったことがあるだろう。だが、その挙動はバグの温床だった。 何が起きたのか 現地時間2026年6月19日、リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏がLinux 7.2のマージウィンドウでプルリクエストをマージした。strncpy()のAPI定義、5アーキテクチャ(alpha、m68k、powerpc、x86、xtensa)のアセンブリ実装、FORTIFY_SOURCEの防御コード、テストケースのすべてが削除され、19ファイルから346行が消えた。 この作業を率いたのは、Googleでカーネルセキュリティの強化に取り組むケース・クック(Kees Cook)氏だ。クック氏は2015年にKernel Self-Protection Project(KSPP)を立ち上げ、「バグを個別に潰すのではなく、バグが生まれる原因そのものを消す」という方針でカーネルの堅牢化を