トランプ政権

トランプ政権、中国AIモデル規制に再び動く

AI

トランプ政権、中国AIモデル規制に再び動く

Kimi K3の衝撃が収まらないうちに、ワシントンが動き始めた。中国製オープンウェイトAIモデルを米国市場から締め出す構想が、政権内部で再び勢いを増している。 禁止ではなく、圧力で締め出す Axiosが7月20日に報じた内容は、単純な「禁止令」の話ではない。 政権に近い複数の関係者がAxiosに明かしたところによると、商務省は昨年、中国の複数のAIラボをエンティティリスト(取引制限リスト)に追加することを検討した。国家安全保障局(NSA)とホワイトハウスの国家サイバー長官室も、中国AIモデルのセキュリティリスクを警告する勧告の発出を検討していたという。 さらにホワイトハウスは、中国製モデルをホスティングする米国企業にセキュリティ上の責任を負わせる大統領令の案も回していた。 いずれも実行には至っていない。規制によるイノベーション阻害を嫌うホワイトハウス高官が、これらの動きを潰した。AI政策の上級顧問だったスリラム・クリシュナン(Sriram Krishnan)氏もその一人だ。 クリシュナン氏は6月末に退任した。Axiosの報道は、その退任後に国家安全保障強硬派の声が大きくな

米国土安全保障省の情報共有基盤にサイバー攻撃。W杯開催中

セキュリティ

米国土安全保障省の情報共有基盤にサイバー攻撃。W杯開催中

米国の安全保障機関が脅威情報の共有に使うプラットフォームHSINが、外部から侵害された。FIFAワールドカップ2026の警備を支えている最中の出来事で、上院情報特別委員会の幹部は国家安全保障への影響を警告している。 ワールドカップの裏で起きたこと 国土安全保障省(DHS)が運用する国土安全保障情報ネットワーク(HSIN)が、サイバー攻撃を受けた。侵害は2026年5月下旬から6月初旬にかけて発生したとみられ、DHSが7月1日に認めた。 HSINは、連邦・州・地方自治体・法執行機関・民間の重要インフラ事業者が、機密扱いではないが機微な情報を共有するためのプラットフォームだ。20年以上にわたって運用され、大規模イベントの安全確保や緊急時の対応調整、脅威情報のリアルタイム共有を担ってきた。 攻撃者はHSINのサーバーと、連携に使われるSharePointシステムの両方を標的にした。誰が、何のために侵入したのかは分かっていない。盗まれたデータの内容や量も不明のままだ。 DHSの情報分析局は被害評価を実施済みだが、調査は継続中とされる。DHS側は声明で「非機密のレガシー情報共有環境に関

SEMIがメモリ市場への政府介入に反対を表明

メモリ不足

SEMIがメモリ市場への政府介入に反対を表明

半導体業界団体SEMIが、メモリチップの供給不足に対する政府介入を控えるようトランプ政権に書簡で求めた。Appleは中国メーカーからの調達を、議員は米国顧客の優先供給を、消費者は価格引き下げを望んでいる。メモリ不足をめぐるワシントンの綱引きに、メーカー側が加わった。 メモリ不足がワシントンの政策課題になっている メモリ不足が製品価格に直接跳ね返り始めた6月下旬、Appleが全MacとiPadの価格を最大300ドル引き上げた。マイクロソフトもXboxの価格を100〜150ドル引き上げると発表した。Dell、HP、任天堂も同様の対応を取っている。 AI向けデータセンターがメモリ生産能力の大半を吸い上げ、PC・スマートフォン・自動車向けの供給が構造的に逼迫している状況は、報じられて久しい。 新しいのは、この問題がワシントンで複数の方向から政治的な圧力を生み始めたことだ。 SEMIは7月1日付で、スコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官、ピート・ヘグセス(Pete Hegseth)国防長官、ハワード・ラトニック(Howard Lutnick)商務長官、マルコ・ルビ

OpenAI、米政府に株式5%の譲渡を提案。約7兆円

AI

OpenAI、米政府に株式5%の譲渡を提案。約7兆円

OpenAIが米国政府に対し、自社株式の5%を譲渡する提案を行っていることが明らかになった。現時点の企業価値8520億ドルに基づけば、約426億ドル(約7兆円)に相当する。1年以上にわたる水面下の協議が、具体的な数字を伴って表面化した。 5%が意味するもの 現地時間7月2日、フィナンシャル・タイムズが事情を知る2人の関係者の話として報じた。サム・アルトマン(Sam Altman)氏ら経営陣が提案した枠組みは、OpenAI単独の話にとどまらない。米国の主要AI企業がそれぞれ株式の5%を政府の運用機関に拠出し、その配当を国民に還元する構想だ。手本として想定されているのはアラスカ永久基金。石油収入を原資に州民へ年次配当を行っている、米国内では数少ない公的資産配分の実例にあたる。 アルトマン氏はこの構想を2025年初頭にトランプ大統領に直接提案し、その後もハワード・ラトニック(Howard Lutnick)商務長官、スコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官と協議を重ねてきた。直近数週間ではバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員とも接触している。

Fable 5とMythos 5の輸出規制が全面解除。18日ぶりにアクセス再開へ

AI

Fable 5とMythos 5の輸出規制が全面解除。18日ぶりにアクセス再開へ

6月12日に止められたClaude Fable 5が、18日後に返ってきた。何が変わったのか、政府もAnthropicも明かしていない。 商務省が3通目の書簡 6月30日(現地時間)、Anthropicは商務省からClaude Fable 5とClaude Mythos 5の輸出規制を解除する通知を受けたと発表した。アクセスは翌7月1日から順次復旧する。 We’ve received notice that the Department of Commerce has lifted export controls on Claude Fable 5 and Mythos 5. We'll begin restoring access tomorrow, and will share an update soon. We’re

トランプ政権のAI規制を業界が懸念 政策変更と献金の関係を検証

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トランプ政権のAI規制を業界が懸念 政策変更と献金の関係を検証

シリコンバレーの億万長者たちは、バイデン政権のAI安全政策が米国のイノベーションを潰すと警告し、トランプ陣営に巨額を献金した。AIを自由に伸ばす、規制はしない。就任直後のトランプ大統領はその期待通りに動き、州レベルのAI規制を封じることに注力した。 2026年6月、その約束は跡形もない。 「バイデン式の規制が恋しい」 6月に入り、ホワイトハウスはAnthropicとOpenAIに対して立て続けに介入した。Anthropicの最上位モデルMythos 5とFable 5には輸出管理指令が出た。外国籍者へのアクセスを禁じる内容で、Anthropicは国籍の即時判別ができないため全ユーザーを遮断した。OpenAIにはGPT-5.6のリリースを政府が承認した約20社に限定するよう要請した。いずれもサイバーセキュリティ上の懸念が理由とされるが、具体的な基準は示されていない。 6月26日、ラトニック(Howard Lutnick)商務長官がAnthropicに書簡を送り、Mythos 5については100社超への再配布を許可した。ただしFable 5の制限解除には触れていない。同じ日にOp

Mythos 5が限定復活、Fable 5はまだ止まっている

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Mythos 5が限定復活、Fable 5はまだ止まっている

6月12日に全世界で遮断されたAnthropicの最上位AIモデルが、2週間ぶりに動き出した。ただし「全面復旧」ではない。米政府が認めたのはMythos 5だけ、対象は約100の米国組織だけ、一般向けのFable 5は書簡で触れられてすらいない。同じ日にOpenAIのGPT-5.6も政府承認済みの約20社にしか公開されなかった。誰が最も強いAIモデルを使えるか。それを決めるのは、もう開発企業ではない。この2週間で、その構造が既成事実になった。 書簡の中身 現地時間6月26日金曜日、ハワード・ラトニック(Howard Lutnick)商務長官からAnthropicのトム・ブラウン(Tom Brown)共同創業者に宛てた書簡が届いた。宛先がCEOのダリオ・アモデイ(Dario Amodei)氏ではなくブラウン氏になっている理由は後述する。 書簡の要旨はこうだ。6月12日の指令以降、Anthropicは米政府とともにリスク対応に取り組み、十分な成果が得られた。よって「信頼されたパートナー」に限り、Mythos 5へのアクセスを認める。ラトニック氏は承認リストをいつでも変更できるとし、

基準なき規制がフロンティアAIを止めている

AI

基準なき規制がフロンティアAIを止めている

Fableが止まった。GPT-5.6も制限された。だが何が安全かの基準は、まだ存在しない。 「許可」の条件を、誰も知らない フロンティアAIモデルの一般公開が、米国政府によって事実上の許可制に移行している。 AnthropicのFable 5が輸出管理指令で全ユーザーから遮断されたのは6月12日。それから2週間、復旧のめどは立っていない。6月26日にはOpenAIのGPT-5.6が、政府が個別に承認した約20社のパートナーだけに限定リリースされた。フロンティアモデルの公開を米国政府が事前に制限したのは、これが初めてになる。 フロンティアAI規制の経緯(2026年2月〜6月) 2月Anthropicをサプライチェーンリスクに指定国防総省が指定。連邦機関での利用を禁止 3月Anthropicがトランプ政権を提訴サプライチェーンリスク指定の違憲性を主張 6月2日AIサイバーセキュリティ大統領令に署名「任意の」事前テスト提供を規定。事実上の事前承認制 6月4日Great American AI Act ドラフト公表超党派の連邦AI規制法案。269ページ 6月9

米政府がGPT-5.6のリリースに介入。顧客ごとの承認制へ

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米政府がGPT-5.6のリリースに介入。顧客ごとの承認制へ

OpenAIの次期モデルGPT-5.6のリリースが、米政府の要請で大きく変わった。一般公開ではなく、政府が承認した少数のパートナー企業だけがアクセスできる限定プレビューとして提供される。 AIモデルのリリースに政府が踏み込んだ日 6月25日、OpenAIのサム・アルトマン(Sam Altman)CEOが社内Q&Aで従業員に伝えた内容が報じられた。GPT-5.6は当初の一般公開を取りやめ、限定プレビューとしてリリースする。プレビュー期間中、政府が顧客ごとにアクセスを承認するという。 要請の出どころは、ホワイトハウスの国家サイバー長官室(ONCD)と科学技術政策局(OSTP)だ。米政府がAI企業に対し、モデルのリリース前に制限を求めたのはこれが初めてになる。 Anthropicに対する輸出規制指令とは性格が異なる。Fable 5とMythos 5の件では商務省が法的拘束力のある指令を出し、全ユーザーのアクセスが即座に停止された。今回は強制ではなく協議だ。政府の要請にOpenAIが応じている。 Mythos級のサイバー能力 なぜ政府はGPT-5.6に踏み込んだのか。 アルト

OpenAI、ホワイトハウスAI政策の立案者を獲得。Anthropic規制の翌週に

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OpenAI、ホワイトハウスAI政策の立案者を獲得。Anthropic規制の翌週に

OpenAIが、トランプ政権でAI政策の中枢にいた人物を新チームの長に迎える。Anthropicが米政府の輸出規制で最新モデルを止められた、その翌週の人事だ。 「内側に入らなければ前に進めない」 ディーン・ボール(Dean W. Ball)氏が6月18日、OpenAIへの参加を発表した。入社は7月6日付で、OpenAIが新設するStrategic Futures(戦略的未来)チームを率いる。最高戦略責任者ジェイソン・クォン(Jason Kwon)氏の直属だ。 ボール氏はトランプ政権下でホワイトハウス科学技術政策局のAI・新興技術担当上級政策アドバイザーを務めた。2025年7月の「AIアクションプラン」の主要起草者であり、米国のAI政策の骨格を内側から書いた当事者だ。退任後はFoundation for American Innovation(テクノロジー規制緩和を掲げる中道右派のシンクタンク)のシニアフェローに復帰し、「Hyperdimensional」と題したSubstackでAI政策の分析を発信し続けてきた。OpenAI入社後もFAIには非常勤で残る。 Strategic

Anthropic従業員「狙い撃ちされている」。Fable停止から6日、社内の混乱

AI

Anthropic従業員「狙い撃ちされている」。Fable停止から6日、社内の混乱

AIの安全性を掲げてきた企業が、安全性を名目に製品を止められた。Fable 5とMythos 5の停止命令から6日。Anthropicの約3000人は、いまだ納得のいく説明を受けていない。 変わり続けた「理由」 現地時間6月12日金曜、ホワイトハウスからAnthropicに電話が入った。最新モデルのFable 5とMythos 5を市場から引き揚げろ、という指示だった。猶予は90分もなかった。 社内のグループチャットは即座に騒然となったと報じられている。マネージャーたちは顧客向けの案内を準備するよう指示されたが、肝心の「理由」が二転三転した。最初は外国企業によるアクセスが問題だと告げられ、次にはモデルに重大な脆弱性が見つかったと説明が変わった。 社内チャットでは混乱がにじんでいたという。「クライアントに何と伝えればいい?」「何を信じればいいのか、誰か知ってる?」「そもそも何が問題なのか分からない」。 6日が経った。Anthropic幹部はワシントンへ飛び、月曜・火曜と政府側と面会を重ねたが、制限解除には至っていない。Anthropicは月曜の声明で「政府との協力を継続する」

AI企業への政府出資、閣僚2人の構想が割れる

AI

AI企業への政府出資、閣僚2人の構想が割れる

トランプ政権が検討するAI企業への政府出資案をめぐり、閣僚の間で資金の使い道が割れていることが明らかになった。Anthropicへの輸出規制が交渉の空気を壊し、業界の大半は拒否姿勢を崩していない。 「トランプ口座」か「政府系ファンド」か スコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官とハワード・ラトニック(Howard Lutnick)商務長官が、政府がAI企業から取得する株式の使い道について異なる構想を持っていると報じられた。 ベッセント氏が支持するのは、AI企業の株式をトランプ口座の原資に充てる案だ。トランプ口座とは、2025年7月成立のOne Big Beautiful Bill Actで創設された18歳未満向けの税制優遇貯蓄口座だ。連邦政府が1人あたり最大1,000ドルの初期資金を拠出し、すでに400万人以上の子どもが登録している。AI企業の株式運用益をここに流し込めば「AIの恩恵を次世代に届ける」という政治的な絵が描ける。 一方のラトニック氏は、政府系ファンドへの充当を推している。重要鉱物のサプライチェーン確保を目的に複数の企業への出資を交渉してきた同氏

Fable 5輸出規制、G7同盟国の例外要請も拒否

テクノロジー

Fable 5輸出規制、G7同盟国の例外要請も拒否

Anthropicの最先端AIモデルが、発売わずか3日で全世界から引き上げられた。安全保障上の脅威とされたのは、たった三語のプロンプトだった可能性がある。G7の場で英国が再開を求めても、米国は首を縦に振らなかった。 発売3日で全世界停止 6月9日、AnthropicはClaude Fable 5とClaude Mythos 5を公開した。一般ユーザーに提供する初のMythosクラスモデルで、ソフトウェア工学のベンチマークSWE-Bench Proで80.3%を記録。サイバーセキュリティ関連のクエリは自動的にClaude Opus 4.8へ迂回させるセーフガードを備え、API価格は入力100万トークンあたり10ドル、出力50ドルに設定された。 3日後の6月12日、両モデルは停止した。 米商務省のハワード・ラトニック(Howard Lutnick)長官がAnthropicのCEOダリオ・アモデイ(Dario Amodei)氏宛てに書簡を送り、Fable 5とMythos 5への輸出規制を発動した。米国内外を問わず、外国籍者によるアクセスをすべて禁じる内容で、Anthropicの外

Copilot CoworkにDeepSeek検討。AIコスト高騰が生んだ矛盾

AI

Copilot CoworkにDeepSeek検討。AIコスト高騰が生んだ矛盾

Microsoftのエンタープライズ向けAIエージェント「Copilot Cowork」が6月16日、全世界で一般提供を開始した。あわせて明らかになったのが、従量課金制への移行と、中国DeepSeekのV4モデルを低コスト選択肢として検討中であるという事実だ。ホワイトハウスがAnthropicのFable 5に輸出規制をかけた、わずか数日後の発表になる。 トークンという名の燃料費 Copilot Coworkは、Microsoft 365の業務データを横断して複数ステップのタスクを自律実行するエージェントだ。内部にはAnthropicのClaude(Opus 4.8、Sonnet 4.6)を搭載し、メールの仕分け、リサーチ、資料作成までをバックグラウンドでこなす。3月の発表以降、Fortune 500の半数以上が利用し、Microsoftの「Frontierプログラム史上最速で成長した機能」と位置づけられている。 問題はコストだ。エージェント型AIはタスクを完了するまでモデルを繰り返し呼び出す。一問一答のチャットとは消費構造が根本的に違う。MicrosoftのCopilot担当