著作権

米司法省がW杯違法配信サイト約400件を一斉押収。4年前の5倍規模

セキュリティ

米司法省がW杯違法配信サイト約400件を一斉押収。4年前の5倍規模

ワールドカップの試合を無料で観られるサイトを探すと、そのほとんどにマルウェアが仕込まれている。米司法省は現地時間6月26日、2026年FIFAワールドカップの試合を無許可で配信していた約400のドメインを押収したと発表した。違法配信サイトの92%に悪意あるコンテンツが含まれていたという調査結果がある。「タダで観る」代償は、視聴者自身の端末と個人情報だ。 「オペレーション・オフサイズ」が動いた 「オペレーション・オフサイズ」と名付けられたこの作戦は、国家知的財産権調整センター(IPRセンター)と国土安全保障捜査局(HSI)が主導した。バージニア州東部地区連邦地裁の令状に基づいて執行され、FIFAが侵害ドメインを特定。beINメディア・グループ、NBCユニバーサル、映画協会傘下のACE(Alliance for Creativity and Entertainment)、UFC、ワーナー・ブラザースが補足情報を提供している。 違法配信のサーバーはペルーとブルガリアで確認された。クロアチア、ルーマニア、ポーランド、コロンビアの各国当局も連携して関連ドメインの摘発に動いている。ブラジル

400の地方紙がOpenAIとMicrosoftを提訴。記事を無断でAI学習に利用

AI

400の地方紙がOpenAIとMicrosoftを提訴。記事を無断でAI学習に利用

アメリカの地方紙や地域紙を発行する出版社の連合体が、OpenAIとMicrosoftをニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に提訴した。原告は400近い新聞を発行する出版社の連合で、地方紙がAI企業を訴えた著作権訴訟としては過去最大の規模になる。 何を訴えているのか 事件番号はRichner Communications, Inc. v. Microsoft Corp.(1:26-cv-05320)、提出日は現地時間2026年6月24日。リッチナー・コミュニケーションズはニューヨーク州ロングアイランドを拠点に、ピューリッツァー賞受賞歴のあるThe Riverdale Pressなど70以上のコミュニティ紙を発行する地域メディア企業だ。筆頭原告としてこの訴訟を率いる。 原告連合にはニューヨーク・アムステルダム・ニュース(ニューヨーク最古のアフリカ系アメリカ人コミュニティ紙)、アーカンソー・デモクラット・ガゼット、ニューメキシコ州のThe Taos Newsなど、数十州にまたがる出版社が参加している。 主張の柱は2つある。1つは著作権法違反。OpenAIが出版社のウェブサイトを組織的

スターマー辞任が残すテック政策の宿題

テクノロジー

スターマー辞任が残すテック政策の宿題

キア・スターマー(Keir Starmer)首相が6月22日、辞任を表明した。2024年7月の地滑り的勝利からわずか2年足らず。英国は10年で7人目の首相を迎えることになる。スターマー氏がテック政策に残した遺産を検証する。 「AI超大国」を掲げた2年間 スターマー政権のテック政策は、一言でまとめるなら「壮大な計画書と、未完の法律」だ。 2025年1月、首相はマット・クリフォード(Matt Clifford)氏に委託した「AI機会行動計画」を発表し、50の提言すべてを受け入れると宣言した。国内のAI計算資源を2030年までに20倍にする。750万人にAIスキル研修を受けさせる。英国をG7最速のAI導入国にする。数字は大きく、意思は明確だった。 辞任のわずか2週間前、London Tech Week 2026の壇上でも勢いは衰えていなかった。AIチップ購入に4億ポンド(約850億円)を含む11億ポンド規模のAIハードウェア計画を発表。AMDが最大20億ポンド、ネビウス(Nebius)が17億ポンドの英国投資を表明し、英国初のソブリンAIフロンティアモデル「Lumen Sovere

AI訓練に使われた2100万曲、検索可能に

AI

AI訓練に使われた2100万曲、検索可能に

テイラー・スウィフト、ビートルズ、ニルヴァーナ。AI音楽生成サービスが訓練に使った楽曲のデータベースが、誰でも検索できる形で公開された。自分の曲が含まれているかどうか、アーティスト自身の手で確認できる。 「91年分の音楽」を飲み込んだデータセット The Atlanticのスタッフライター、アレックス・ライスナー(Alex Reisner)氏がAI開発コミュニティで流通する4つの巨大な音楽データセットを特定し、検索可能な形で公開した。同氏が主導する調査プロジェクト「AI Watchdog」の音楽版だ。 AI Watchdog - The AtlanticThe Atlantic’s ongoing investigation of the books, videos, and other media used by the world’s most powerful tech companies to train their AI

CNNがPerplexityを著作権侵害で提訴

AI

CNNがPerplexityを著作権侵害で提訴

AI検索エンジンPerplexityに対し、米CNNが著作権侵害訴訟を起こした。テレビ局によるAI企業への提訴は初とみられる。1万7000件超のコンテンツを無断で複製・配信したとする訴えの背景には、ライセンス交渉の決裂と、報道業界全体に広がる「ただ乗り」への怒りがある。 テレビ局が初めてAI企業を訴えた 2026年5月28日、CNNはAI検索企業Perplexityをニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に提訴した。1万7000件超のコンテンツを無断でスクレイピングし、自社のAI製品に利用したというのが訴えの骨子だ。 CNNにとってAI企業への訴訟はこれが初めてであり、テレビネットワークとしても初の事例とみられている。ニューヨーク・タイムズ紙やダウ・ジョーンズ(ウォール・ストリート・ジャーナル発行元)、シカゴ・トリビューン紙が先行して訴訟を起こしてきたが、その戦線が活字メディアから映像メディアへ広がった格好だ。 交渉は決裂していた 訴状によれば、CNNは2025年にPerplexityとコンテンツライセンス契約の交渉に入ったが、利用範囲で折り合えなかった。つまりPerplex

テイラー・スウィフト、「声」を商標出願――AI対策の新手法

AI

テイラー・スウィフト、「声」を商標出願――AI対策の新手法

「声」は誰のものか。AIが歌手そっくりの音声を合成できる時代に、テイラー・スウィフトが選んだのは著作権ではなく、商標という前例のない法的手段だった。 3件の商標出願が意味するもの 2026年4月24日、テイラー・スウィフト(Taylor Swift)の権利管理会社TAS Rights Managementが米国特許商標庁(USPTO)へ3件の商標を出願した。 2件は「サウンドマーク」と呼ばれる音声商標だ。スウィフト氏本人が「Hey, it's Taylor Swift」「Hey, it's Taylor」と語りかける短いフレーズが対象になっている。いずれも最新アルバム『The Life of a Showgirl』のプロモーションとしてSpotifyとAmazon Music向けに録音された音声だ。 残る1件は視覚的な商標で、Eras Tourで着用したきらびやかなボディスーツにシルバーブーツ、ピンクのギターを手にステージに立つスウィフト氏の写真が対象になっている。 サウンドマークとは、製品やサービスを識別する「音」を保護する商標の一形態だ。Netflixの「

YouTubeにAI海賊版オーディオブックが氾濫、出版社が技術で反撃

AI

YouTubeにAI海賊版オーディオブックが氾濫、出版社が技術で反撃

YouTubeが事実上の「無料オーディオブックライブラリ」と化している。AIが急増を加速させ、出版社は対抗策として技術企業との提携を始めた。 合法版と並んで育つ"影の図書館" ジョン・グリシャム(John Grisham)のベストセラー法廷ミステリーは、Audibleや書店で広く販売されている。しかしYouTubeにも、まったく別の「音読」が存在する。無関係な動画を背景に流しながら、AIが合成した単調な声でテキストを読み上げ続けるもので、コメント欄には「AIの声で聴きにくい」という批判が並ぶ。 グリシャム氏はYouTubeに対し、プラットフォームとして責任の一端を担うべきだという立場を明確にしている。その姿勢は出版業界全体に広がっている。問題は一人の著名作家の作品に留まらない。「ハンガー・ゲーム」から自己啓発ベストセラーまで、あらゆるジャンルの海賊版がYouTubeに溢れている。 AI音声合成は、海賊版製造の障壁を一気に下げた。かつては録音機材が必要だったが、今は電子書籍のテキストさえあれば数分でそれなりに聴けるオーディオブックが完成する。著作権検知を逃れやすいという特性も厄

「危険」と封印したOpenAI、声クローン企業を買収していた

AI

「危険」と封印したOpenAI、声クローン企業を買収していた

2024年に「危険すぎる」と封印したはずの声クローン技術。その姿勢を変えていないOpenAIが、声のクローンを作る企業をひそかに買い取っていた。封印と買収、二つの判断はどうつながるのか。 封印したまま、買収していた OpenAIが声のクローン技術をどう扱うか、いま改めて問われている。 2年前、OpenAIの技術者たちはブログ記事を公開した。人の声を強力なAIで再現する機能を開発したが、あまりに高性能なため一般公開はしないと決めた、という内容だった。「念のため」という言葉が添えられていた。 その判断は、今も変わっていない。一般公開しない方針は維持されている。ところが、技術への取り組みそのものは止まっていなかった。今年に入って、OpenAIは小さなスタートアップを静かに買収していた。Weights.ggという、人の声のクローンを作るツールを提供していた企業だ。 封印は続いている。それでも、その封印の中身を扱う会社を手に入れた。この二つを並べると、OpenAIが何を考えているのかが見えにくくなる。 買収の事実は、取引に詳しい2人の関係者の証言で明らかになった。2人とも、公に話す

Lutris、Claude表記の削除でGPLが揺らぐ事態へ

Linux

Lutris、Claude表記の削除でGPLが揺らぐ事態へ

Linux定番ゲームマネージャ「Lutris」の創設者が、Claude生成コードのコミットから共著者表記を削除した。AI使用そのものより、この「隠した」行為がGPLライセンスの土台を直接揺らしている。 「LLM生成コミットが増えていないか」という一つの問いから 事の発端は、GitHubに投げられた素朴な疑問にある。あるユーザーが「Lutrisはslop(雑なコード)になっているのか?」というイシューを開き、「LLM生成と思われるコミットが増えている」と指摘した。Lutrisは2009年から続くLinux向けのオープンソースゲームマネージャで、Wineを介してWindows用ゲームを動かしたり、エミュレータを統合したりするための定番ツールだ。 これに対し、創設者のマチュー・コマンドン(Mathieu Comandon、GitHubではstrycore)は正面から認めている。30年以上の開発経験があり、いま使っているのは現時点で最良のツールだ、と。健康問題やうつ病で去年こなせなかった作業に追いつくうえで、Claudeは大きな助けになった、とも書いている。 ここまでは、AIコーディ