Wildcat Lake搭載ノート、来週中国で先行登場へ

MacBook Neoに対抗するIntelの新型ノートが、いよいよ店頭に並ぼうとしている。最初に動いたのは米国でも欧州でもなく、中国の通販サイトだった。そして並んだ値札が、少し引っかかる。

Wildcat Lake搭載ノート、来週中国で先行登場へ

MacBook Neoに対抗するIntelの新型ノートが、いよいよ店頭に並ぼうとしている。最初に動いたのは米国でも欧州でもなく、中国の通販サイトだった。そして並んだ値札が、少し引っかかる。


来週、まず中国でWildcat Lakeノートが並ぶ

Intelの新しい低価格向けプロセッサ「Core Series 3」、開発コードネーム「Wildcat Lake」を搭載したノートパソコンが、来週にも実機として登場しようとしている。震源地は中国の大手通販サイト京東(JD.com)だ。

複数のノート製品ページがすでに掲載され、購入希望者向けの予約受付が始まっている。予約の締め切りは5月18日または22日に設定されており、Wildcat Lake搭載機が「噂」から「買えるもの」に変わる時期が、もう目の前まで来ている。

掲載されているのはAcerとASUSが手がける14インチと16インチのモデルで、今後さらに多くのメーカーが独自設計の製品を投入すると見られている。Wildcat Lakeが4月16日に正式発表されてから約1か月。発表から実機が並ぶまでが、思ったより速い。

「価値志向」の名前と、現実の値札

ここで一つ引っかかることがある。Wildcat Lakeは、Intel自身が「value-oriented buyer」(価値を重視する買い手向け)と位置づけたシリーズだ。スペックを削り、安く作れる設計にして、手頃なノートを実現する——それが看板だった。

ところが京東に並んだHonorのモデルは、商品ページに9989.73元(約23万2000円)という数字を提示している。Acerの設計は9999元の表示で、こちらは仮の値段の可能性が高いとされる。京東で見つかったのはCore 5 320を積んだ構成で、最も基本に近い「Core 5」クラスにあたる。

「value」を名乗る製品の入り口が20万円を超えている。看板と値札が噛み合っていない。

「価値志向」の入り口はどこにある? ── 中国先行掲載価格と日本のMacBook Neo
Wildcat Lake搭載ノートの中国先行掲載価格は、日本で売られるMacBook Neoの倍以上。差を生んでいるのはチップではなく、メモリとストレージの価格高騰だ。
※ Honor機は京東(JD.com)掲載価格9989.73元、Acer機は同9999元(仮価格の可能性あり)を、1元≒23.2円で円換算。MacBook Neoはメーカー希望小売価格(税込)。中国の初期掲載価格は今後変動する見込み。
注意したいのは、これが中国市場の初期掲載価格だという点だ。中国では新製品が高めに登場し、時間とともに下がっていく傾向がある。米国・欧州での価格はまだ出ておらず、地域や時期によって相当変わる可能性が高い。

なぜ「安いはずのチップ」が高い値札を背負うのか

Wildcat Lakeのチップそのものが高いわけではない。理由はもっと外側にある。

いま世界では、メモリとストレージの価格が大きく上がり続けている。日本でもSSDの店頭価格が跳ね上がっており、ノートパソコンを構成する部品の多くが、ここ1年で別物のような値段になった。安いチップを積んでも、その周りの部品が高ければ、完成品は安くならない。

Intel自身の卸価格も、純粋な「格安」とは言いにくい。Core 5 320は1000個ロットで340ドル、上位のCore 7 360は426ドルとされている。歴史的に見れば、この価格帯のチップは600〜900ドルのノートに載ってきた。メーカーがこのコストをそのまま価格に乗せれば、完成品が安くならないのは道理だ。

Wildcat Lake自体は、決して悪いチップではない。最新の18Aプロセスで作られ、5年前のPCと比べてシングルスレッド性能で最大47%の向上をうたう。前世代のCore 7 150Uと比べれば消費電力を最大64%削れるとされ、ファンレスで動く低消費電力設計や、Xe3世代の内蔵グラフィックスによる映像処理の強化は、エントリー機の体験を底上げする。問題はチップの出来ではなく、それを取り巻く「いまの市況」にある。

比較相手のMacBook Neoは、どこにいるか

Wildcat Lakeが狙う相手は、はっきりしている。Appleが3月に投入したMacBook Neoだ。

MacBook Neoは599ドル、米国の教育機関向けなら499ドルという価格で登場し、日本では税込9万9800円から販売されている。iPhone由来のA18 Proチップを積み、低価格ノートに何ができるかという常識を一度書き換えた。発売直後に売り切れ、Appleは生産計画を倍に増やしたと報じられている。

Windows陣営にとって、ここに穴を空けられたまま放置はできない。Wildcat Lakeは、その穴をふさぐための一手だ。Intelは生のCPU性能では正面からの勝負を避け、代わりにAI処理の能力を持ち出している。NPUとCPU・GPUを合わせて最大40 TOPSという数値で、Windows側でしか動かせないオンデバイスAI機能を差別化の軸に据えた。

MacBook Neoの強みは、価格に対する性能とバッテリーの素直さにある。一方でWindows機は、ソフトの幅広さとAI機能の選択肢で対抗する構図になる。どちらが「自分にとって良い」かは、何にパソコンを使うかで変わってくる。

日本ではどう見えるか

日本で売られるWildcat Lake搭載機の価格は、まだ何も決まっていない。中国の初期掲載価格をそのまま日本円に直して身構える必要はない。

ただ、部品価格の上昇という逆風は、日本市場でも同じように働く。「安いチップが出たから安いノートが出る」と素直には運ばない。これは中国だけの話ではなく、メモリとストレージを使うすべての完成品に共通する事情だ。

それでも、選択肢が増えること自体は買い手にとって良い知らせだ。MacBook Neoという基準ができ、それに各社が応えようと動く。来週、中国で並ぶ最初の数機種は、その答え合わせの第一歩になる。

最初の値札が想定より高くても、ここが終点ではない。Wildcat Lakeの本当の評価が決まるのは、部品市況が落ち着き、各社が価格を動かせるようになってからだ。


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