9GWデータセンター承認の州議員、記者の携帯を叩き落とす

9GWデータセンター承認の州議員、記者の携帯を叩き落とす

9GWデータセンターを承認したユタ州の上院議員が、嫌がらせ被害を取材していたABC4の記者に詰め寄り、撮影中の携帯電話を手で払い落とした。事件の構造はもっと根深い。


何が起きたのか

5月6日、ユタ州レイトン市の園芸店「J&Jナーセリー&ガーデンセンター」の駐車場。ABC4のレポーター兼アンカー、ベイヤン・ワン氏が取材で現場に立っていた。

ワン氏が車内にいたとき、店外で同社のカメラマンに対して怒鳴っている男がいるのに気づいた。ワン氏が車外に出て近寄り、何があったのかを尋ねた。男はユタ州上院のジャケットを着ていたが、自分が誰かを認めなかった。後にこの男は、州上院議員ジェリー・スティーブンソン氏(Jerry Stevenson、共和党、レイトン選出)だと判明する。

ワン氏は携帯電話を取り出し、撮影を始めた。ABC4は同店の経営陣にすでに連絡を取っており、嫌がらせ被害そのものを伝えるために来ていることを説明しようとした。スティーブンソン氏は「こんなものは全部くだらない(this whole thing is just a bunch of baloney)」と言い、ワン氏に向かって歩いてきた。

「敷地から出ていけ(Just get your butt out of here)」とスティーブンソン氏は言い放った。

「なぜ私たちに敵意を向けるのですか」とワン氏が問うと、スティーブンソン氏は「お前たちにうんざりしているからだ」と答え、ワン氏の手と携帯電話に向けて手を振り抜き、携帯電話をコンクリートに叩き落とした。

目撃者が通報し、レイトン市警が現場に到着した。警察報告書が作成され、警察官は「議員が先ほどの件を謝罪している」とワン氏に伝えた。同時にABC4のクルーは敷地への立ち入り禁止通告を受け取った。1年間、店舗の敷地に入ることが禁じられた格好だ。

なぜ議員の店に取材が入っていたのか

スティーブンソン氏が怒りをぶつけた相手は、皮肉にも彼の店の被害を伝えに来た記者だった。この事実が事件の構造を複雑にしている。

5月4日、ユタ州ボックスエルダー郡委員会は、同郡内の4万エーカー以上の土地に建設される大規模データセンター「ストラトス(Stratos)」プロジェクトを承認する複数の決議を可決した。プロジェクトの推進主体はユタ州軍事施設開発機構(MIDA)で、開発するのはシャークタンクの投資家として知られるケビン・オリアリー氏(Kevin O'Leary)の関連会社、O'Leary Digital。最終的に9ギガワットの発電能力を持つ計画で、これはユタ州全体の平均電力使用量の2倍以上にあたる。

スティーブンソン氏はMIDAの理事の一人として、この計画の推進側に立っていた。そして同氏はJ&Jナーセリーの創業者でもある。

承認後、店にはボイコットを呼びかける投稿がSNSに広がった。ABC4のワン氏が把握した時点で、店の長年の従業員が「叫びながら店内に入ってきて、警察を呼ぶ寸前まで行った女性」の存在を証言していた。

「最近の公的な決定が強い感情と懸念を引き起こしていることは理解しています。当社のオーナーは公的な役割と関係していますが、当社のスタッフへの接し方は、敬意と配慮をもって行っていただきたく存じます」

J&JナーセリーがSNSに掲載した声明は、こう始まる。創業から50年以上、ユタ州北部で営業してきた家族経営の園芸店が、オーナーの議員としての投票を理由に巻き込まれた格好だ。

ワン氏が伝えに来たのは、まさに「議員ではない従業員」が嫌がらせを受けている事実だった。この前提を共有しないまま、スティーブンソン氏はカメラマンに怒鳴り、記者の携帯を叩き落とした。


ユタ州議会の重鎮

スティーブンソン氏はユタ州議会で大きな影響力を持つ。2010年から州議会議員を務め、それ以前の1994年から2006年までレイトン市長を務めた。

現在、同氏は州予算の決定権を握る州議会執行歳出委員会の上院側議長を務めている。さらにMIDA理事会、ポイント・オブ・ザ・マウンテン州土地局理事会、ユタ州内陸港湾局理事会と、3つの強力な委員会の理事も兼ねている。

データセンター推進の中心にいる人物が、暴力沙汰を起こしたわけだ。ABC4が取材をかけたとき、ワン氏は議員ではなく一従業員に話を聞きたかっただけだった。

データセンター反対運動の暴力化

この事件は単独の出来事ではなく、米国全土で広がるデータセンター反対運動の文脈に位置づけられる。

ボックスエルダー郡委員のリー・ペリー氏は、KSLの取材に対し、決議承認後の24時間で死の脅迫を受けたと明かした。自宅前に警察車両が配置される事態となり、議員生活10年でこれほど脅威を感じたことはないと語っている。郡委員3名全員が同様の脅迫を受けたという。

ユタ州エンジニアの事務所には、計画への正式な抗議が3,800件以上、加えて懸念の手紙が約2,000通寄せられた。同事務所の従来記録(約15年前の水資源プロジェクトでの約1,200件)を3倍以上上回る規模だ。

他州でも同様の動きが顕著だ。インディアナ州の市議会議員の自宅は、データセンター支持の票を入れたという理由で13発の銃撃を受けた。ペンシルベニア州アーチボルドでは、住民圧力を理由に町議会議員7名のうち4名が辞任した。ミズーリ州の小さな町では、60億ドル規模のデータセンターを承認した市議会の半数が住民投票で罷免された。

データセンター承認は、推進側にとっても反対側にとっても、もはやただの行政手続きではなくなっている。

反対派の住民にとって、生活環境を激変させる決定が、ろくな説明もないまま降ってくる。推進派の議員にとって、家族や従業員が脅迫の標的になる。

暴力で覆い隠されるもの

スティーブンソン氏の行為は許されない。記者の携帯を叩き落とし、敷地から追い出し、警察に立ち入り禁止通告まで出させた。一般公開された商業敷地で、議員ではなく従業員に話を聞こうとしていた記者に対する対応として、過剰だ。しかし、この一件で議論が議員個人の品行問題に矮小化されるのは惜しい。本当の問題は、地域社会と相談する仕組みが機能しないまま、4万エーカーの土地と9GWの発電所が承認されていく構造にある。MIDAは郡議会よりも上位の州機関で、税優遇や債券発行の権限を持つ。郡委員会が「住民の声を聞く」段階に進む前に、すでに大枠は決まっていた。

ワン氏が伝えようとしていた「従業員への嫌がらせ」も、本質的には同じ怒りの噴出だ。決定プロセスから排除された住民が、決定権者本人に届く手段を持たないまま、目に見える標的に向かって暴れる。標的になっているのは、議員の票には何の関係もない園芸店のスタッフだったり、別の郡議員の家族だったりする。

スティーブンソン氏が記者を排除した瞬間、データセンターをめぐる情報の流れがさらに細くなった。住民は、議員のいない場所で起きた現実を取材して伝える記者の存在を、自分たちの代わりに失ったのかもしれない。

承認は済んだ。だが、ストラトス・プロジェクトはまだ建設資金を調達中で、実際の着工はまだ先だ。住民投票での承認取り消しを目指す動きも始まっている。さらにFox13の取材によれば、5月7日、計画を進めるBar H Ranchはユタ州エンジニアに水利権申請の取り下げを通知した。3,800件以上集まった抗議は、申請の消滅とともに無効化される。同社は「より十分な情報を整えたうえで再申請する」と表明しており、計画自体を断念したわけではない。

記者の携帯が叩き落とされた一件は、計画が抱える摩擦の規模を見せつけた。承認のスピードに住民の理解が追いついていない。似た衝突はこの先も繰り返される。


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