Apple製品一斉値上げ。日本は円安で二重の負担

Apple製品一斉値上げ。日本は円安で二重の負担

Appleが6月25日、Mac・iPad・HomePod・Apple TV・Vision Proの販売価格を世界同時に引き上げた。iPhone・Apple Watch・AirPodsは据え置き。日本ではドル建ての製品値上げに加え、円安による為替調整が重なり、米国を上回る値上げ幅になっている。


何がいくら上がったか

Macは全ラインナップが対象になった。

MacBook Neoは9万9800円から11万9800円へ2万円の値上げ。今年3月の発売時、10万円を切る最新Macとして注目された製品が、わずか3カ月で2割高くなった。米国での値上げは100ドルだが、日本では円安調整分が上乗せされている。

MacBook Airは18万4800円から22万4800円へ4万円増。MacBook Proは33万9800円からで、約6万円上がった。最大の値上げ幅はMac Studioで、32万8800円から41万9800円へ9万1000円の引き上げになっている。

iMacは19万8800円から24万9800円へ5万1000円増。Mac miniは5月に256GBモデルを廃止して512GBモデルの12万4800円が最安構成になっていたが、今回の改定で256GBモデルが復活し、13万4800円からとなった。9万4800円で買えた「いちばん安いMac」は、もう存在しない。

iPadも全シリーズが値上げされた。iPad(128GB)は5万8800円から7万4800円へ1万6000円増。iPad mini(128GB)は7万8800円から9万9800円へ2万1000円増。iPad Air(128GB)は9万8800円から12万9800円へ3万1000円増。iPad Pro(256GB)は16万8800円から20万9800円へ4万1000円増。

Apple製品 値上げ一覧(2026年6月25日改定)
旧価格新価格値上げ幅
Mac
MacBook Neo9万9800円11万9800円+2万円
MacBook Air18万4800円22万4800円+4万円
MacBook Pro27万9800円33万9800円+6万円
Mac Studio32万8800円41万9800円+9万1000円
iMac19万8800円24万9800円+5万1000円
Mac mini9万4800円13万4800円+4万円
iPad
iPad5万8800円7万4800円+1万6000円
iPad mini7万8800円9万9800円+2万1000円
iPad Air9万8800円12万9800円+3万1000円
iPad Pro16万8800円20万9800円+4万1000円
その他
HomePod mini1万4800円2万2800円+8000円
HomePod4万4800円5万9800円+1万5000円
Apple TV 4K1万9800円3万4800円+1万5000円
※ 各製品の最小構成ベースモデル価格(税込)。Mac miniの旧価格は2026年5月廃止前の256GBモデル

数字の羅列が苦しいが、そのまま受け取ってほしい。これが今日からの現実だ。

HomePod miniは1万4800円から2万2800円へ8000円増。HomePodは4万4800円から5万9800円へ1万5000円増。Apple TV 4K(Wi-Fi 64GB)は1万9800円から3万4800円へ1万5000円上がり、値上げ率は約75%に達する。

iPhoneは今回の対象外だが、それは「iPhoneだけは守った」ではなく「iPhoneはまだ」と読むべきだろう。

「100年に一度の洪水」

ティム・クック氏は6月17日、WSJの独占インタビューで値上げは不可避だと明言した。9月のCEO退任を控えた、最後の大型インタビューだった。メモリとストレージの価格高騰を「100年に一度の洪水」にたとえ、「40年以上のキャリアで、どの分野でもこんなことは見たことがない」と語っている。

原因はAIだ。NVIDIA、Microsoft、Google、Metaといった企業がAIデータセンターの増強に走り、高帯域メモリ(HBM)の需要が爆発した。メモリの主要メーカーはSamsung、SK hynix、Micronの3社だ。いずれもDRAM生産能力の多くをHBMに振り向けており、消費者向けの供給は絞られ続けている。

TrendForceによると、2026年第1四半期の汎用DRAM契約価格は前四半期比で90〜95%上昇した。Micronは直近四半期の売上が前年同期の4倍以上に膨らみ、AIデータセンター向けの長期供給契約で220億ドル相当を確保したと発表している。メモリメーカーにとっては記録的な好業績だ。その裏で、消費者向けのメモリは価格が上がり、供給量は減っている。

調査会社TechInsightsの試算では、iPhone 17 Proに搭載されたメモリとストレージのコストは約50ドルだった。秋に発売されるiPhone 18 Proでは、同じ部品が約200ドルにまで跳ね上がるという。4倍だ。

Apple広報は「AIデータセンターの急拡大がメモリとストレージへの異常な需要を生んでいる」「これほど急激なコンポーネントの価格上昇は見たことがない」とコメントした。

日本だけの問題がある

米国では15〜25%の値上げだが、日本ではそれ以上の負担になっている。

MacBook Neoの例が分かりやすい。米国での値上げは599ドルから699ドルへの100ドル(約17%)。日本では9万9800円から11万9800円への2万円で、上昇率は約20%だ。この差は、ドル建て値上げに加えて円安方向への為替調整が入ったことを意味する。6月19日時点でドル円は161円台で推移しており、iPhone 17の設定レート(約147円)から10円以上乖離している。

Appleが日本国内で広範囲な値上げを行ったのは、2022年7月以来4年ぶりのことだ。前回の値上げは急激な円安が原因だった。今回はメモリ高騰というグローバル要因に円安が重なっている。二重の負担だ。

iPhoneは秋まで持つのか

今回iPhoneが対象外になったのは、9月のiPhone 18発売まで価格を動かしたくないという判断だろう。だが、メモリコストが4倍になっている以上、iPhone 18の価格にそれが反映されないと考える方が無理がある。

Morgan Stanleyのショーン・キム(Shawn Kim)氏は「メモリ価格はこの1年で6倍以上に上昇した」と指摘している。2027年にはPC向けメモリが15%不足し約5800万台分、スマートフォン向けメモリは12%不足し約1億3400万台分の供給ギャップが見込まれるという。

Appleの株価は値上げ発表当日に約6%下落し、時価総額から約2650億ドル(約42兆円)が消えた。同じ日にMicronは決算好調で急騰した。値上げの負担は消費者へ、利益はメモリメーカーへ。

クック氏は「我々のバランスシートを使ってでも、解決の一端を担う用意がある」と語り、一方で自社でメモリ工場を建設する考えは否定した。退任まで残り2カ月。この危機をどう着地させるかは、9月1日にCEOに就くジョン・ターナス(John Ternus)氏の仕事になる。

参照元:Apple Price Increases on Memory and Storage (WSJ)

他参照:Memory crisis hits such extremes that 'even Apple can't be safe' (CNBC)

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