岬 徹

テクノロジー分野を中心に2024年からYouTubeで約3,000本の動画を制作。登録者4万5千人超、Xフォロワー1万人超、noteフォロワー千人超。AI、半導体、PC、ゲーム業界について、一次資料やデータを基に分析を続ける。

岬 徹
Fedora、AI Desktop議論を終了。制度自体も停止

Linux

Fedora、AI Desktop議論を終了。制度自体も停止

Fedora Councilが2か月にわたるAI Developer Desktopの議論を閉じ、コミュニティ・イニシアティブの制度自体を無期限停止した。 提案の否決ではなく、制度の停止 Fedora Councilは現地時間7月1日、AI Developer Desktop提案の議論終了を宣言した。同時に、この提案を受理したコミュニティ・イニシアティブ制度そのものが機能していないとして、即時停止に踏み切っている。 声明によれば、コミュニティ・イニシアティブは新しいアイデアに建設的なフィードバックを集め、Councilの支持につなげる場として機能していなかった。進行中のFedora Forge、Atomic、Fedora Docs 2026は予定通り完了させるが、新たなイニシアティブは受け付けない。 AI Developer Desktopの道が完全に閉じたわけではない。声明は、作業が成熟すればRemixとしてCouncilの商標承認とFESCoの技術レビューを経る通常の経路を使えるとしている。提案者のゴードン・メスマー(Gordon Messmer)氏やAI/ML SIGと

Microsoftの軽量AI OS「Project Aion」動画が流出

Windows11

Microsoftの軽量AI OS「Project Aion」動画が流出

2024年に記録された内部デモ動画で、CopilotをOSの中核に据えた実験的Windowsの全容が明らかになった。 スタートボタンが消えたWindows Microsoftが社内で試作していたOSの動画が流出した。コードネーム「Project Aion」。約3分間のデモ映像が現地時間7月2日、Windowsのベータビルドを記録・保存するコミュニティBetaWikiのDiscordサーバーに投稿された。 画面に広がるのは、見慣れたWindows 11に似たデスクトップだ。タスクバーが画面下部に並ぶところまでは同じだが、スタートボタンがあるべき位置にはCopilotのアイコンが収まっている。クリックすると開くのはスタートメニューではなく、Copilotを中心に据えたダッシュボードだ。ファイルを探すのも、アプリを開くのも、Webを検索するのも、すべてCopilotの入力ボックスから始まる。 動画内のナレーションはProject Aionを「Copilotをシェルの中核にネイティブで組み込んだ、Webベースのエージェント型OS」と説明している。 Edge上に築かれたOS Pr

米国成人の56%が16歳未満のSNS禁止を支持

SNS規制

米国成人の56%が16歳未満のSNS禁止を支持

16歳未満のSNS利用を法で禁じる動きが世界各国で加速するなか、米国の成人も過半数がその禁止を支持していることが大規模調査で明らかになった。 調査が映す、6割の「もう待てない」 ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が2026年7月1日、新たな調査を公開した。2026年5月26日から6月1日にかけて米国の成人9750人を対象に実施されたもので、16歳未満のSNS利用禁止を支持すると答えた成人は56%に達した。反対は21%。残りの23%は態度を決めかねている。 この56%は、特定の層に偏っていない。 30〜49歳の支持率が63%で、全年齢層の中で最も高い。自分自身がSNSで育ちながら、いま子どもにスマートフォンを渡す立場にいる世代だ。18〜29歳でも52%が支持に回り、65歳以上の49%を上回った。 18歳未満の子どもを持つ親に絞ると支持率は65%に跳ね上がる。子どものいない成人は52%。子どもの顔を毎日見ている親のほうが、禁止への切迫感が高い。 党派の壁も低い。共和党支持層の59%、民主党支持層の54%がいずれも支持を表明した。子どものSNS

Cloudflare、9月15日からAI訓練クローラーを広告ページで遮断へ

Cloudflare

Cloudflare、9月15日からAI訓練クローラーを広告ページで遮断へ

Cloudflareが、AIクローラーの用途別分離をAI企業に要求した。期限は9月15日。従わなければ遮断する。 「検索用」と「訓練用」を分けろ Cloudflareが現地時間7月1日、AIクローラーに対する新たな方針を発表した。 AI企業に対し、ウェブクローラーを検索用、AIエージェント用、モデル訓練用の3種類に分離するよう求め、9月15日を期限に設定している。 9月15日以降のクローラー分類とデフォルト設定 分類広告ページ非広告ページ検索許可許可AIエージェントブロックサイト設定に依存モデル訓練ブロックサイト設定に依存混合 (検索+訓練)ブロックサイト設定に依存 ※新規顧客・既存顧客の新規サイト・既存無料プラン利用者に適用。既存有料顧客は設定変更で適用可 期限までに分離しない「混合クローラー」は、広告が掲載されているページでデフォルトのブロック対象になる。Cloudflareはこう説明している。広告を掲載しているページは、サイト運営者が人の閲覧を前提にしている。その前提に反するボットは遮断する。新規顧客、既存顧客の新規サイト、そして既存の無料プラン利用

Intel、270K Plusの定価を299ドルから349ドルへ引き上げ

Intel

Intel、270K Plusの定価を299ドルから349ドルへ引き上げ

3月の発売時に「300ドル以下で24コア」と高く評価されたCPUの価格が、メーカー自身の手で書き換えられた。 レビューの前提が消えた Intelが、Core Ultra 200S Plusシリーズの推奨小売価格(RCP)を公式製品ページ上で引き上げた。各製品の仕様ページに記載されたRCPは、いずれも発売時から改定されている。 270K Plusは289〜299ドルから339〜349ドルへ約17%、250K Plusは189〜199ドルから219〜229ドルへ約16%。いずれも公式の製品仕様ページで確認できる。 3月26日の発売当時、各レビューサイトが「300ドル以下で買える最高のオールラウンドCPU」「200ドル帯で最強」と評価した根拠は、あの価格にあった。270K PlusはCinebenchのマルチスレッドで当時500ドル超だったRyzen 9 9950Xに迫った。ゲーム性能もX3D以外のCPUをほぼすべて上回る。その性能を299ドルで出した点が「コスパの化け物」と称された理由だ。 Core Ultra 200S Plus 推奨小売価格の改定 $400$30

Chrome 150、MV2拡張が完全終了。残る手段はダウングレードのみ

Chrome

Chrome 150、MV2拡張が完全終了。残る手段はダウングレードのみ

Chrome 150が6月30日に配信され、Chrome上でManifest V2拡張機能を有効にする手段が消えた。残された選択肢は、旧バージョンへのダウングレードか、ブラウザの乗り換えになる。 予定より早かった終了 Manifest V2(MV2)拡張機能の廃止をGoogleは段階的に進めてきたが、最終段階は予想より早く来た。 当初の分析では、MV2のフラグが完全に削除されるのはChrome 151とみられていた。Chrome 150ではフラグの一部がまだ残るという見方もあった。実際にはChrome 150のリリースで、Chrome上でMV2拡張機能を有効にする手段がすべて消えている。 Chrome 150は現地時間6月30日に安定版チャネルへ配信された。このアップデートでExtensionManifestV2Disabledフラグが削除され、コマンドラインフラグによる回避策も機能しなくなっている。Chrome 151(7月下旬配信予定)ではExtensionManifestV2UnsupportedやAllowLegacyMV2Extensionsなど残りのフラグも削除さ

ベネズエラ地震で1140万台に9秒後警報 早期警報システムの限界を検証

地震

ベネズエラ地震で1140万台に9秒後警報 早期警報システムの限界を検証

2026年6月24日、ベネズエラ北西部でM7.2とM7.5の地震が39秒差で連続発生し、2000人以上が命を落とした。国家的な早期警報システムを持たない同国で、Androidスマートフォンの加速度計が1140万人に警報を届けた。地震は止められない。問われているのは、揺れが届くまでの数秒間に何ができるかだ。 39秒間に2度の大地震 現地時間6月24日18時4分、ヤラクイ州を震央とするM7.2の地震が発生した。深さ20km。そのわずか39秒後、同じ地域でM7.5の本震が続いた。深さ10km。USGSはこれを「ダブレット地震」と分類した。同程度の規模の大地震が極めて短い間隔で2回発生する現象で、記録上ほとんど例がない。 首都カラカスとラ・グアイラ州を中心に250棟以上の建物が損壊・倒壊し、7月1日時点で2295人の死亡が確認されている。負傷者は1万1200人以上、行方不明者は4万3200人以上。USGSのPAGERは、最終的な死者数が10万人を超える可能性があると予測した。ベネズエラで1900年のサン・ナルシソ地震以来、最大の地震となった。 6月24日は祝日で、多くの住民が自宅や公

1200万曲のAI学習リストに自国の音楽。オーストラリアの闘い

AI著作権

1200万曲のAI学習リストに自国の音楽。オーストラリアの闘い

カイリー・ミノーグだけで182曲。業界連合が連邦議会で記者会見を開き、AI企業による無断利用を「業界史上最大の知的財産の窃盗」と断じた。 「許可なし、ライセンスなし、対価なし」 6月にThe Atlanticが公開したデータベース検索ツールは、AIの学習に使われた4つの大規模楽曲データセットの中身を可視化した。ミッドナイト・オイル、シーア、クラウデッド・ハウス、ロードらオーストラリア・ニュージーランドのアーティストが多数含まれていた。カイリー・ミノーグだけで182曲がリストに載っている。 これを受けて動いたのがAPRA AMCOS(オーストラレーシア演奏権・複製権管理団体)だ。ディーン・オームストン(Dean Ormston)CEOは「テックプラットフォームが許可も対価もなく楽曲をAI学習に使っている事実に、私たちも皆さんと同様に憤っている」と声明を出した。 7月1日の議会前には、ウィリアム・バートン(William Barton)氏、ポール・デンプシー(Paul Dempsey)氏、マハリア・バーンズ(Mahalia Barnes)氏ら音楽家に加え、

マイクロン、訴訟直後に2.5億ドルをトランプ・アカウントへ投資

メモリ

マイクロン、訴訟直後に2.5億ドルをトランプ・アカウントへ投資

メモリ大手3社に対する反トラスト集団訴訟の提起から5日。被告の一角であるマイクロンが、トランプ政権の看板政策に同種で最大の企業投資を発表した。善意の社会貢献か、それとも計算された一手か。タイミングが語る文脈を、事実から読み解く。 2億5000万ドルの中身 マイクロンは現地時間6月30日、子ども向け投資口座「トランプ・アカウント」(530A口座)に2億5000万ドルを拠出すると発表した。対象は最大100万人の子どもとその家族で、マイクロンが拠点を置くアイダホ、ニューヨーク、バージニア、カリフォルニアなど7州が中心になる。 具体的な仕組みは二つある。一つは従業員向けのマッチング拠出で、18歳未満の子ども1人につき1000ドルまで会社が上乗せする。もう一つはコミュニティ向けの種子資金で、対象地域の子どもに一律250ドルを初期入金する。マイクロンはこれを「同種で最大の企業コミットメント」と位置づけた。 トランプ・アカウントは、2025年に成立した通称「One Big Beautiful Bill Act」で新設された税制優遇付きの子ども向け投資口座で、7月4日の米国独立250周年記念

OpenAI、米政府に株式5%の譲渡を提案。約7兆円

AI

OpenAI、米政府に株式5%の譲渡を提案。約7兆円

OpenAIが米国政府に対し、自社株式の5%を譲渡する提案を行っていることが明らかになった。現時点の企業価値8520億ドルに基づけば、約426億ドル(約7兆円)に相当する。1年以上にわたる水面下の協議が、具体的な数字を伴って表面化した。 5%が意味するもの 現地時間7月2日、フィナンシャル・タイムズが事情を知る2人の関係者の話として報じた。サム・アルトマン(Sam Altman)氏ら経営陣が提案した枠組みは、OpenAI単独の話にとどまらない。米国の主要AI企業がそれぞれ株式の5%を政府の運用機関に拠出し、その配当を国民に還元する構想だ。手本として想定されているのはアラスカ永久基金。石油収入を原資に州民へ年次配当を行っている、米国内では数少ない公的資産配分の実例にあたる。 アルトマン氏はこの構想を2025年初頭にトランプ大統領に直接提案し、その後もハワード・ラトニック(Howard Lutnick)商務長官、スコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官と協議を重ねてきた。直近数週間ではバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員とも接触している。

パランティアCEOがAI業界を「完全に狂っている」と攻撃。NVIDIAと組む

AI

パランティアCEOがAI業界を「完全に狂っている」と攻撃。NVIDIAと組む

パランティアCEOのアレックス・カープ(Alex Karp)氏が現地時間7月1日、米AI業界を「完全に狂っている(effing insane)」と激しく批判した。NVIDIAとの提携発表に合わせた約20分間の出演は、企業向けAIの価格構造から米軍の技術外注問題まで、広範な攻撃に発展した。 トークンに注いだ費用は、どこへ消えるのか カープ氏の批判は、AIラボのトークン課金モデルそのものに向いている。 クローズドモデル vs オープンウェイトモデル クローズドモデルオープンウェイトデータの行先提供元を経由顧客環境で完結モデルの重み開発元が管理顧客が所有コストトークン課金自社で運用IP保護流出リスクあり外部に出ない 企業がOpenAIやAnthropicのAPIにトークン単位で費用を払うとき、生成結果と引き換えに自社のデータとプロンプトがモデル提供元の環境を通過する。カープ氏はこれを「企業に対する富の税金」と呼んだ。トークンを買い続けても企業には何も残らず、AIラボだけがデータを蓄積してモデルを改良できる非対称性を指摘した。 取引先のCEOたちが非公式の場で「トー

ディスク廃止に反対15%、購入意向85% 調査結果の差を分析

ゲーム

ディスク廃止に反対15%、購入意向85% 調査結果の差を分析

ソニーがPlayStationの新作ゲームからディスクを廃止すると発表した翌日、メディアとコミュニティの反発は激しさを増している。だが売上データは、反発している層がすでに少数派であることを示している。85%がデジタルで買っているのに、聞こえてくるのはディスクを惜しむ15%の声ばかりだ。なぜか。 数字が語る現実 2026年3月期(FY2025 Q4)のソニー決算で、PS5とPS4のフルゲーム販売におけるデジタル比率は85%に達した。年間平均でも78%。PS4発売当初の2013年は約13%で、12年で比率は完全に逆転した。 PlayStationデジタル販売比率の推移 ※年間平均値。横軸は等間隔(実時間比例ではない)。FY2025 Q4(2026年1〜3月)は四半期ピークで85%に到達。ソニー決算ベース 年間約7000万本の物理ソフトがいまだに売れている。Niko Partnersのダニエル・アフマド(Daniel Ahmad)氏はこの数字を強調し、物理ソフトが死んだわけではないと述べている。だがソニーの直近四半期における物理ソフトの売上高は約

SpaceXがAIデバイスの試作機を投資家に披露。マスク氏は即座に否定

AI

SpaceXがAIデバイスの試作機を投資家に披露。マスク氏は即座に否定

ロケットとAIの企業が、iPhoneより薄い端末のプロトタイプを上場前の投資家向けプレゼンで見せていた。独自OSを搭載し、xAIの技術とクアルコムのSnapdragonチップを組み合わせた端末だという。報じたのはウォール・ストリート・ジャーナルで、事情に通じた複数の関係者の話として伝えた。イーロン・マスク(Elon Musk)氏は報道の直後、自身のSNSで「完全に虚偽だ」と全面否定した。 報じられた中身と、否定の温度 プロトタイプの詳細は限られている。iPhoneより薄く、携帯電話に近い形状で、SpaceXが今年2月に吸収したxAIの技術を統合する設計だという。OSは独自開発で、AndroidでもiOSでもない。プロセッサにクアルコムのSnapdragonが採用されているとも報じられており、この報道を受けてクアルコム株が一時上昇した。 開発はまだ初期段階で、設計が変わる可能性がある、あるいは製品化されない可能性もあると、SpaceX側は投資家に伝えたとされる。 マスク氏の否定は、これが初めてではない。2026年2月にもロイターがSpaceXの携帯端末開発を報じたとき、同氏は「

Fable 5が復活。Anthropicが手放したもの

AI

Fable 5が復活。Anthropicが手放したもの

Fable 5が帰ってきた。6月12日の輸出規制で全世界から消えてから19日。米商務省は6月30日に規制を解除し、Anthropicは7月1日からFable 5の提供を再開した。Mythos 5も米国の承認済み組織への提供が続いている。だが復活したFable 5は、止められる前とは変わっている。セーフガードは厳しくなり、利用枠には上限がかかり、Anthropicは今後のフロンティアモデルについて政府への事前アクセスを約束した。規制を解くために、Anthropicは何を差し出したか。 何が変わったか 今回の再デプロイで、Anthropicはサイバーセキュリティ関連のリクエストを検知する安全分類器を再訓練した。Amazonの研究者が報告した手法は、99%以上の確率でブロックされるようになった。ブロックされたリクエストはOpus 4.8に自動転送され、ユーザーにはその旨が通知される。 引き換えに、誤検知は増えた。Anthropic自身がそう認めている。通常のコーディングやデバッグ作業がサイバーセキュリティ関連と誤判定され、Opus 4.8に回される場面が以前より多くなる。開発者にとっ