CrystalDiskInfoが偽Samsung SSDを自動検出

SSD診断ツールの定番が、偽造品に「FAKE」ラベルを表示する新機能を搭載した。AI向け半導体の需要増でNAND価格が高騰するなか、精巧な偽物が急増している。

CrystalDiskInfoが偽Samsung SSDを自動検出

SSD診断ツールの定番が、偽造品に「FAKE」ラベルを表示する新機能を搭載した。AI向け半導体の需要増でNAND価格が高騰するなか、精巧な偽物が急増している。


偽造Samsung SSDに「FAKE」の烙印

CrystalDiskInfoのバージョン9.9.0が公開された。最大の目玉は、偽造Samsung SSDの [FAKE]ラベル 表示だ。

hiyohiyo

開発者の宮崎典行(hiyohiyo)氏がこの機能を組み込んだ背景には、Samsung 990 PROを名乗る偽造品の急増がある。外見だけでなくベンチマークスコアまで本物に近い精巧な偽物が出回り、購入後しばらく気づかないケースが増えていた。

CrystalDiskInfoは、ドライブが申告するファームウェアのバージョンやPCIベンダーID(SSDの内部コントローラを識別する番号)を照合する。たとえば「Samsung 990 PRO」を名乗りながら、コントローラのベンダーIDがMaxio製を示していれば、それは偽物だ。ファームウェアが「8888888」のように明らかに不審な値を返す個体も検出対象に含まれる。

偽造品はラベルやWindows上の表示名を偽装できるが、コントローラのPCIベンダーIDを書き換えるのは難しい。CrystalDiskInfoはその差分を突く。

本物を超える偽物のジレンマ

偽造SSDの巧妙さは年々増している。2026年に入って確認された偽Samsung 990 PROの中には、シーケンシャルリード 7,200MB/s を記録した個体もあった。本物の990 PRO(1TBモデル)のスペックは7,450MB/sだから、ベンチマークだけ見れば見分けがつかない。

ところが実際に370GiBの大容量ファイルをコピーすると、本物が3分半で終わる作業に偽物は25分以上かかった。SLCキャッシュが尽きた時点で速度が100MB/s以下まで落ち込むのは、低品質なNANDフラッシュの典型的な症状だ。別の偽造品では、読み取り速度がわずか約20MB/sだったという報告もある。USB 2.0の理論値すら下回る数字で、データの保存先としてはまるで使いものにならない。


AI需要がSSD偽造市場を膨らませている

偽造SSDが急増する背景に、NANDフラッシュの供給不足がある。AIデータセンター向けの需要が膨張し、SSD価格は2025年秋ごろから上昇を続けている。Samsung 990 PROの2TBモデルが4万円を超えるなか、偽造業者にとっては利幅の大きい商材になった。

ECサイトやフリマアプリには「正規品より大幅に安い」SSDが並ぶ。出品者が信頼できる業者に見えても、仕入れ先が怪しければ偽物は混入する。Samsung自身はSamsung Magicianでの認証確認を呼びかけているが、サードパーティ製ツールでも検出できる選択肢が増えた意義は大きい。

Samsung Magicianは公式の認証手段だが、すべてのユーザーがSamsung専用ソフトを入れているわけではない。新しいSSDを買ったらまずCrystalDiskInfoを起動する、という人は多い。

コミュニティの力で検出精度を上げる

宮崎氏は、偽造品の検出機能はまだ開発途上だと明かしている。偽造業者はファームウェアの偽装パターンを頻繁に変えるため、データベースの更新が欠かせない。

そこで宮崎氏は、偽SSDをつかまされたユーザーにCrystalDiskInfo 9.9.0でスキャン結果をテキスト保存し、メールか公式掲示板で送ってほしいと呼びかけている。ユーザーからのデータが集まるほど、ブロックリストの精度は上がる。ウイルス対策ソフトが新種のマルウェアを定義ファイルで追いかけるのと同じ仕組みだ。

CrystalDiskInfoは2008年の公開から18年が経ち、累計ダウンロード数は 9,000万 を超えた。ストレージの健康診断ツールとして世界中で使われてきたソフトが、偽造品を見抜く番人の役割も担い始めた。


自分のSSDが本物か確かめるには

偽造SSDを掴まないための対策をまとめておく。

まず、Samsung製SSDを購入する場合は正規販売店を使うのが最善だ。フリマアプリやオークション、出所の不明な第三者出品は避けたい。

購入後のチェック手段としては、Samsung Magicianが最も確実な公式ツールになる。加えて、CrystalDiskInfo 9.9.0以降をインストールすれば、ファームウェアやベンダーIDの矛盾を自動で検出してくれる。

不安がある場合は、大容量ファイルの書き込みテストも有効だ。100GBを超えるデータを書き込んで速度が急落するなら、中身は本物ではない可能性が高い。

CrystalDiskInfoの今回の更新はSamsung製SSDに限定されている。宮崎氏は将来的な改良を予告しているが、ツールが充実するよりも先に、偽物がここまで出回る市場そのものをどうにかしてほしいと思うのは、たぶん自分だけではない。


参照元:

CrystalDiskInfo 9.9.0 リリースノート(Crystal Dew World)

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