Forza Horizon 6リーク版起動、約8000年のハードBAN

発売を1週間以上前に控えたフルビルドが流出し、リーク版を起動したプレイヤーに通告されたBAN解除日は西暦9999年12月31日。事実上の永久追放を、なぜここまで極端な数字で示したのか。

Forza Horizon 6リーク版起動、約8000年のハードBAN

発売を1週間以上前に控えたフルビルドが流出し、リーク版を起動したプレイヤーに通告されたBAN解除日は西暦9999年12月31日。事実上の永久追放を、なぜここまで極端な数字で示したのか。


発売前に起きた「自滅事故」と8000年の罰

5月19日発売予定の「Forza Horizon 6」のフルビルドが、発売の1週間以上前にネット上へ流出している。原因はPlayground Games側の単純なミスで、Steamへのプリロード配信時にファイルが暗号化されないまま公開された。容量155GB、5,000以上のファイルが誰でも取得できる状態となり、Denuvoのような追加保護も付いていなかったため、数時間後にはクラック版がオンラインで出回り始めた。

そして、Microsoft側の対応が常軌を逸している。リーク版をオンラインで起動したアカウントに対し、ゲーム内メッセージで通告されたBAN解除日は 西暦9999年12月31日。現在から約8000年後、正確には7973年先という気の遠くなる数字だ。

「Cheating/Unallowed Modding(不正・不許可改造)の理由により、あなたは利用停止となった。BAN解除日は12/31/9999」── ゲーム内BAN通告メッセージより

数字遊びだと笑い飛ばすこともできる。しかし「9999年12月31日」という設定は、システム上の最大値を意図的に選び取った演出に近い。永久追放と書く代わりに、内部処理の上限をそのまま見せつける。怒りの表現としてはかなり趣味が悪く、同時に、極めて効果的だ。


ハードウェアBANという仕組みの重さ

このBANの本当の重さは、対象がアカウントではなく機器そのものにあることだ。Forzaの公式ガイドラインには、永久BANの一形態として「hardware bans」(ハードウェアBAN)が明記されており、対象機器に紐づくすべてのアカウントがForzaから締め出される。アカウントを作り直しても、家族のXbox Liveアカウントを使っても、その筐体ではプレイできない。

仕組み的にはマザーボードIDなど機器固有の識別子をMicrosoft側が記録し、起動時に照合する。Windowsを再インストールしても、SSDを交換しても、識別子が変わらない限りBANは解除されない。事実上、機器を蘇生させる手段はマザーボード交換に限られる。

Redditでは「ethical hacker」(倫理的ハッカー)を自称するユーザー「HatWithoutBand」が、HWIDスプーファーで回避できると主張する流れに対し、現実はもっと暗いと書いている。

Windows再インストールでは済まない。FHはHWIDのBANを採用しているので、回避するにはHWIDスプーファーを使うか物理的にハードウェアを変えるしかない。スプーファーは100%信頼できるとは限らず、安全とも限らない。マルウェアやキーロガーが仕込まれていることが多い。

要するに、規約違反のBANを逃れるためにマルウェアまみれの怪しいツールを入れる構図になりがちだ。罰を逃れようとして、別の損失をつかむ。罰の二重構造として、これ以上ないほど機能している。


「自分でこぼした水」を、ユーザーで拭いにかかる構図

ここで一歩引いて見ると、おかしな絵が浮かんでくる。リーク事故を起こしたのはPlayground Games側だ。Steamへのアップロード時に暗号化処理を抜かしたのは開発元であり、ユーザーではない。にもかかわらず、流出データを起動した個人には事実上の終身刑が下る。

もちろん、Microsoftの動機は理解できる。Forzaシリーズは2026年のXboxにとって最大級のタイトルで、PS5版も年内に控えている。日本での価格はスタンダード版で9,800円、プレミアム版は16,800円。発売前のリーク放置はそのまま売上の損失に直結する。さらに、本作はオンライン要素が強く、無料で持ち逃げされた状態でオンラインに繋がれると、サービス全体の体験を歪めかねない。

Forzaの強力なBANポリシー自体は新しいものではない。Forza Horizon 5の時点で、未公開車両を不正入手したプレイヤーには最低30日のBANが科され、繰り返した場合はアカウントと機器の両方を永久停止すると公式に明記されていた。

それでも、この対応が完璧に正当化されるかというと、必ずしも単純ではない。リークの責任はあくまで配信側にあり、誘惑された個人の自己責任とは比べ物にならない規模で配信側の管理ミスが起きている。代償を払うのが個人だけ、という構図が残る。

正規購入者には朗報がひとつある。プレミアム版購入者は5月15日から早期アクセスが始まり、フルローンチは5月19日。あと数日待てば、リスクゼロでハンドルを握れる。


クラック版を試した人が、いま考えるべきこと

ここからは現実的な話。もしリーク版に手を出していた場合、Microsoftアカウント単位でのBAN履歴は「aka.ms/ForzaBanInfo」で確認できる。ハードウェアBANはアカウントBANより厳しく、機器に紐づくため、購入予定があるなら早急に状態を確認したほうがいい。

そして、HWIDスプーファーで突破できると吹聴するフォーラム投稿は、ほぼ確実にどこかで嘘をついている。完全に動作するスプーファーがあるとしても、それは無料で安全に配られるたぐいのものではない。安全と引き換えに置いていく対価が、たまたまBANの代わりにマルウェアになるだけだ。

7973年後の解除日付という数字には、Microsoftからの冷ややかなユーモアが滲んでいる。だが裏返せば、それは「あなたを永久に追い出す」という宣言を、できる限り穏当な見た目に包んだ表現でもある。怒りを直接書くより、システムの最大値を見せたほうがずっと効くと知っているからだ。

ゲームの楽しみが、機器の寿命より長く奪われる時代になった。レーシングゲーム1本のために、それを引き受けるかどうか。問いの重さは、解除日付の桁数に比例している。


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