macOS 27、Liquid Glassを磨き直しへ
macOS 26 Tahoeで持ち込まれたLiquid Glassの読みにくさに、Apple自身が修正へ動き出す。SafariにはAIによるタブ自動グループ化が試験中で、6月8日のWWDC 2026でその全貌が明らかになる。
Appleが認めた「読みにくさ」
macOS 27は、現行のmacOS 26 Tahoeと比べて「slight redesign」(若干のデザイン変更)を伴うことになる。Bloombergのマーク・ガーマン(Mark Gurman)が、自身のニュースレター『Power On』の最新号で報じた。
注目すべきは、変更の内容そのものよりも、Appleが暗に「現状の問題」を認めたことだ。Tahoeで導入されたLiquid Glassインターフェースは、透過効果と影の表現を全面に押し出した意欲的なデザインだったが、リリース直後からユーザーの間で「読みにくい」「文字が背景に溶ける」という声が広がっていた。
ガーマンによれば、Appleは次のように説明しているという。
Apple aims to address the shadows and transparency quirks.(Appleは影と透過の不自然さに対処しようとしている)
特に問題視されているのは、Control Center、Finder、サイドバーや密度の高いリストを持つアプリだ。透過の上に細かい文字が重なる場面で、テキストの可読性が落ちる。新しいテクスチャがかえって情報を読み取りにくくしているケースも出ている。
OLEDで設計されたUIが、LCDのMacで崩れた
ガーマンの分析でもっとも興味深いのは、なぜLiquid GlassがMacで特に評判が悪いのか、という構造的な説明だ。
Liquid GlassはOLEDディスプレイを前提に設計された。iPhone、一部のiPad、Apple Watchのような機器ではうまく機能する。だが多くのMacはいまだにLCDパネルを使っており、透過・影・ガラス効果をOLEDほど効果的には描画できない。
MacBook Airの現行デザインは2022年、最新のMacBook ProとiMacのデザインは2021年に登場したものだ。LCDは透過・影・ガラス効果をOLEDほど鮮やかには描けない。設計思想と表示装置のズレが、Macでだけ「読みにくい」という結果を生んでいる。
これは単なる好みの話ではない。OS全体のデザイン言語を、ハードウェアの主流が追い越されている世代のMacに無理矢理被せた結果だと言える。
「デザインの失敗ではなく、実装の未完成だった」
ここでAppleの内部的な見解として伝えられているフレーミングが、かなり踏み込んでいる。
昨年のOSは、必ずしもデザインの問題を抱えていたわけではない。むしろAppleのソフトウェアエンジニアリング側の実装が、十分には焼き上がっていなかった。
つまり、Apple社内ではLiquid Glassそのものは正しい方向性であり、悪かったのは「実装の詰めの甘さ」だ、という整理になっている。デザイン部門の判断は擁護され、エンジニアリング部門に責任が振られた格好だ。
外から見ればこれは責任の所在を巡る微妙な話に見えるが、ユーザーにとって意味があるのは別の点だ。Liquid Glassそのものは廃止されず、あくまで設計者の当初意図に近づけるための清書作業として、macOS 27の変更は位置づけられている。
ガーマンは過去の事例も引いている。2013年のiOS 7で大幅にフラット化したインターフェースを導入したあと、Appleは翌年のiOS 8を「磨き直し」に費やした。今回のmacOS 27も、その流れに似た「整え直し」の年になる。
| 2013→2014年 iOS 7 → iOS 8 |
2025→2026年 Tahoe → macOS 27 |
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|---|---|---|
| 前バージョン | iOS 7 | macOS 26 Tahoe |
| 変革の 中身 |
フラット化と 透過効果の導入 |
Liquid Glassの 導入 |
| 指摘 された 問題 |
視認性の低下と 操作迷い |
透過と影で 文字が読みにくい |
| 次年の 方針 |
大幅変更ではなく 磨き直し |
大幅変更ではなく 磨き直し |
| 対応 バージョン |
iOS 8 | macOS 27 |
SafariにAIタブグループ化、UIに「Organize Tabs」
デザイン変更と並ぶもう一つの軸が、Safariの新機能だ。AppleはAIを使ってブラウザのタブを自動的にグループ化する仕組みをテストしている。
「iOS 27のテスト版では、ユーザーがタブグループ間を移動するためにタップする中央上部のボタンに、『Organize Tabs』と呼ばれる新しいオプションが追加されている」とガーマンは伝えた。「グルーピングを自動で行うかどうかを、ユーザーが選べる」
この機能はmacOS 27、iOS 27、iPadOS 27に横断的に提供される見込みだ。AIタブグループ化のアイデア自体はWWDC前から散発的に伝えられていたが、UI上で実際に「Organize Tabs」というラベルが用意されたという具体性は、今回ガーマンによって初めて確認された情報になる。
問題は、ユーザーがそれを望んでいるかどうかだ。一部の読者からは「AIにタブを並び替えてほしくない」という反応が早くも上がっている。タブグループは、本来そのユーザーの思考の整理そのものだ。そこにAIが踏み込む発想は、Apple Intelligenceの方向性として一貫してはいるが、受け入れられる温度はSiriの新インターフェースほど単純ではないかもしれない。
オンにするか、オフにするか。選択肢の存在だけが、唯一の救いだ。
全体としてはバグ修正と性能改善の年
Liquid Glassの調整、Safariの新機能の他に、macOS 27ではバグ修正、バッテリー寿命の改善、パフォーマンス向上が大きな柱になるとガーマンは伝えている。
これは2025年11月に同氏が報じた「Snow Leopard的な品質重視の年」という方針と一致する。新機能の追加よりも足場を固める年だ。もう一つの軸はSiriを中心としたAI機能の拡充で、新デザインのSiri、独立したアプリ化、よりプロアクティブなアシスタントへの位置づけ直しが予定されている。
macOS 27の正式発表は、6月8日のWWDC 2026基調講演で行われる。最初の開発者ベータは基調講演直後に提供される見込みで、パブリックベータが7月、一般向けリリースは9月になる慣例どおりの流れだ。
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2026年
6月8日 WWDC 2026 基調講演
macOS 27の正式発表。Liquid Glassの磨き直しとSafariの「Organize Tabs」が公開される。
基調講演
直後 開発者向けベータ
Apple Developer Programの登録者を対象に第1次ベータが配布される。
2026年
7月頃 パブリックベータ
一般ユーザーがApple Beta Software Programから試せる段階に入る。
2026年
9月 正式リリース
対象Macに無償アップデートとして配信される。秋のiPhone新製品発表と同時期になる慣例。
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デザインの磨き直しは、信頼の磨き直しでもある
Liquid Glassは華々しいデモ映えと引き換えに、日常使用のなかで「読めない」という古典的な問題を露呈させた。
Appleがそれを実装の不足と整理して見せるのは、デザイン哲学を擁護するための言い回しでもある。設計が悪かったのではなく、エンジニアリングが追いつかなかった、という整理だ。
そして、その言い分が正しいかどうかとは別に、ユーザーが日々向き合うのは画面の上の文字だ。修正版のLiquid Glassが、ようやく「最初からこう出すべきだったもの」になるなら、それを歓迎しない理由はない。ただし、そう感じるまでに1年かかったことも事実だ。
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