新しいOutlookに「旧Outlookの見た目」テーマ。見た目は戻るが機能は戻らない
Microsoftが新しいOutlookに旧Outlookの外観を再現するテーマを展開し始めた。レイアウト、アイコン、書体が旧版に寄る。ただし変わるのは見た目だけで、足りない機能は補われない。
Microsoftが新しいOutlookに旧Outlookの外観を再現するテーマを展開し始めた。レイアウト、アイコン、書体が旧版に寄る。ただし変わるのは見た目だけで、足りない機能は補われない。
旧Outlookの外観が、新しいOutlookに来る
Microsoftは現地時間8月21日、Microsoft 365メッセージセンター(MC1458476)で、新しいOutlookに旧Outlookの外観を再現するテーマを展開すると発表した。対象はOutlook on the webと、新しいOutlook for Windows。
このテーマを有効にすると、レイアウト、書体、アイコン、一部の操作体験が旧Outlookに近づく。見た目全体が統一的に変わる仕組みで、個別にアイコンだけ、書体だけを選ぶ設定ではない。
展開スケジュールは2段階になっている。まず対象指定リリース(Targeted Release)ユーザー向けに8月中旬から配信が始まり、9月末までに完了する。その後、9月末から10月末にかけて全世界で一般提供が進む。
既定の扱いと設定の場所
大半のユーザーは既定でオフになる。旧Outlookから新しいOutlookに移行中の一部ユーザーに限り、既定でオンに設定される。いずれの場合も、いつでも自分で切り替えられる。
設定場所は日本語版の新しいOutlookでは「設定」>「全般」>「デザイン」(英語版では Settings > General > Appearance)。Microsoftが公開した設定画面では「Classic Outlook」というセクション内に切り替え用のチェックボックスがある(日本語環境での正確な文言は展開前のため未確認)。
管理者の既存設定を上書きすることはない。旧Outlookからの自動移行も行わない。あくまで新しいOutlookの中で見た目を旧版に寄せるオプションであり、旧Outlookそのものに戻す機能ではない。
見た目は変わっても、足りない機能は戻らない
ここが肝心な点になる。
| 機能 | 旧版 | 新版 | テーマ |
|---|---|---|---|
| アドイン | ○ | × | — |
| オフライン | ○ | △ | — |
| マクロ | ○ | × | — |
| PSTファイル | ○ | △ | — |
| 独自フォーム | ○ | × | — |
| 外観 | ○ | ×→○ | ○ |
このテーマが変えるのはあくまで外観であり、旧Outlookにあって新しいOutlookに足りない機能は補われない。Microsoftが公開している機能比較表を見ると、2026年8月時点でもなお差は残っている。
代表的な例を挙げる。旧Outlookでは企業がCRMやメール誤送信防止ツールなどをCOMアドイン(Outlookに外部機能を追加する仕組み)として組み込んできたが、新しいOutlookはCOMアドインに対応しない。Microsoftの機能比較表にも「Not supported」(非対応)と明記されており、今後も対応する予定はない。業務をCOMアドインに依存している組織にとって、見た目が旧版に近づいても問題の核心は変わらない。
オフラインでの利用も制限がある。旧Outlookはメールデータをローカルにキャッシュし、ネットワークが切れても操作を続けられた。新しいOutlookのオフライン対応は機能比較表で「Partially available」(部分的に対応)とされており、旧版ほどの完全なオフライン体験は得られない。
VBAマクロ(Outlook上で独自の自動処理を動かす機能)も非対応のままになっている。
移行の大きな流れの中で
新しいOutlookは2022年5月のプレビューを経て2023年〜2024年に一般提供が広がり、Windows 11では2023年10月、Windows 10では2025年1月から旧「メール」アプリに代わってプリインストールされている。
2022年5月 新Outlookプレビュー版登場 2023年10月 Windows 11に標準搭載開始 旧「メール」アプリを置き換え 2024年8月 法人向けに一般提供開始 2025年1月 Windows 10にも標準搭載 2026年2月 企業向け移行猶予を延長 拒否できる期限を2027年3月に延期 2026年8月 クラシックOutlookテーマ展開開始 旧版の外観を再現。機能は変わらない |
Microsoftは新しいOutlookへの移行を段階的に進めているが、その速度は一度緩んでいる。2026年2月には、企業が新しいOutlookのオプトアウト(拒否)を選べる期限を、当初の2026年4月から2027年3月へ12か月延期した。Microsoftは準備時間の確保と機能拡充のためとしつつ、新しいOutlookの採用は力強く加速しているとの認識も示している。
旧Outlookのサポートについては、少なくとも2029年まで継続するとMicrosoftは表明している。
今回の「クラシックOutlookテーマ」は、旧Outlookを使い続けたいユーザーにとって、移行のハードルを1つだけ下げるものになる。慣れたレイアウトとアイコンが新しいOutlookの中で使えるようになるのは確かに歓迎できる。ただ、使い慣れたアドインが動かない、オフラインで自由に作業できないといった問題は、テーマを切り替えても解消しない。見た目が旧版に近づくほど、残っている機能の差がかえって目につくことになるかもしれない。
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