NVIDIA、RTX 50全製品の仕入れ価格を再引き上げ。2026年3度目
韓国で8月から最大30%の値上げが始まった。日本でも7月下旬から価格が上昇し、一部モデルは1週間で2万円以上値上がりしている。
韓国で8月から最大30%の値上げが始まった。日本でも7月下旬から価格が上昇し、一部モデルは1週間で2万円以上値上がりしている。
2026年、3度目の値上げ
グラフィックカードが、まだ上がる。
NVIDIAがGeForce RTX 50シリーズのGPUキット(GPUチップとGDDRメモリのセット)の仕入れ価格を引き上げた。GDDR7搭載のBlackwell(ブラックウェル)世代だけでなく、GDDR6を採用する旧世代のGeForce製品も対象に含まれるという。
台湾メディアの報道によれば、今回の値上げは2026年に入って3度目にあたる。1月に全モデルで10〜15%。5月にRTX 5090のみ約300ドル(約5万円)。そして今回、全モデルで20〜30%。
NVIDIAはGPUチップとメモリをセットの「キット」にしてカードメーカーに供給している。ASUS、MSI、GIGABYTEといったメーカーはこのキットに基板と冷却機構を足して製品にする。キットが上がれば、製品価格も上がる。
メモリが原価を動かしている
原価を押し上げている主因はGPUチップではなくメモリだ。
市場調査会社トレンドフォースによると、RTX 50シリーズに搭載されるGDDR7 2GBモジュールは1個あたり20ドル台前半に達した。RTX 5090は32GBのGDDR7を搭載しており、メモリチップは16枚。メモリだけで320ドル(約5万円)を超える計算になる。
AIデータセンターが大量のDRAMを消費し、メモリメーカーは収益性の高いHBM(広帯域メモリ)に生産設備を集中させている。個人向けのGDDR7やGDDR6は後回しにされ、供給が絞られた結果、価格が跳ね上がった。
これにTSMCのウェハ価格引き上げが重なる。TSMCは6月、7nm以下の先端プロセス全体で5〜10%の値上げを顧客に通知した。3nmだけでなく、RTX 50シリーズのGPUチップを製造する5nmや4nmも対象に含まれる。TSMCのウェハ売上の77%を占める範囲だ。
GPUのコストもメモリのコストも、同時に上がっている。
韓国で8月、最大30%
韓国で、最初に価格が動いた。
ZDNet Koreaが現地時間8月3日に報じたところによると、複数の輸入業者と流通業者が「主要カードメーカーは8月からRTX 50シリーズの価格を最大30%引き上げる予定だ」と確認している。
メーカーは値上げを前に出荷を一時停止した。旧価格の在庫を確保できた業者はほとんどいないという。ある流通業者は、シェアの低いメーカー1社が約20%、他社は最大30%前後の値上げを準備していると語った。
韓国の価格比較サイト・ダナワの8月3日時点のデータでは、RTX 5060 Ti(8GB)の最安値が約70万ウォンに上昇し、従来より約10万ウォン高い。RTX 5070(12GB)は約110万ウォンで、約20万ウォン上がった。
最も打撃が大きいのは最上位のRTX 5090(32GB)で、モデルによっては730万ウォン台(約5,100ドル)に達している。先月中旬から最大150万ウォン以上の上昇だ。GDDR7の搭載量が多い上位製品ほど原価への影響が大きく、値上げ幅もそれに比例する。
日本でも始まっている
韓国だけの話ではない。日本でも7月下旬から値上がりが始まっている。
RTX 5080の最安値は、7月中旬の約21万5,000円から8月3日時点で約23万9,000円に上がった。約2万4,000円の上昇で、16GBモデルの供給価格引き上げ幅(約2万5,000円)とほぼ一致する。値上げ分がそのまま店頭に反映された水準だ。
RTX 5070 Tiも約16万円から約18万円へ。RTX 5070はAmazon売れ筋のMSI VENTUSシリーズが12万1,000円台に達し、7月下旬から2万円弱上がっている。
RTX 5090は、2025年1月の発売時に希望小売価格39万3,800円で登場した。2026年6月に約58万円、7月に約69万円。8月初旬の現時点では70万円台が主流になっている。1年半で当初の1.8倍だ。
| 希望小売価格 | 8月3日最安値 | 上昇率 | |
|---|---|---|---|
| RTX 5070 | 10.8万円 | 12.1万円台 | +11% |
| RTX 5070 Ti | 14.8万円 | 約18万円 | +21% |
| RTX 5080 | 19.8万円 | 約23.9万円 | +20% |
| RTX 5090 | 39.3万円 | 70万円台 | +78% |
一方で為替は逆方向に動いた。7月30〜31日の日米協調円買い介入で、8月3日時点では1ドル156円台まで円高が進んでいる。AmazonではAmazon USからの輸入品が国内正規代理店品より安いという逆転も起きている。
供給が絞られ、在庫が入れ替わる
値上げと同時に、もう一つ動いたことがある。
RTX 50シリーズの大量供給は7月下旬で事実上終了したとされる。今後は流通在庫が市場の中心になり、値上げ後の新在庫が入ってくれば店頭価格はさらに上がりうる。
NVIDIAはメモリの調達と配分を自社で管理し、GPUとメモリをセットでしか出さない。カードメーカーがメモリを個別に安く調達する手段はない。NVIDIAがキット価格を上げれば、そのまま末端に出る。
2025年1月の発売時、RTX 5090の希望小売価格は1,999ドルだった。韓国の実売は5,100ドルを超えた。同じ製品が、原価の上昇だけで2.5倍になるのか。メモリとウェハの値上げ幅から逆算すれば、全額が原価増では説明できない。
値上げが3度繰り返された2026年、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは3月の投資家向け会合で「希少性はNVIDIAにとって素晴らしい」と語っていた。
メモリ不足は少なくとも2028年まで続くとの予測がある。値下がりを待つという前提が、もう成り立たない。