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Claudeが身分証を求める日。Anthropicが書き換えた規約の中身

AI

Claudeが身分証を求める日。Anthropicが書き換えた規約の中身

AIチャットボットを使うために、パスポートを差し出す。プライバシーポリシーの改定という静かな手続きのなかで、その現実はもう動き始めている。 7月8日から変わること Anthropicは6月8日、Claudeの個人向けプライバシーポリシーを改定した。発効は7月8日。新設された「Verification Data(確認データ)」の項目が、今回の核心にあたる。 「特定の状況において、年齢または本人確認を求める場合がある」。ポリシーにはそう記され、収集するデータが列挙されている。政府発行の身分証明書の画像とそこに印字された情報(ID番号、生年月日)、写真または動画、そして顔のジオメトリテンプレート。最後の項目についてはAnthropic自身が「一部の法域では生体データとみなされうる」と注記している。 対象はClaude Free、Pro、Maxの個人ユーザー。Team、Enterprise、API経由のビジネス顧客には適用されない。 すでに動いていた仕組み この仕組みは唐突に現れたわけではない。すでに報じた通り、Anthropicは4月14日からサンフランシスコのKYC企業Pe

Sakana AIのFugu。一つの最強に賭けないAI

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Sakana AIのFugu。一つの最強に賭けないAI

6月22日、東京を拠点とするSakana AIが「Sakana Fugu」を一般提供開始した。単一のAPIの裏側で複数のAIモデルを動的に使い分け、フロンティアモデルに匹敵する性能を出すと同社は主張する。Fable 5が一夜で消えた直後に出てきたこの製品は、リリース文の冒頭から輸出規制に言及している。 消えたフロンティアモデル 6月9日、AnthropicはClaude Fable 5を公開した。同社史上もっとも高性能なモデルで、SWE-Bench Proで80.3を叩き出し、エンジニアリング系タスクでは競合を圧倒した。3日後の6月12日、米商務省が輸出管理指令を発令し、Fable 5とMythos 5への全ユーザーのアクセスを即時停止させた。 指令の根拠は、安全機構を迂回してMythosのサイバーセキュリティ能力を引き出せる手法が見つかったという報告だ。Anthropicは「狭い範囲の非汎用的な迂回であり、他社モデルでも同様のことは可能」と反論しているが、6月22日時点でFable 5は復旧していない。Anthropic幹部は「数日以内の復旧に自信がある」と発言したものの、具

「数年ではない、数か月だ」ファイブ・アイズがAIサイバー脅威で共同声明

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「数年ではない、数か月だ」ファイブ・アイズがAIサイバー脅威で共同声明

米英豪加NZの5カ国サイバーセキュリティ機関の長が連名で共同声明を出し、フロンティアAIモデルが攻撃・防御の双方を根本から変えると警告した。Fable 5の輸出規制が続くなかで発された今回の声明は、サイバーリスクを「IT部門の問題ではなく、経営者の責任だ」と名指しで突きつけている。 6人の署名 現地時間6月22日、ファイブ・アイズ(米国・英国・オーストラリア・カナダ・ニュージーランド)のサイバーセキュリティ機関がそろって共同声明を発表した。署名したのは、英国NCSCのリチャード・ホーン(Richard Horne)CEO、NSAサイバーセキュリティ局のデビッド・インボルディーノ(David Imbordino)局長、CISA暫定局長のニック・アンダーセン(Nick Andersen)、オーストラリアACSCを率いるステファニー・クロウ(Stephanie Crowe)、カナダ・サイバーセンターのラジブ・グプタ(Rajiv Gupta)、ニュージーランドNCSCのカトリオナ・ロビンソン(Catriona Robinson)の6名。中間管理職ではない。各国のサイバー防衛を預かるトップ

OpenAI Daybreak拡大。脆弱性は見つかる、直す手が足りない

AI

OpenAI Daybreak拡大。脆弱性は見つかる、直す手が足りない

AIが脆弱性を見つける速度は、すでに人の手で修正できる速度を追い越した。OpenAIが出した答えは「見つけるだけでなく、直すところまでやる」仕組みの拡張だった。 5月の宣言から6月の実装へ OpenAIは現地時間6月22日、サイバーセキュリティ構想「Daybreak」の大幅なアップデートを発表した。5月11日の初回発表では構想と基盤が中心だったが、今回は具体的な成果と新たなプログラムが揃う。柱は4つ。セキュリティ特化モデル「GPT-5.5-Cyber」の正式版リリース、Codex Securityプラグインのアップデート、パートナー企業向けの「Daybreak Cyber Partner Program」、そしてオープンソースの脆弱性を実際に修正するイニシアチブ「Patch the Planet」だ。 4月にAnthropicがフロンティアモデル「Claude Mythos Preview」を限定公開し、Project Glasswingを立ち上げてから2ヶ月あまり。しかもAnthropicは6月12日、米商務省の輸出管理指令によりFable 5とMythos 5への全アクセス

SpaceX、IPOの10日後に社債発行。現金10兆円でも足りないAIの渇き

テクノロジー

SpaceX、IPOの10日後に社債発行。現金10兆円でも足りないAIの渇き

保有する現金は約1008億ドル(約16兆3000億円)。それでも、金を借りに来た。史上最大のIPOを終えたSpaceXが、今度は社債市場に乗り込んできた。 ロケット企業が債券市場へ SpaceXは現地時間6月22日、無担保優先債(シニア・アンセキュアード・ノート)の発行を発表した。上場からわずか10日。同社にとって初めての社債発行となる。 公式には調達規模を明かしていない。関係者の話として、200億ドル(約3兆2000億円)以上を目指すと報じられている。満期は5年物から30年物まで複数の年限が設定される見込みで、投資家向けの説明は22日から始まった。 格付けは3大機関が揃って投資適格を付与した。ムーディーズがBaa1、フィッチがBBB+、S&PグローバルがBBB。Starlink(スターリンク)の安定収益と、軌道打ち上げ市場での圧倒的シェアが評価された。フィッチは、2023年以降に地球から軌道へ運ばれた質量の80%以上をSpaceXが担ったと指摘している。 では、なぜこれだけの現金を抱えて借りるのか。 xAIの負債、200億ドルの借り換え 答えは2月に遡る。Space

「欧州2031」が描いた危機。フィクションより現実が速かった

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「欧州2031」が描いた危機。フィクションより現実が速かった

ブリュッセルのシンクタンクが5年後の欧州崩壊シナリオを書いた。AIで出遅れた欧州が米中に挟まれ、主権を失う。架空の未来が、公開翌日に現実に追いつかれた。 フィクションの翌日に現実が来た 欧州がフロンティアAIへのアクセスを米国に断たれる。そんな未来を描いた思考実験が6月11日に公開され、翌12日に現実になった。 「Europe 2031」と題されたこのシナリオは、ブリュッセルのシンクタンクArq Foundationを拠点に8人が執筆し、サイエンスライターのトム・チヴァーズ(Tom Chivers)が1万8000語の物語に仕上げた。主人公は欧州委員会で働く架空のフランス人職員、キャロリーヌ・デュボワ。2025年1月のDeepSeek R1公開から2031年3月まで、欧州がAI革命への対応を誤り続け、最終的に米国の保護領か中国への依存か孤立かの三択を突きつけられるまでを描く。 著者の一人はこう投稿している。「シナリオではフロンティアモデルの輸出規制は2028年の出来事だった。現実では2日で起きた」。 6月12日、米商務省がAnthropicのClaude Fable 5とMy

Grantaが外部出版提携を全面停止。AI疑惑、決着なきまま賞が空洞化する

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Grantaが外部出版提携を全面停止。AI疑惑、決着なきまま賞が空洞化する

英文芸誌Grantaが、コモンウェルス短編小説賞の受賞作掲載を含む外部出版提携から全面撤退した。1カ月以上続くAI使用疑惑に決着がつかないまま、最終選考を9日後に控えた賞の運営基盤が揺らいでいる。 Granta Trust理事会が決断した 6月19日、Grantaはコモンウェルス短編小説賞の受賞作ページに声明を掲載した。Granta Trust理事会の名義で、「編集上の誠実さ」を理由に、自社が編集権限を持たない外部出版提携には今後一切関与しないと宣言している。 2012年から14年にわたって続いてきたGrantaとコモンウェルス財団の関係は、これで終わった。今年の受賞作はGrantaのサイトに残るが、来年以降の受賞作をGrantaが掲載することはない。 5月中旬からくすぶるAI使用疑惑が、この判断を動かした。カリブ地域受賞作「The Serpent in the Grove」を書いたナジール(Jamir Nazir)氏の作品にAI生成の痕跡があると指摘され、騒動は5つの地域受賞作のうち3作にまで波及した。だがGranta理事会は、どの作品がAI製かという判断には踏み込んでいな

トランプ氏「1週間前は脅威だった」。Anthropic問題の経緯と構造

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トランプ氏「1週間前は脅威だった」。Anthropic問題の経緯と構造

Anthropicを国家安全保障上の脅威とみなしていたか——その質問に、トランプ大統領は「今はそう思わない。でも1週間前なら、たぶん」と答えた。 「感じが良くて賢かった」 Axiosが現地時間6月19日に公開したインタビューでの発言だ。G7サミットで同席したダリオ・アモデイ(Dario Amodei)CEOの印象を「感じが良くて賢かった」と評し、関係の改善を示唆した。 1週間前、商務省がFable 5とMythos 5に対して輸出管理指令を発動し、あらゆる外国人のアクセスを遮断した。Anthropicは国籍によるスクリーニングが技術的に不可能だとして、全ユーザーへのアクセスを停止する措置に追い込まれた。米国政府がAIモデルそのものに輸出規制をかけたのは、これが初めてだった。 その発端は、Amazonだった。 130億ドルを投じた出資先を政府に「通報」した企業 トランプ大統領はインタビューの中で、Anthropicの問題を政府に持ち込んだのが「競合他社であり、一部を所有する企業」だったと明かした。Amazonのことだ。 経緯はこうだ。Amazonの研究者がFable 5

ノーベル賞AlphaFoldの生みの親、Anthropicへ移籍

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ノーベル賞AlphaFoldの生みの親、Anthropicへ移籍

タンパク質の構造予測を変えたAlphaFoldの共同開発者が、約9年を過ごしたGoogle DeepMindを離れる。行き先はAnthropic。 博士号取得の半年後にAlphaFoldを任された研究者 ジョン・ジャンパー(John Jumper)氏が現地時間6月19日、Google DeepMindを離れAnthropicに移ると発表した。しばらく休養を取ってから合流する予定だという。 A bit of news: After nearly 9 years, I have decided to leave Google DeepMind and join Anthropic (after taking some time to recharge). I am incredibly grateful for my time at GDM. @demishassabis took a real

Fable級に中国はいつ届くか。マスク氏の「来年Q1」をZ.ai創業者が否定

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Fable級に中国はいつ届くか。マスク氏の「来年Q1」をZ.ai創業者が否定

Fable 5が止まって1週間。止めた側は動けず、追う側が加速している。 7か月差か、それ以下か 中国がFable 5にいつ追いつくか。6月18日、イーロン・マスク(Elon Musk)氏が「おそらく来年Q1」と投稿した。 Probably Q1 — Elon Musk (@elonmusk) June 18, 2026 返答は早かった。Z.ai(旧Zhipu AI、智譜)共同創業者のタン・ジエ(唐杰、Tang Jie)氏が、同じスレッドで一言。 won’t take that long — jietang (@jietang) June 18, 2026 won't

OpenAI、ホワイトハウスAI政策の立案者を獲得。Anthropic規制の翌週に

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OpenAI、ホワイトハウスAI政策の立案者を獲得。Anthropic規制の翌週に

OpenAIが、トランプ政権でAI政策の中枢にいた人物を新チームの長に迎える。Anthropicが米政府の輸出規制で最新モデルを止められた、その翌週の人事だ。 「内側に入らなければ前に進めない」 ディーン・ボール(Dean W. Ball)氏が6月18日、OpenAIへの参加を発表した。入社は7月6日付で、OpenAIが新設するStrategic Futures(戦略的未来)チームを率いる。最高戦略責任者ジェイソン・クォン(Jason Kwon)氏の直属だ。 ボール氏はトランプ政権下でホワイトハウス科学技術政策局のAI・新興技術担当上級政策アドバイザーを務めた。2025年7月の「AIアクションプラン」の主要起草者であり、米国のAI政策の骨格を内側から書いた当事者だ。退任後はFoundation for American Innovation(テクノロジー規制緩和を掲げる中道右派のシンクタンク)のシニアフェローに復帰し、「Hyperdimensional」と題したSubstackでAI政策の分析を発信し続けてきた。OpenAI入社後もFAIには非常勤で残る。 Strategic

Mythos輸出規制の引き金はSKテレコムだった

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Mythos輸出規制の引き金はSKテレコムだった

Fable 5とMythos 5の全面停止から6日。その裏で何が起きていたのか、見えてきた。 「中国との関係が疑われる韓国の通信企業」 現地時間6月15日、ワシントン・ポスト紙がホワイトハウス当局者の証言をもとに経緯を報じた。 AnthropicはMythosの優先アクセス対象として111の組織を米政権に提出し、承認を受けた。だがその後、リストは約50組織ぶん膨らんでいた。追加リストの提出が遅れるなか、政権側が独自に精査を始めたところ、1つの名前に目が止まった。「中国との関係が疑われる韓国の通信企業」だ。 この発見がAnthropicへの信頼を大きく損ねたという。Anthropicは即座にこの企業のMythosアクセスを取り消したが、米政権の懸念はむしろ深まった。ある当局者の言葉が端的だ。「広げすぎた」。 ワシントン・ポスト紙は企業名を伏せた。6月17日、WIREDがSKテレコムと報じた。韓国の通信大手3社のうち、Project Glasswingを通じてMythosアクセスを公式に得ていたのはSKテレコムだけだ。KTは「該当しない」、LGユープラスは「Mythosへのアク

Anthropic従業員「狙い撃ちされている」。Fable停止から6日、社内の混乱

AI

Anthropic従業員「狙い撃ちされている」。Fable停止から6日、社内の混乱

AIの安全性を掲げてきた企業が、安全性を名目に製品を止められた。Fable 5とMythos 5の停止命令から6日。Anthropicの約3000人は、いまだ納得のいく説明を受けていない。 変わり続けた「理由」 現地時間6月12日金曜、ホワイトハウスからAnthropicに電話が入った。最新モデルのFable 5とMythos 5を市場から引き揚げろ、という指示だった。猶予は90分もなかった。 社内のグループチャットは即座に騒然となったと報じられている。マネージャーたちは顧客向けの案内を準備するよう指示されたが、肝心の「理由」が二転三転した。最初は外国企業によるアクセスが問題だと告げられ、次にはモデルに重大な脆弱性が見つかったと説明が変わった。 社内チャットでは混乱がにじんでいたという。「クライアントに何と伝えればいい?」「何を信じればいいのか、誰か知ってる?」「そもそも何が問題なのか分からない」。 6日が経った。Anthropic幹部はワシントンへ飛び、月曜・火曜と政府側と面会を重ねたが、制限解除には至っていない。Anthropicは月曜の声明で「政府との協力を継続する」

DeepSeekのブラックリスト入り、承認済みなのに棚上げ

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DeepSeekのブラックリスト入り、承認済みなのに棚上げ

2025年、米国の省庁間委員会はDeepSeekをエンティティリストに追加すると決めた。中国軍・情報機関への支援、東南アジアのペーパーカンパニーを通じた先端チップの不正調達。根拠は揃っていた。だが2026年6月現在、その決定は実行されていない。商務省はリストの更新を2025年10月から一度も公表していない。10年以上で最長の空白期間だ。 安全保障の判断は終わっている 事実関係が明らかになったのは今回が初めてだ。 昨年、商務・国防・エネルギー・国務・財務の各省からなる省庁間委員会が、DeepSeekとメモリ大手CXMT(長鑫存儲技術)を含む100社超の中国企業について、エンティティリスト追加を承認した。だが商務省は公表していない。先端半導体製造、半導体製造装置、AIモデリングの分野だけで少なくとも75社が含まれる。 国務省の高官はロイターに対し、DeepSeekが中国の軍事・情報機関の活動を支援していると証言した。人民解放軍と関連防衛機関の調達記録に150回以上登場するという。さらに東南アジアのペーパーカンパニーを使い、規制対象の米国製先端チップを不正に調達しようとしていた。今