岬 徹

テクノロジー分野を中心に2024年からYouTubeで約3,000本の動画を制作。登録者4万5千人超、Xフォロワー1万人超、noteフォロワー千人超。AI、半導体、PC、ゲーム業界について、一次資料やデータを基に分析を続ける。

岬 徹
GitHubが公開リポジトリをCD-ROMに焼いて配布する

GitHub

GitHubが公開リポジトリをCD-ROMに焼いて配布する

ソニーが2028年1月以降の新作ゲームから物理ディスクを全廃すると発表した2日後、マイクロソフト傘下のGitHubが公開リポジトリをCD-ROMに焼いて郵送する期間限定キャンペーンを開始した。先着1000枚、受付は7月6日まで。ジョークか本気か判断がつかないこの企画の裏には、GitHub自身が抱える深刻な稼働率の問題がある。 ソニーが火をつけた1週間 ソニーは現地時間7月1日、PlayStation Blogで発表した。2028年1月以降にPlayStationで発売される新作タイトルはすべてデジタル専用になり、物理ディスクの生産を終了する。すでに発売済み、または2028年1月より前にリリースされるタイトルには影響しない。 発表文には「デジタルメディアへの一般的な選好が物理ディスクを大幅に上回っている」とあり、消費者動向への適応を理由に挙げている。同日、PS3とPS VitaのPlayStation Storeも段階的に閉鎖する方針が併せて発表された。 反発は即座に広がった。数時間で複数の企業が皮肉を込めた投稿を始めている。 ドミノ・ピザUKは「ゲーム業界のトレンドに合わせ

Intel、Core Ultra 200S Plusの値上げを認める。理由は「需要」

Intel

Intel、Core Ultra 200S Plusの値上げを認める。理由は「需要」

Intelが公式ページ上で無告知のまま書き換えていたCore Ultra 200S Plusシリーズの推奨小売価格について、Intel広報が値上げの事実と理由を認めた。3月の発売から3か月、「コスパ」で取り戻した信頼が揺らいでいる。 声明の中身 ドイツのIntel広報に取材したところ、以下の声明が返ってきた。 今回の価格改定は、サプライチェーンコストの上昇やCore Ultra 200S Plusに対する需要を含む、現在の市場環境を反映したものだ。これらの価格変更は、同様の要因に基づく他のIntel製品ファミリの価格引き上げと一致している。(Intelのドイツ広報がHardwareluxxに寄せた声明) 値上げの存在を認め、理由を2つ挙げた。サプライチェーンコストの上昇と、製品に対する需要の強さ。後者がポイントになる。 「需要が強いから価格を上げた」という説明は、企業の利益最大化としては正しい。だが、この製品が発売時に何を約束していたかを振り返ると、受け止め方は変わってくる。 299ドルが349ドルになった経緯 値上げ対象は、Core Ultra 200S Plusシ

米国土安全保障省の情報共有基盤にサイバー攻撃。W杯開催中

セキュリティ

米国土安全保障省の情報共有基盤にサイバー攻撃。W杯開催中

米国の安全保障機関が脅威情報の共有に使うプラットフォームHSINが、外部から侵害された。FIFAワールドカップ2026の警備を支えている最中の出来事で、上院情報特別委員会の幹部は国家安全保障への影響を警告している。 ワールドカップの裏で起きたこと 国土安全保障省(DHS)が運用する国土安全保障情報ネットワーク(HSIN)が、サイバー攻撃を受けた。侵害は2026年5月下旬から6月初旬にかけて発生したとみられ、DHSが7月1日に認めた。 HSINは、連邦・州・地方自治体・法執行機関・民間の重要インフラ事業者が、機密扱いではないが機微な情報を共有するためのプラットフォームだ。20年以上にわたって運用され、大規模イベントの安全確保や緊急時の対応調整、脅威情報のリアルタイム共有を担ってきた。 攻撃者はHSINのサーバーと、連携に使われるSharePointシステムの両方を標的にした。誰が、何のために侵入したのかは分かっていない。盗まれたデータの内容や量も不明のままだ。 DHSの情報分析局は被害評価を実施済みだが、調査は継続中とされる。DHS側は声明で「非機密のレガシー情報共有環境に関

Windows起動時の白いウィンドウ。原因はChromeだった

Windows

Windows起動時の白いウィンドウ。原因はChromeだった

Windows 10・11で起動直後に正体不明の白いウィンドウが一瞬現れ、操作を遮ったあと消える現象が報告されている。Google Chromeのバックグラウンドタスクが原因とみられ、タスクスケジューラから無効化する対処法が共有されている。 電源を入れたら白いウィンドウが出る PCを起動すると、画面の左上に大きな白いウィンドウが現れる。タイトルバーもメニューもない。 背面のデスクトップやアプリには触れない。数秒で消えるが、毎回出る環境もあれば、たまにしか出ない環境もある。 この現象がRedditの r/WindowsHelpで報告され、同じ症状を訴えるユーザーが続いた。投稿者のOSはWindows 10 Homeだが、別のユーザーがWindows 11 25H2 InsiderビルドやWindows 10の別バージョンでも再現を確認している。 当初はAMDのグラフィックスドライバーが疑われた。しかしIntel環境でも発生しており、GPU固有の問題ではない。 Chromeが裏で動かしているもの 原因の候補として投稿者が特定したのは、タスクスケジューラに登録されているRu

SEMIがメモリ市場への政府介入に反対を表明

メモリ不足

SEMIがメモリ市場への政府介入に反対を表明

半導体業界団体SEMIが、メモリチップの供給不足に対する政府介入を控えるようトランプ政権に書簡で求めた。Appleは中国メーカーからの調達を、議員は米国顧客の優先供給を、消費者は価格引き下げを望んでいる。メモリ不足をめぐるワシントンの綱引きに、メーカー側が加わった。 メモリ不足がワシントンの政策課題になっている メモリ不足が製品価格に直接跳ね返り始めた6月下旬、Appleが全MacとiPadの価格を最大300ドル引き上げた。マイクロソフトもXboxの価格を100〜150ドル引き上げると発表した。Dell、HP、任天堂も同様の対応を取っている。 AI向けデータセンターがメモリ生産能力の大半を吸い上げ、PC・スマートフォン・自動車向けの供給が構造的に逼迫している状況は、報じられて久しい。 新しいのは、この問題がワシントンで複数の方向から政治的な圧力を生み始めたことだ。 SEMIは7月1日付で、スコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官、ピート・ヘグセス(Pete Hegseth)国防長官、ハワード・ラトニック(Howard Lutnick)商務長官、マルコ・ルビ

アリババ、Claude Codeを社内禁止。7月10日から

AI

アリババ、Claude Codeを社内禁止。7月10日から

Anthropicのコーディングツール「Claude Code」が中国のユーザー環境を密かに検査していたことが発覚し、アリババは7月10日から全社での使用を禁止する。自社ツールへの移行が従業員に通達された。 禁止の内容 アリババは業務用端末でのClaude Codeの使用を7月10日から禁止し、社内の制限ソフトウェアリストに追加した。ロイターによると、同社はClaude Codeを「ハイリスクソフトウェア」に分類し、従業員には自社のコーディングツール「Qoder」への移行を指示している。 中国メディアの報道では、禁止対象はClaude Codeにとどまらず、Sonnet、Opus、Fableを含むAnthropicの全モデルに及ぶとされている。全社的な排除だ。 Qoderは2025年8月にアリババが公開したAIコーディングプラットフォームで、2026年5月にはバージョン1.0がリリースされ、ユーザー数は全世界で500万を超えている。Claude Codeの代替としての基盤は既にある。 アリババはコメントを出していない。この措置は中国の経済メディア「第一財経」が先行して報じた

ディスク廃止は「表計算の判断」。元PlayStation幹部が語る

PlayStation

ディスク廃止は「表計算の判断」。元PlayStation幹部が語る

PlayStationのディスク生産終了をソニー在籍32年の元最高幹部が「表計算の判断だ」と評した。同じ日、ソニー唯一のディスク工場が光学レンズ工場への転換を進めていることが判明している。署名活動が広がるより前に、工場はすでに動いていた。 32年いた人の目に映ったもの ショーン・レイデン(Shawn Layden)氏がEurogamerのインタビューに応じた。SIEワールドワイド・スタジオの会長を務め、PS4時代のファーストパーティ事業を統括した人物だ。 1987年にソニーへ入社し、共同創業者の盛田昭夫氏のアシスタントからキャリアを始めている。1996年にPlayStation事業へ移り、2019年に退社するまでの32年間をソニーで過ごした。 レイデン氏は、SIEが2028年1月以降の新作ゲームディスク生産を終了するとした7月1日の発表について、率直な言葉を選んだ。 「必ずしも同意はしないが、もう事業にはいない。ディスクを打ち出すコストが高すぎるのかもしれない」(レイデン氏のEurogamerへの説明) 今回の判断を「表計算の判断だ」と表現した。製品や機能の廃止を決めると

AI排出量が過去最大。GoogleとAmazonの報告書

AI

AI排出量が過去最大。GoogleとAmazonの報告書

GoogleとAmazonが今週公開した環境報告書は、AIが消費するエネルギーだけでなく、データセンターの建設資材やGPU製造まで含めた排出量の全体像を示した。効率改善は進んでいる。それでも、拡大の速度が改善を上回り続けている。 「排出量は増えたが、効率は上がった」の限界 Googleが2026年環境報告書で公表した2025年の排出量は、同社が「アンビション・ベース」と呼ぶ算定方式で約1450万トンCO₂換算に達した。前年比18%増、2019年の基準年からは81%増になる。事業運営に直結するスコープ1・2の排出は約290万トンで、前年比2%減。電力需要が前年比37%も伸びたにもかかわらず運営排出を減らせた点を、Google自身は成果として強調している。 問題は、排出全体の約80%を占めるスコープ3にある。サーバー、チップ、ネットワーク機器の製造、データセンターの建設資材がその大半を占め、前年比で25%増加した。Googleの最高サステナビリティ責任者ケイト・ブラント(Kate Brandt)氏は報告書の中で、AIインフラの拡大が電力網の脱炭素化よりも速いペースで進んでいると認め

Fable 5、7月7日でサブスク提供終了。復帰時期は未定

AI

Fable 5、7月7日でサブスク提供終了。復帰時期は未定

Anthropicのエンジニアが、Fable 5のサブスクリプション復帰について公に言及した。7月7日以降は利用クレジットによる従量課金に移行するが、「キャパシティが許す限り、サブスクリプションの標準機能として復帰させる」と述べている。時期も条件も示されていない。 7月7日で何が変わるか 再デプロイに際し、Anthropicは有料プラン(Pro、Max、Team、一部Enterprise)向けに、7月7日まで週間利用上限の最大50%をFable 5に充当できる措置を設けた。7月8日以降、この枠は消える。Fable 5を使い続けるには利用クレジットの購入が必要で、課金レートはAPIと同じ入力100万トークンあたり10ドル、出力100万トークンあたり50ドル。Opus 4.8の2倍にあたる。 Fable 5 サブスクリプション提供条件の変遷 6月9日リリース・サブスク提供開始6月22日まで、利用枠100%で提供。追加費用なし6月12日輸出規制により全世界停止米商務省の指令で全ユーザーのアクセスを即日停止7月1日規制解除・再デプロイサブスク提供は7月7日まで、利用枠の上限

Google、Android独禁法で7600億円の制裁金が確定

EU

Google、Android独禁法で7600億円の制裁金が確定

Androidをめぐる独禁法違反でGoogleに科された41億2500万ユーロ(約7600億円)の制裁金が、欧州司法裁判所で最終確定した。2018年から8年。判決の前日にはスウェーデンで15億ドルの損害賠償命令も出ており、制裁金の確定が次の請求を呼ぶ流れが始まっている。 8年の法廷闘争が閉じた 7月2日、欧州司法裁判所(事件番号C-738/22 P)はGoogleとAlphabetの上訴を全面的に棄却した。 事の発端は2018年7月、欧州委員会がGoogleに対して下した決定にある。Androidを搭載した端末メーカーに課していた3つの契約条件が、EU競争法(TFEU第102条)に違反すると認定された。 Playストアのライセンスを得るにはGoogle検索とChromeのプリインストールが必須。Googleが承認しないAndroid派生版(フォーク)を搭載した端末の販売を禁じる断片化防止契約。そしてGoogle検索の独占的プリインストールと引き換えに広告収益を分配する契約。この3つが組み合わさって、Androidのエコシステム全体で競争を排除する単一かつ継続的な違反行為を構成

Nova Lake-S、18コアにもbLLC搭載で計6段階に

Intel

Nova Lake-S、18コアにもbLLC搭載で計6段階に

Nova Lake-Sのリーク情報が続く。従来5段階だったbLLC搭載ラインナップに、18コア(6P+8E+4LP-E)構成が加わった。125Wのアンロックモデルと65Wのロックモデルの2本立てで、bLLCがCore Ultra 5の下位帯まで到達する。 bLLCが18コアまで降りた リーカーのJaykihn(@jaykihn0)が7月3日に投稿した情報によると、Nova Lake-Sの18コア構成(6P+8E+4LP-E)にbLLC搭載の125W SKUが加わった。同構成にはbLLC搭載の65Wモデルも存在しており、65Wとは別に125W版を新設した形になる。 Nova Lake -S 6+8+4 bLLC 125W SKU added Separate SKU from 6+8+4 bLLC 65W — Jaykihn (@jaykihn0) July

Linuxカーネル、AI帰属タグの廃止を議論。マージから3ヶ月

Linux

Linuxカーネル、AI帰属タグの廃止を議論。マージから3ヶ月

4月にマージされたAI利用の申告ルールが、早くも見直しの渦中にある。 自分たちが作ったルールを、自分たちで疑い始めた LinuxカーネルのAI帰属ルールを、メンテナー自身が見直そうとしている。 2026年4月、カーネルにマージされたcoding-assistants.rstは、AIを使ってパッチを書いた開発者にAssisted-byタグの付与を義務づけた。既報の通り、責任は全て人が負い、開発者はAIが関与した事実を申告するルールになっている。 マージから3ヶ月で、その前提が揺らいでいる。 7月1日、VFSメンテナーのクリスティアン・ブラウナー(Christian Brauner)氏がLKMLにパッチを投稿した。Assisted-byタグの大幅な簡素化を求める内容で、現行の書式がAIの名前やモデルバージョンまで記録させるためにGitの履歴がAI企業の無料広告になっている、と指摘している。 「我々のGitの履歴が、AI企業とそのプロプライエタリなエージェント・モデルの無料広告プラットフォームとして機能し始めていることに、非常にいらだちを覚える」(ブラウナー氏のLKMLへの投稿

ソニーのディスク廃止方針にゲーム業界から反対の声 ピザチェーンも反応

PlayStation

ソニーのディスク廃止方針にゲーム業界から反対の声 ピザチェーンも反応

ソニーのPlayStationディスク廃止発表から48時間。24時間以上沈黙したソニーとは対照的に、業界の内外から声が止まらない。 ドミノ・ピザが「デジタルピザ」を発表した日 ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が新作ゲームのディスク生産を2028年1月以降終了すると発表したのは7月1日のことだ。その翌日、ドミノ・ピザUKの公式アカウントが声明を出した。 BREAKING NEWS pic.twitter.com/i28QZd7Z2g — Domino's Pizza UK (@Dominos_UK) July 2, 2026 ゲーム業界のトレンドに対応し、2027年4月1日をもってフィジカルピザの生産を中止する。今後はデジタルピザのみを提供する。ピザのダウンロードコードを購入し、想像力で食べてほしいという。 日付が4月1日なのは偶然ではない。投稿には公式声明のフォーマットが使われており、SIEの発表文そのものをなぞった構成になっている。続く投稿では、おなじみのキャッチフレーズ「Domin-oh-hoo-hoo」を「Domin-oh-hoo-whose-

マイクロソフト、AI技術者6000人を顧客企業へ。25億ドル投入

AI

マイクロソフト、AI技術者6000人を顧客企業へ。25億ドル投入

AIの投資対効果が出ない企業に、技術者を直接送り込む。その競争がいよいよ最大手を巻き込んだ。 ソフトウェアの先にある戦場 マイクロソフトは現地時間7月2日、「マイクロソフト・フロンティア・カンパニー」(Microsoft Frontier Company)の設立を発表した。25億ドル(約4050億円)を投じ、6000人の技術者・業界専門家を顧客企業に常駐させてAIシステムの設計・構築・運用を担う。 率いるのは、直前までマイクロソフトのアジア事業社長を務めていたロドリゴ・ケデ・リマ(Rodrigo Kede Lima)氏。独立した法人格ではなく、マイクロソフト内部の新事業体として運営される。6000人の大半は既存の社員だ。 発表したのはジャドソン・アルソフ(Judson Althoff)氏、マイクロソフトのコマーシャルビジネスCEOだ。同氏はこの組織をフォワードデプロイドエンジニアリング(FDE)を超えた存在と位置づけている。FDEとは、ソフトウェアを売って終わりにするのではなく、技術者を顧客企業の中に入れて直接システムを作り、動かす手法だ。パランティアが20年前に確立し、ここ