GitHubが公開リポジトリをCD-ROMに焼いて配布する

GitHubが公開リポジトリをCD-ROMに焼いて配布する
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ソニーが2028年1月以降の新作ゲームから物理ディスクを全廃すると発表した2日後、マイクロソフト傘下のGitHubが公開リポジトリをCD-ROMに焼いて郵送する期間限定キャンペーンを開始した。先着1000枚、受付は7月6日まで。ジョークか本気か判断がつかないこの企画の裏には、GitHub自身が抱える深刻な稼働率の問題がある。


ソニーが火をつけた1週間

ソニーは現地時間7月1日、PlayStation Blogで発表した。2028年1月以降にPlayStationで発売される新作タイトルはすべてデジタル専用になり、物理ディスクの生産を終了する。すでに発売済み、または2028年1月より前にリリースされるタイトルには影響しない。

発表文には「デジタルメディアへの一般的な選好が物理ディスクを大幅に上回っている」とあり、消費者動向への適応を理由に挙げている。同日、PS3とPS VitaのPlayStation Storeも段階的に閉鎖する方針が併せて発表された。

反発は即座に広がった。数時間で複数の企業が皮肉を込めた投稿を始めている。

ドミノ・ピザUKは「ゲーム業界のトレンドに合わせ、2027年4月1日をもって物理的なピザの生産を中止し、デジタルピザへ移行する」との声明を投稿。KFCスペインは「本日よりフライドチキンの物理フォーマットの提供を終了し、アプリ経由のPNG形式でのみ提供する」と続いた。

GameStopは物理メディアへの支持を表明し、GameFlyも自社のディスクレンタル事業を守る姿勢を見せている。

CD-ROMで届くソースコード

この流れに乗ったのがGitHubだった。

現地時間7月2日、公式Xアカウントで告知を投稿した。

公開リポジトリをCD-ROMに焼いて、希望者に無料で郵送するという。受付期間は7月2日から6日まで。先着1000件の応募が対象で、1人1枚限り。国や地域によっては発送できない場合がある。

申込フォームはMicrosoft Formsで作られており、GitHubユーザー名、対象の公開リポジトリURL、氏名、メールアドレス、住所、電話番号の入力を求める。リポジトリの所有者であることの確認チェックボックスもある。提出された個人情報はCD発送目的にのみ使用し、発送完了後に削除するとしている。

投稿には「あなたのコードは、物理的に永遠にあなたのものです。なくすまでは」と書かれていた。

笑い話にできない背景

GitHubがCD-ROMの企画に割いたのは、おそらく数十万円程度のコストと数日の手間だろう。だが、この軽い冗談の背景には、まったく冗談にならない現実がある。

2025年5月から2026年4月までの1年間で、GitHubは257件のインシデントを記録した。うち48件が大規模障害に分類されている。2026年2月が最悪の月で、1か月だけで37件。GitHub Actionsが57件と最多で、Copilot関連も44件の障害を起こした。

GitHub CTOのウラジーミル・フェドロフ(Vladimir Fedorov)氏は2026年4月のブログ投稿で、原因を率直に説明している。2025年10月に容量を10倍に拡大する計画を立てたが、2026年2月には30倍の拡張が必要だと判明した。AIエージェントによる開発ワークフローの急増が主因だという。リポジトリの作成数、プルリクエストの件数、API使用量のすべてが急激に伸びていた。

非公式の稼働率トラッカーによると、GitHubの直近90日間の稼働率は約85%まで低下していた時期がある。99.9%のSLAを掲げるサービスとしては深刻な数字で、年間換算すると約55日分のダウンタイムに相当する。

Zigプログラミング言語プロジェクトは2025年11月にGitHubを離脱し、非営利の代替サービスCodebergへ移行した。HashiCorpの共同創業者ミッチェル・ハシモト(Mitchell Hashimoto)氏は2026年4月、約1か月にわたってGitHub障害の記録をつけ、ほぼ毎日何らかの影響を受けたと報告している。5万2000以上のスターを集めたGhosttyターミナルエミュレータもGitHubから離脱した。

クラウドに預けたコードがまともに動かない期間が続く中、そのクラウドの運営会社がCD-ROMを焼いて送る。

マイクロソフト内部の温度差

GitHubの親会社マイクロソフトは、このCD-ROM企画と同じ週にもう一つ注目すべき動きを見せている。

Xbox部門がDisc2Digitalと呼ばれる機能のテストを進めていると報じられた。Xbox OneおよびXbox Series X/Sの物理ディスクをコンソールに挿入すると、デジタルライセンスが付与される仕組みで、ディスクを手放すとデジタル権利も移動する。

初代XboxやXbox 360のタイトルは対象外。次世代機Project Helixにディスクドライブを搭載するかどうか、マイクロソフトはまだ最終判断をしていないという。

物理メディアをめぐる1週間
7月1日
ソニー、物理ディスク全廃を発表
2028年1月以降の新作PlayStation全タイトル対象。PS3/PS Vitaストア閉鎖も同日発表
7月1日
Xbox Disc2Digitalテスト中と報道
物理ディスクにデジタルライセンスを紐づける機能。Xbox One/Series X|S対象
7月2日
企業各社が皮肉を込めた投稿
ドミノ・ピザUKが「デジタルピザ」、KFCスペインが「PNG形式のフライドチキン」を発表
7月2日
GitHub、CD-ROM配布を開始
公開リポジトリを焼いて無料郵送。先着1000枚、受付は7月6日まで

ソニーが物理ディスクの生産終了を宣言したその日に、マイクロソフトは物理ディスクを活かす方法をテストしていた。GitHubはCD-ROMを焼き、Xbox部門はDisc2Digitalを検証する。同じ企業グループの中で、物理メディアへの姿勢がここまで割れている。

ソニーは2013年、マイクロソフトがXbox Oneで常時オンラインDRMと中古ゲーム制限を打ち出した際、ディスクを手渡しするだけの動画を公開してマイクロソフトを嘲笑した。あの立場が13年で完全に反転した。

所有と利用の境界線

物理メディアが残ってきた理由は、ノスタルジーではない。

ソニーは直近の決算で、PlayStation 4とPS5のフルゲーム購入の約8割がデジタルだったと報告している。数字の上では、物理ディスクの需要はすでに少数派に転じている。

だが、デジタルで購入したゲームは貸すことも売ることも譲ることもできない。プラットフォームが閉鎖されれば、ライセンスごと消える。ソニーは英国のユーザーに対し、StudioCanalとのライセンス契約終了を理由に、購入済みの映画551本を2026年9月1日にアカウントから削除すると通知した。返金への言及はない。

Video Game History Foundationのフランク・チファルディ(Frank Cifaldi)氏は、物理メディアの終了とPS3/PS Vitaストアの閉鎖に対して声明を出し、デジタル専用ゲームの法的な保存手段の確立を業界団体に求めた。

物理ディスクはサーバー障害の影響を受けず、ライセンス契約の変更にも、四半期決算の結果にも左右されない。GitHubのCD-ROMは、1000枚限定の冗談でそこを突いている。

CD-Rの一般的な寿命は10年から30年。「永遠に」は少し誇張だが、GitHubの稼働率よりは信頼できるかもしれない。

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