Claude Sonnet 5、Opus 4.8に迫る性能で即日提供開始

Claude Sonnet 5、Opus 4.8に迫る性能で即日提供開始
Anthropic

Anthropicが現地時間6月30日、Claude Sonnet 5を発表した。同社のSonnetシリーズでは過去最高のエージェント性能を備え、全プランで即日利用可能になっている。無料プランとProプランではデフォルトモデルがSonnet 4.6から切り替わった。


4カ月で世代交代

2月にSonnet 4.6が出たとき、中価格帯モデルがフラッグシップに肉薄したことが話題になった。Sonnet 5はその延長線上にあるが、到達点が違う。

Anthropicが公開したベンチマークでは、エージェントコーディング指標のSWE-bench Proで63.2%を記録し、Sonnet 4.6の58.1%から5ポイント上昇した。上位モデルOpus 4.8は69.2%で、差は6ポイントに縮まっている。Terminal-Bench 2.1ではSonnet 5が80.4%、Sonnet 4.6は67.0%、Opus 4.8が82.7%。ナレッジワーク指標のGDPval-AA v2では1618を記録し、Sonnet 4.6の1395を大きく引き離した上に、Opus 4.8の1615をわずかに上回った。

コンピュータ操作能力を測るOSWorld-Verifiedでは81.2%。Sonnet 4.6は78.5%(Anthropicが今回更新した値)、Opus 4.8は83.4%だった。Humanity's Last Examではツールなしで43.2%、ツール使用時に57.4%を記録している。

Claude Sonnet 5 ベンチマーク比較
Sonnet 5Sonnet 4.6Opus 4.8
SWE-bench Pro63.2%58.1%69.2%
Terminal-Bench 2.180.4%67.0%82.7%
GDPval-AA v2161813951615
OSWorld-Verified81.2%78.5%83.4%
Humanity's
Last Exam
(ツールなし)
43.2%34.6%49.8%
Humanity's
Last Exam
(ツール使用)
57.4%46.8%57.9%
GDPval-AAはEloレーティング(高いほど優秀)。他は正答率。強調はSonnet 4.6からの向上幅が大きい指標

Sonnet 4.6の段階では「安い方が一部の指標でフラッグシップに勝つ」という現象が局所的に起きていた。Sonnet 5ではそれが例外ではなく常態になりつつある。GDPval-AAの逆転は、文書作成・分析・データ処理といった実務タスクで中価格帯モデルが最上位と同等以上の品質を出せることを示している。

価格と提供範囲

API価格は導入期として100万トークンあたり入力2ドル、出力10ドル。この価格は2026年8月31日まで適用され、9月以降は入力3ドル、出力15ドルの通常価格に移行する。Opus 4.8の入力5ドル・出力25ドルに対し、導入期なら約4割、通常価格でも約6割で済む。

ただしSonnet 5はOpus 4.7で導入されたものと同じ新しいトークナイザーを採用しており、同じテキストでもトークン数が1.0〜1.35倍に増える場合がある。Anthropicは導入期の値下げを「Sonnet 4.6からの移行がおおむねコスト中立になるよう設定した」としている。見かけの単価だけでなく、実際の処理量あたりのコストで比較する必要がある。

Claude Code、Cowork、Claude Platformでも利用可能で、GitHub Copilotにも即日対応した。APIモデル名はclaude-sonnet-5

安全性評価:改善と課題

Anthropicの事前評価では、Sonnet 5はSonnet 4.6よりも全体的に望ましくない振る舞いの発生率が低下した。プロンプトインジェクション攻撃への耐性が向上し、ハルシネーションと追従的応答の頻度もSonnet 4.6を下回っている。

一方、自動行動監査(不正への協力、欺瞞、整合性を欠く行動を幅広く検査するテスト)ではSonnet 4.6より低スコア(つまり安全側)だったものの、Opus 4.8やClaude Mythos Previewよりは高い不整合行動率を示した。Opus 4.8はSonnet 5より高い能力を持ちながら不整合行動率が低い。安全性と能力は単純な逆相関ではなく、モデルクラスによって差がある。

サイバーセキュリティ関連の能力については、Anthropicは意図的な訓練を行っていないと明言している。Firefox 147の脆弱性を突くエクスプロイト開発のテストでは、Sonnet 5は完全な動作エクスプロイトを一度も生成できなかった(Sonnet 4.6と同じ0%)。部分的な成功率はSonnet 4.6よりやや上昇したが、Opus 4.8やMythos 5とは大きな開きがある。この結果を受け、Anthropicはサイバーセーフガードをデフォルトで有効にした状態で提供している。

最上位モデルが使えない中で

この発表の文脈として無視できないのが、Fable 5とMythos 5の現状だ。6月12日、米政府の輸出管理指令によりAnthropicは両モデルへのアクセスを全ユーザー向けに停止した。現在、一般ユーザーが利用できるClaudeモデルの実質的な上限はOpus 4.8になっている。

その状況下でSonnet 5がOpus 4.8に迫る性能を示したことは、実用上の意味が大きい。最上位モデルに手が届かないユーザーにとって、中価格帯モデルの性能向上は利用体験の上限がそのまま引き上がることになる。

Anthropicは6月1日にSECへS-1を非公開提出しており、10月のナスダック上場を目指している。直近の評価額は5月のシリーズHで9650億ドルに達した。年率換算の売上規模は約470億ドルとされ、上場時に1兆ドルを超える時価総額も視野に入る。IPOを控えた企業が中価格帯モデルを積極的に強化する戦略は、高単価・少数顧客のOpusラインではなく、低単価・大量利用のSonnetラインで売上の規模を作る意図が読み取れる。

早期テスターの評価

Anthropicが公開したパートナー企業のコメントには共通点がある。従来のSonnetでは途中で止まっていた複数ステップのタスクを最後まで完遂すること、明示的に指示しなくても自分の出力を自己検証すること。複数の企業がこの2つを、低コストで実現されている事実とともに挙げている。

ZapierのシニアエンジニアはSalesforceのアカウント更新と一斉メール送信という2段階の自動化処理について、以前は途中で停止していたものがSonnet 5では最後まで完了したと報告した。CursorやFactoryといったAIコーディングツールの開発者からも、実務的なコードベースでの安定性を評価するコメントが出ている。

Sonnet 4.6との違いを整理する

Sonnet 4.6を使っている開発者にとって、移行の判断材料を整理しておく。

コーディング性能はSWE-bench Proで約5ポイント、Terminal-Bench 2.1で約13ポイント上昇した。ナレッジワークのGDPval-AAでは223ポイント差がつき、Opus 4.8すら超えた。コンピュータ操作は約3ポイントの改善。安全性指標も全体的に改善方向にある。

導入期のAPI価格は入力2ドル・出力10ドルで、Sonnet 4.6の入力3ドル・出力15ドルより安い。ただしトークナイザーの変更による実効コストの増減は利用内容によって異なるため、Anthropicが言う「おおむねコスト中立」の検証は各自の環境で行う必要がある。

中価格帯モデルの進化速度が、フラッグシップの更新間隔を上回っている。2月に出たSonnet 4.6から4カ月で、後継のSonnet 5は5月末リリースのOpus 4.8と一部指標で並んだ。この速度が続くなら、次のSonnetはOpusと区別がつかなくなるかもしれない。そうなったとき、Anthropicが高価格帯モデルをどう位置づけるのか。答えはまだ出ていない。

参照元

Introducing Claude Sonnet 5

他参照

Claude Sonnet 5 System Card

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