Xbox、Bladeキャンセルと5スタジオ閉鎖を検討。7月6日に大量解雇か
Xboxが開発中のMarvel's Bladeをキャンセルし、開発元のArkane Lyonを含む少なくとも5つの傘下スタジオの閉鎖または売却を検討していることが、複数の関係者への取材で7月1日に報じられた。
レイオフは7月6日に開始される見通しで、最大1000人が職を失う可能性がある。6月15日に報じられたニンジャセオリー(Ninja Theory)、ダブルファイン(Double Fine)、コンパルジョン・ゲームズ(Compulsion Games)の3スタジオに加え、Undead Labs(アンデッドラボ)とArkane Lyonが加わったことで、Xboxの構造改革は当初の報道を超える規模に膨らんでいる。
5月に「素晴らしい出来」、7月にキャンセル検討
今回の報道で最も衝撃的なのは、Bladeをめぐる経緯だ。
ベセスダ(Bethesda)のトッド・ハワード(Todd Howard)氏は5月21日にArkane Lyonを視察し、Bladeの開発状況を確認している。後日公開されたインタビューで、Arkaneのチームは「本当に素晴らしい仕事をしている」と語った。6月には、Arkane Lyonのリードコンセプトアーティストであるジャン=リュック・モネ(Jean-Luc Monnet)氏がファンの不安に対して「料理中だから待ってほしい」と応じている。
それから数週間で、事態は反転した。関係者の話として報じられたところでは、Xboxはコスト削減の一環としてBladeのキャンセルを望んでいる。Bladeは社内スケジュール上、当初2026年中のリリースが予定されていたが2027年後半に延期され、予算を超過している。
称賛からキャンセル検討まで、数週間しか経っていない。
Arkane Lyonの立場
Arkane Lyonは、DishonoredシリーズやDeathloopを手がけたフランス・リヨンのスタジオだ。2021年のゼニマックス(ZeniMax)買収を通じてXbox傘下に入った。
2024年5月には、同じArkaneの名を冠するArkane AustinがRedfall発売後の不振を理由に閉鎖されている。創業者のラファエル・コラントニオ(Raphael Colantonio)氏はその判断を「愚かだ」と批判した。短期の収益で切り捨てれば、長年かけて築いた開発チームの力は二度と戻らない、と。
いまArkane Lyonが同じ状況に追い込まれている。ただし完全な閉鎖だけが選択肢ではなく、売却先を探す交渉も並行して進んでいるとされる。買い手が見つかればBladeごとスタジオが存続する可能性はある。見つからなければ、DishonoredとDeathloopを生んだチームがArkane Austinに続いて消える。
5スタジオの全体像
報道で名前が挙がっている閉鎖・売却検討対象のスタジオは、現時点で以下の5つ。
Arkane Lyon(Marvel's Blade開発中)、ニンジャセオリー(Senua発表直後に閉鎖通告)、ダブルファイン(Psychonautsシリーズ)、コンパルジョン・ゲームズ(South of Midnight、BAFTA受賞)、Undead Labs(State of Decay 3開発中)。
| スタジオ | 代表作 | 現状 |
|---|---|---|
| Arkane Lyon | Dishonored / Deathloop | 閉鎖または売却を検討。 Bladeキャンセルの可能性 |
| ニンジャセオリー | Hellblade | 閉鎖通告済み。 Senua発表の8日後 |
| ダブルファイン | Psychonauts | 閉鎖または独立の交渉中 |
| コンパルジョン・ ゲームズ | South of Midnight | 閉鎖ほぼ確定。 従業員に転職活動を勧告 |
| Undead Labs | State of Decay | 売却先を探索中。 State of Decay 3は買い手次第 |
いずれもXboxが売却先を探しているが、交渉は数か月を要する可能性があるという。コンパルジョン・ゲームズはすでに閉鎖が避けられないと判断し、従業員に転職活動を勧めている。
5スタジオの閉鎖だけで約500人分の雇用が消える。これに加えて、閉鎖対象外のXbox部門でもレイオフが実施される見込みで、合計では最大1000人規模になる可能性がある。実現すれば、Xboxの25年の歴史で最大の人員削減となる。
Showcaseで見せた作品が消える
この半月、同じことが繰り返されている。Xboxは6月7日のXbox Games Showcaseで、ニンジャセオリーの新作Senuaを発表した。8日後にスタジオの閉鎖が通告された。Senuaの発表は、買い手を引きつけるためのショーケースだったと報じられている。
Undead LabsのState of Decay 3も、同じShowcaseでゲームプレイトレーラーを公開し、2027年の発売枠を得た。PS5対応も発表された。αテストに数千人の応募があった。その数週間後に閉鎖検討。
Bladeは2023年12月のThe Game Awardsでシネマティックトレーラーが公開されて以来、ゲームプレイ映像が一度も出ていない。2回連続でShowcaseに不在。報道通りキャンセルされれば、発表から一度もゲームプレイを見せることなく消えることになる。
なぜ今なのか
マイクロソフトの会計年度は6月30日に終わる。7月6日にレイオフが設定されているのは、新年度に入ってすぐ財務を整理する狙いがある。
削減を主導しているのは、マイクロソフトのCFOエイミー・フッド(Amy Hood)氏だとされる。フッド氏は2023年秋にXboxを含む各部門に30%の利益率を要求した。ゲーム業界の平均利益率を大きく上回る数字で、現在のXboxの利益率は約3%にすぎない。この目標と現実の乖離が、過去2年間にわたるスタジオ閉鎖とレイオフの連鎖を生んできた。
6月10日に公開された「100日リセット」メモで、シャルマCEOとブーティ氏は5年間で200億ドル超を投じながら売上が約5億ドル減少した事実を認めている。利益率3%の事業に、30%を求める。そのギャップを埋める手段が、スタジオの閉鎖と人員の削減だ。
同時にXboxは6月25日、Xbox Series X/Sの再値上げを発表した。8月1日から512GBモデルが100ドル、1TBモデルが150ドルの値上げとなり、Xbox Series Xのディスクドライブ搭載モデルは799.99ドルに達する。現世代Xboxで3回目の値上げだ。メモリとストレージの価格が2.5倍以上に高騰したことを理由に挙げているが、そのメモリ価格高騰の主因はAI向けデータセンター需要の急拡大であり、マイクロソフト自身がその最大の推進者のひとつだ。
繰り返される構造
2024年5月にArkane AustinとTango Gameworksが閉鎖された。2025年7月に約9000人が解雇された。2026年6月15日にニンジャセオリー、ダブルファイン、コンパルジョン・ゲームズの閉鎖または独立交渉が報じられた。6月29日にはCWA(全米通信労働組合)がオンライン記者会見でXboxのレイオフに抗議した。そして7月1日、Arkane LyonとUndead Labsが加わった。
690億ドルでアクティビジョン・ブリザードを買収してから3年。買収で得たスタジオや人材を維持する代わりに、Xboxは売却と閉鎖で利益率を上げようとしている。Halo、Fallout、The Elder Scrollsといった大型フランチャイズへの集中投資にCEOとCFOの承認が下りた一方、中小規模のスタジオが生む多様な作品群は、収益を生まないと判断されて次々と切られている。
Bladeがキャンセルされるのか、Arkaneが売却先を見つけられるのか。7月6日以降、答えが出る。
参照元: Xbox weighs canceling Blade game and shuttering Arkane
他参照:
Marvel's Blade Reportedly In Danger As Xbox Considers Shutting Arkane Studios
Arkane At Risk Of Closure With Blade Possibly Being Cancelled
Xbox has been promising 'State of Decay 3' for years — and now it could be facing cancellation