DDR4メモリの新製品が2026年に出る意味

DDR4メモリの新製品が2026年に出る意味
GOODRAM

ポーランドのメモリメーカーGOODRAMが、デスクトップ向けDDR4メモリの新シリーズ「RIVAL DDR4 RADIANT」を発売した。容量は4GBから32GBまでの4種類。動作クロックは3200MHz、レイテンシはCL16またはCL18。黒基板にレッドまたはグリーンのヒートシンクを載せた2色展開で、永久保証が付く。

2026年にDDR4の新製品を出す。その意味は、スペックの外にある。


誰も作らなくなったものを、作る

DDR4の供給は崩壊に近い。サムスン、SKハイニックス、マイクロンの大手3社は生産ラインをAI向けHBMとDDR5に集中させ、DDR4のウェハー生産比率は2026年後半に1桁台前半まで落ちる見通しだ。マイクロンは2026年2月に個人向けブランドCrucialの出荷を終了し、コンシューマー向けDRAM事業から事実上撤退した。3社体制だった市場は実質2社に絞られている。

DDR4チップのスポット価格はこの1年で異常な動きを見せた。16Gbチップは2025年半ばの約3.20ドルから一時74ドル超まで跳ね上がり、上昇率は2200%に達した。ビット単価でDDR5を上回る逆転現象まで起きた。日本の小売価格も同様で、DDR4-3200の16GBキット(8GB×2枚)は2025年初頭の5000〜1万円前後から、2026年に入って1万5000〜3万円台まで上昇した。

この状況下で、GOODRAMはDDR4専用の新ラインを立ち上げた。母体は1991年創業のポーランド企業ヴィルク・エレクトロニク(Wilk Elektronik SA)。中東欧で最大のメモリモジュールメーカーであり、インフィニオン(後のキマンダ)の破綻後は欧州唯一のRAMモジュール生産者となった。GOODRAMブランドは2003年の自社工場稼働以来、欧州・アフリカ・アジアで展開されている。

GOODRAM

DDR4は「レガシー」なのか

RIVAL DDR4 RADIANTのラインナップで目を引くのは、4GBモジュールの存在だ。4GBのDDR4は数年前に市場からほぼ消えていた。用途はOEM向けや最小構成の産業用途が想定されるが、これを新製品として出すこと自体が、DDR4がまだ「現役」である証拠だ。

GOODRAMの副社長モニカ・ヴィルク(Monika Wilk)氏は、DDR4が依然として多くのゲーマーにとって重要な規格だと述べている。

GOODRAM(機械翻訳)

実際、DDR4プラットフォームの規模は小さくない。Intel Alder Lake、Raptor Lake、AMD Ryzen 5000シリーズはいずれもDDR4対応マザーボードが存在する。DDR5の高騰が深刻化した2025年末から2026年初頭にかけて、ドイツの大手小売店MindfactoryではAM4向けCPUの販売比率が一時40%近くまで跳ね上がった。地域や時期による変動は大きいものの、DDR4への回帰は各国の販売データに現れている。AMDはComputex 2026でRyzen 7 5800X3D 10th Anniversary Editionを発表し、AM4への継続投資を明確にした。マザーボードメーカー少なくとも2社が、DDR4対応マザーボードの生産を2026年後半から2027年にかけて再開すると表明している。

DDR4は「終わった規格」ではなく、DDR5の高騰によって再び選ばれ始めた規格だ。

構造が変わった

DDR4とDDR5の関係が反転した背景には、メモリ産業そのものの構造転換がある。2026年に生産されるDRAMの約70%をデータセンターが消費するとの予測があり、メーカーは一般消費者向けの供給を最も後回しにしている。2026年1月のピーク時にはDDR5-5600の売れ筋16GB×2枚が2025年夏比で最大5.3倍に達し、DDR4-3200の同容量も3〜4倍に上昇した。6月現在はピークからやや軟化しているものの、1年前の水準には程遠い。絶対額ではDDR4のほうがまだ安く、プラットフォームごと乗り換えるコストを考えれば差はさらに開く。

DDR5とDDR4の価格高騰倍率(2025年夏→2026年1月ピーク時)
※ DDR4-3200の倍率は3〜4倍の範囲。棒の高さは中央値3.5倍で描画

TrendForceは2026年第2四半期のDRAM契約価格を前期比58〜63%上昇と予測しており、スポット市場で一部の軟化が見られても、メーカーからPCメーカーへの卸価格はなお上昇基調にある。供給が安定に向かう時期は、楽観的に見ても2027年後半だ。

GOODRAMのRIVAL DDR4 RADIANTは、DDR4-3200・UDIMM・CL16/CL18という仕様が示す通り、性能を追い求める製品ではない。3200MHzはDDR4の標準的な速度であり、オーバークロック向けの高性能ダイ(Samsung B-die等)はすでに生産されていない。選別ICと永久保証という組み合わせは、安定動作と長期運用に振り切った設計だ。

これは正しい判断だろう。DDR4プラットフォームを使い続けるユーザーが求めているのは、限界性能ではなく、まともな価格でまともに動くメモリが手に入ること自体だ。以前なら数千円で済んだメモリの増設が、今は数万円の投資になっている。安定性と保証は、速度以上に価値がある。

まだ選べるという事実

RIVAL DDR4 RADIANTの日本での販売価格や取り扱い時期は現時点で発表されていない。GOODRAMは2018年に国内代理店のソルナックを通じてSSDを販売した実績があるが、メモリモジュールの日本展開については未定だ。

だが、日本で買えるかどうかとは別の話として、大手3社がDDR4から手を引き、主要ブランドが撤退し、マザーボードすら生産終了に向かっていた流れの中で、DDR4の新製品を設計・製造・発売するメーカーがまだいる。業界全体がDDR4の復活に動き始めたComputex 2026の流れと合わせれば、GOODRAMの判断は先行投資として筋が通っている。

DDR4プラットフォーム復活までの流れ
2025年後半
DDR4/DDR5スポット価格が急騰
AI向けHBM増産のあおりで一般向けDRAM供給が逼迫
2025年12月
マイクロン、Crucial出荷終了を発表
コンシューマー向けDRAM事業から事実上撤退。市場は実質2社体制へ
2026年初頭
DDR4プラットフォームの需要が急増
ドイツMindfactoryでAM4向けCPU販売比率が一時40%近くに
2026年6月
AMD、Ryzen 7 5800X3D 10th Anniversary Edition発表
Computex 2026でAM4継続を表明。マザボメーカー2社以上がDDR4再開
2026年6月
GOODRAM、RIVAL DDR4 RADIANT発売
4GB〜32GBの全4容量・永久保証付きDDR4新製品

DDR4プラットフォームでPCを使い続けている人にとって、「選択肢がまだある」という事実は、スペックの数字よりも大きな意味を持つ。

参照元:GOODRAM公式ブログ

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