Low Latency Profile、KB5095093で対象拡大。アプリ対応は先送り

Low Latency Profile、KB5095093で対象拡大。アプリ対応は先送り

スタートメニューを開くたびにCPUが全力で回り、1秒から3秒で元に戻る。Low Latency Profileが、6月23日公開のプレビュー更新KB5095093でさらに対象を広げた。5月から段階的に配信されてきた機能だが、「さらに多くのPC」は「全員」ではない。段階展開は今も続いている。公式リリースノートが掲げる「アプリ起動の高速化」は、現時点ではまだ実装されていない。


今回何が変わったのか

KB5095093(ビルド26200.8737 / 26100.8737)は、7月のPatch Tuesdayに先行するプレビュー更新だ。ポイントインタイムリストア、Windows Updateの一時停止カレンダー、ファイルエクスプローラーの高速化など複数の改善が含まれるが、Low Latency Profileについては対象PCの拡大が今回の変更点になる。

6月9日のセキュリティ更新KB5094126でLow Latency Profileの一般展開が始まったものの、MicrosoftはCFR(段階的機能展開)を通じて配信先を絞ってきた。更新を適用しても有効にならないPCは少なくなかった。KB5095093ではその対象範囲が広がり、手動で有効化しなくても機能が動作するPCが増える。

ただし、新しいスタートメニューが昨年から展開を始めて全ユーザーに届くまで半年以上かかったように、Low Latency Profileが全環境に行き渡るのはまだ先になる。待てない場合は、ViVeToolで vivetool /enable /id:58989092 を実行すれば手動で有効化できる。

Low Latency Profileの展開経緯
5月14日
Release Previewで初登場
ビルド26200.8514にLLP初搭載
5月26日
KB5089573で一般配信開始
オプション更新。CFRで段階展開
6月9日
KB5094126で本格展開
セキュリティ更新。シェル操作に効果
6月23日
KB5095093で対象PC拡大
プレビュー更新。対象範囲をさらに拡大
今後
アプリ起動対応
1〜2か月後の更新で対応予定
※ 日付は現地時間。CFR(段階的機能展開)により有効化の時期は端末ごとに異なる

公式リリースノートとの食い違い

MicrosoftはKB5089573(5月)の時点から、Low Latency Profileの効果を「アプリの起動およびスタートメニュー、検索、アクションセンターといったコアシェルエクスペリエンスを高速化する」と記載してきた。KB5094126、KB5095093でもこの記述は変わっていない。

実態はどうか。現時点でLow Latency Profileが効いているのは、スタートメニュー、通知センター、クイック設定、検索バー、コンテキストメニューといったOSシェルの操作に限られる。EdgeやOutlookなどのアプリ起動に対するCPUブーストは、まだ一般環境では動作していない。アプリ対応は1〜2か月後の更新で届く見通しだという。

リリースノートには「アプリ起動」と書いてある。実装はまだ来ていない。この食い違いが混乱を生んでいるのは確かで、更新を入れてアプリを開いても速くなった実感がなかったユーザーは、自分のPCに問題があるのではなく、その機能がまだ届いていないだけだ。

効果が見えるPC、見えないPC

恩恵が最も大きいのは、8GBメモリにCore i3クラスのプロセッサを積んだエントリー機や、数年前のノートPCだ。こうした環境では、スタートメニューの描画が目に見えて速くなり、右クリックメニューの遅延も減る。10年前のPCに適用して「新品のWindows 11のようだ」という報告もある。

NVMe SSD搭載のハイエンドデスクトップや最新のノートPCでは、そもそもシェル操作にもたつきがないため、Low Latency Profileを有効にしても体感差はほぼない。HWiNFOでCPU周波数を監視すれば、スタートメニューを開いた瞬間に全コアがブーストクロックまで跳ね上がるのは確認できるが、描画速度の差を肉眼で見分けるのは難しい。

この差が、Low Latency Profileが誰のための機能かをはっきり示している。Microsoftは「予算PCと古いハードウェア」にとっての改善だと自ら認めている。高性能PCのユーザーが落胆するのは、期待が合っていなかっただけだ。

K2の中のLow Latency Profile

Low Latency Profileは、Microsoftが内部で進めるWindows K2プロジェクトから生まれた。K2は2025年後半に始まった品質改善の取り組みで、ユーザーからの大量の不満を受けて、新機能の追加より既存機能の改善を優先する方針に切り替えたことがきっかけだ。

K2の施策はLow Latency Profileだけではない。WinUI 3への移行によるオブジェクト割り当ての41%削減、ファイルエクスプローラーの起動高速化、ダークモードの白フラッシュ修正、コンテキストメニューの低遅延化など、地味だが実用的な改善が毎月の更新に組み込まれている。Low Latency ProfileはCPUスケジューラ側のアプローチであり、WinUI 3はコード側のアプローチ。両方が揃って初めて、Windows 11の体感速度は根本から変わる。

macOSとLinuxはいずれも、UIの応答性を高めるためにCPU周波数を瞬間的に引き上げる仕組みを以前から採用している。Low Latency Profileは新発明ではなく、Windowsが追いついたということだ。5月にスコット・ハンセルマン(Scott Hanselman)氏(Microsoft副社長)が批判に対して反論した通り、Race to Sleepは現代のOSでは標準的な手法であり、「力技」と「最適化」は排他的な選択肢ではない。

次に来るもの

アプリ起動へのLow Latency Profile適用が、目先の焦点になる。公式リリースノートが先走って「アプリ起動の高速化」を掲げているのは、技術的には準備が進んでいるが展開が追いついていないためだろう。1〜2か月後とされる次の更新で、EdgeやOutlookの起動時にもCPUブーストが走るようになれば、恩恵の範囲はシェル操作から日常のアプリ利用へ広がる。

Windows 11の「もたつき」は、発売以来4年以上続いてきた評判だ。Low Latency Profileだけでそれが覆るとは言えないが、KB5095093で対象が広がったことは、Microsoftが毎月の更新を通じて着実に手を入れている証左ではある。

参照元:Windows 11's Low latency performance boost rolls out to more PCs, making Start menu, Notifications load faster

他参照:June 23, 2026—KB5095093 (OS Builds 26200.8737 and 26100.8737) Preview

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