Microsoft Teams Free、新規ユーザーが「不明」扱いに
3週間も気付かれなかった障害。Microsoftが個人向けTeamsで起きたバックエンド変更の不具合を認め、新規登録ユーザーがプロフィール未完成のまま「Unknown User」として放置される現象が広がっている。修正の見通しは立っていない。
3週間も気付かれなかった障害。Microsoftが個人向けTeamsで起きたバックエンド変更の不具合を認め、新規登録ユーザーがプロフィール未完成のまま「Unknown User」として放置される現象が広がっている。修正の見通しは立っていない。
「サインアップしたのに、誰にも見つけてもらえない」
Microsoftが、個人向けに提供しているTeams Freeで発生中の不具合を公式に認めた。
新規登録した一部のユーザーが、相手から「Unknown User」(不明なユーザー)として表示され、検索もチャット申請も届かない状態になっているという。原因は、最近行われたバックエンドの変更にある。
これは「使えない」というより「存在を認識してもらえない」障害だ。アカウントを作ったのに、家族や友人のTeams上に自分の姿が見えない。連絡を取りたくても、相手側のアプリが「あなた」を見つけられない。サービスの根幹である「人と人をつなぐ」部分が抜け落ちている。
Teams Free(Teams for personal useとも呼ばれる)は、無料で使える個人・家族・小規模コミュニティ向けのTeams。ビデオ会議、メッセージ、ファイル共有がMicrosoftアカウントだけで使える、いわば「無料版Teams」だ。
オンボーディング画面が、なぜか飛ばされる
Microsoftが公開した障害情報の説明は、技術者でなくても核心がわかる内容になっている。
影響期間中に新規登録した一部ユーザーが、オンボーディングを既に完了したものとして誤って処理された。その結果、オンボーディングとプライバシー同意の画面がスキップされ、プロフィールが他のユーザーから「Unknown users」として表示されるようになり、検索も確実なチャット到達もできなくなっている。
普段なら新規登録時に表示されるはずの「ようこそ画面」と「プライバシー同意画面」が、何らかの理由で省略される。プロフィールは未完成のまま登録が完了してしまい、ユーザーの実体がTeams側に正しく登録されない。
問題はここからだ。プロフィールが未完成なので、相手のTeams上では名前もアイコンも表示されず、ただ「Unknown User」として漂うだけになる。本人にはTeamsが普通に動いているように見えるが、外側から見ると存在しないも同然である。
報告から3週間、修正は今もできていない
Microsoftによれば、最初の報告は4月8日。本日の公式ステータス更新は4月29日(米国時間)であり、約3週間にわたって続いている計算だ。
最近導入されたバックエンドの変更が、新規Teams Freeユーザーに必要なオンボーディング手順をスキップさせ、プロフィールが不完全な状態で残ってしまっている。その結果、影響を受けたユーザーは発見されず、他者と接続できず、チャット要求のフローも完了できない。
注目したいのは、Microsoftがこの障害を「サービス低下(service degradation)」に分類している点だ。サービスが完全に止まる「停止(outage)」ではないが、ユーザーへの体感影響が明確にある段階のラベルである。3週間続くサービス低下は、軽い障害として扱える時間ではない。
実は、ユーザー側からの報告はもっと早くから上がっていた。Microsoft Q&Aフォーラムには2週間以上前から、「Teams個人アカウントが『Unknown User』と表示される」「メールアドレスが@invalid.teams.msになっている」という相談が複数寄せられている。サポート側からの典型的な回答は「24〜72時間、場合によっては7日間待ってください」だったが、待っても解決しなかったのが今回の本質だ。
私のTeams個人アカウントが「Unknown User」(invalid.teams.ms)として表示され、チャット要求を承認できない。バックエンドのマッピングを確認してほしい。
Q&Aでのこの種の相談は、ユーザーが個人で対処できる問題ではなかった。Microsoft側のバックエンドが原因だったのだから、当然である。
個人向け無料サービスの「優先度」という現実
ここで考えたいのは、なぜ3週間も放置されたのかという点だ。
Microsoftは法人向けTeamsで障害が起きた場合、ほぼ即日でステータス情報を更新し、対応を打ち出す。実際、4月22日にはEdgeブラウザのアップデートに起因するTeams会議参加不能の不具合が即日認知され、翌日には大手メディアが報じている。さらに4月17日には、別のサービス更新がTeamsクライアントの起動失敗を引き起こした件で、3時間で更新を巻き戻している。
法人ユーザーに影響する障害は、すぐ動く。一方、個人向け無料サービスの障害は3週間も放置されている。これが偶然なのか、構造なのか。
無料ユーザーは課金していない。サポート契約もない。SLA(サービス品質保証)の対象外だ。Microsoftにとって、Teams Freeのトラブルは「対応すべきだが、急ぎではない」案件に分類されている可能性が高い。技術的に難しい修正だった、という側面ももちろんあるだろう。だが、それなら3週間より早い段階で「修正に時間がかかる」と公にアナウンスしてもよかったはずだ。
連続するTeams障害、これで何件目か
Teamsまわりの不具合は、ここ最近、明らかに増えている。
直近1か月だけでも、Edgeのアップデートで会議参加が壊れる事案、サービス更新でデスクトップクライアントが起動しなくなる事案、そして今回のTeams Free新規登録不具合と、3つの独立した障害が連続している。それぞれ別の原因だが、どれも「Microsoftが何か変更を加えたら何かが壊れた」という共通の構図を持つ。
最近のEdgeリリースで導入されたリグレッションが、一部ユーザーがMicrosoft Teamsの会議に参加しようとする際の失敗を引き起こしている。
Microsoftの社内的なリグレッションテストが、現実のユーザー環境の多様性を捕捉しきれていない可能性がある。Teamsが法人と個人、Web版とデスクトップ版、複数のブラウザ、複数のOS、無数の組み合わせで動いていることを考えると、これは構造的な難しさでもある。とはいえ、ユーザーにとっては理由はどうでもいい。動かないものは動かない、それだけだ。
「無料」の意味を再考する時期に
今回の件は、無料サービスを使うことの意味を考えさせる。Teams Freeは無料で使える便利なツールだが、何か起きたときに最後尾に並ばされる可能性がある。これはMicrosoftに限った話ではなく、Google MeetでもZoomの無料プランでも、構造は同じだ。
家族との連絡や小規模なコミュニティ運営に「ビジネス品質のサービス」を期待する場合、無料プランの限界を理解しておく必要がある。重要な連絡には別の手段も併用しておく。電話、SMS、別のメッセンジャー。それが、この種の障害から身を守る現実的な方法である。
Microsoftは本日中に追加情報を共有する予定だとしている。Teams Freeの「不明なユーザー」たちが、いつ自分の名前を取り戻せるのか。回復までの時間が、Microsoftが個人向けサービスにどれだけ本気かを測る指標になる。
3週間、自分の存在が認識されないTeams。これを使い続ける理由が、無料という以外にあるだろうか。
参照元
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