Windows 11の8月更新KB5121003、ゲームが落ちる不具合。開発元が原因を特定
400件超のセキュリティ修正を含むWindows 11の8月更新プログラムが、一部環境でゲームをクラッシュさせている。開発元が原因となるドライバを特定し、回避策を公開した。
400件超のセキュリティ修正を含むWindows 11の8月更新プログラムが、一部環境でゲームをクラッシュさせている。開発元が原因となるドライバを特定し、回避策を公開した。
Microsoftは「既知の問題なし」と言っている
Windows 11の2026年8月セキュリティ更新プログラムKB5121003が、現地時間8月11日に配信された。25H2はBuild 26200.9168に、24H2はBuild 26100.9168に更新される。
400件を超える脆弱性を修正する必須パッチだ。Microsoftの公式リリースノートには、現時点で「既知の問題なし」と記載されている。
だが、現実は違う。
配信から数日後、ARC RaidersやTHE FINALSといった人気タイトルでゲームのクラッシュが相次ぎ、一部ではPCそのものが再起動する報告も出ている。両タイトルの開発元であるEmbark Studiosは、KB5121003が原因であることを認めた。
We're aware of a new crash introduced with the release of a Windows update (KB5121003) that may be affecting some of you. The team is working on a fix, and we will keep you posted on any updates.
(KB5121003のリリースに伴い、一部の方に影響を及ぼしている可能性のある新たなクラッシュを認識しています。チームは修正に取り組んでおり、進展があれば改めてお知らせします)
Embark Studiosがこの声明をDiscordに投稿した。
原因はカーネルドライバ「inpoutx64.sys」
Embark Studiosは原因をさらに掘り下げ、inpoutx64.sysというドライバとの互換性がKB5121003によって壊れたと特定した。
inpoutx64.sysは、Highresolution Enterprisesが公開しているオープンソースのカーネルレベルドライバだ。パラレルポートやシリアルポートへの直接アクセスを可能にする。Windows 9x時代にはドライバなしでできたことだが、NTカーネル以降はこのドライバを経由する必要がある。
10年以上前のドライバだが、いまだにさまざまなソフトウェアが裏で使っている。RGB照明の制御ソフト、ファンコントロール系のユーティリティ、Razer Update Tool、メモリタイミング表示ツールのZenTimingsなど、ゲーミングPC環境では知らないうちにインストールされていることが珍しくない。
つまり、ARC RaidersやTHE FINALSをプレイしていなくても、ゲーミングPCを使っているなら影響を受ける可能性がある。
あるユーザーは自身のクラッシュを調査し、Razer Update Toolによってinpoutx64.sysがインストールされていたことを突き止めた。サービスを無効にするだけでクラッシュが止まったという。
回避策は2つ
影響を受けている場合、対処法は2つある。
1つ目は、原因ドライバの削除。 Embark Studiosが公開した手順は以下の通りだ。
コマンドプロンプトを管理者権限で開き、sc stop inpoutx64でサービスを停止する。続けてsc delete inpoutx64でサービスを削除する。最後にエクスプローラーでC:\Windows\System32\drivers\を開き、inpoutx64.sysファイルを手動で削除する。
このドライバはWindowsの動作に必須じゃない。削除しても日常使いに影響はないが、RGB制御やファンコントロールなど、このドライバに依存しているアプリケーションがある場合、そのアプリの一部機能が使えなくなる可能性はある。
2つ目は、KB5121003のアンインストール。 「設定」→「Windows Update」→「更新の履歴」からKB5121003をアンインストールできる。複数のユーザーがこの方法でクラッシュが解消したと報告している。
ただ、KB5121003は400件超の脆弱性を修正するセキュリティ更新だ。アンインストールすれば、その脆弱性は未修正のまま残る。一時的な回避策としては理解できるが、ドライバの削除で解決するなら、そちらを優先すべきだろう。
ゲームクラッシュだけではない
問題はゲームに限らない。
KB5121003のインストール後、ディスプレイのリフレッシュレートが勝手に変更される、HDRが正常に動作しなくなる、ブラックスクリーンが発生するといった映像関連の不具合も報告され始めている。
| 症状 | 対象 | 状況 |
|---|---|---|
| 原因特定済み(inpoutx64.sys) | ||
| ゲームクラッシュ PC再起動 | ARC Raiders THE FINALSなど | 回避策あり |
| アンチチート関連の クラッシュ | 一部のゲーム | 波及の可能性 |
| 原因未特定 | ||
| HDRの異常動作 | 一部環境 | 報告あり |
| リフレッシュレート 勝手に変更 | 一部環境 | 報告あり |
| ブラックスクリーン | 一部環境 | 報告あり |
| USB電源管理の不具合 | AMD X470 | ブルースクリーン |
AMD X470チップセットのマザーボードでは、USBコントローラ(xHCI)の電源管理が壊れてブルースクリーンに至るという報告がMicrosoft Tech Communityに上がっている。
アンチチート関連のソフトウェアがクラッシュするという報告もあり、inpoutx64.sys以外のドライバにも互換性の問題が波及している可能性がある。
更新の確認方法
自分のPCにKB5121003が適用されているかは、「設定」→「システム」→「バージョン情報」でOSビルド番号を確認できる。Build 26200.9168(25H2)または26100.9168(24H2)であれば適用済みだ。
inpoutx64.sysが存在するかは、エクスプローラーでC:\Windows\System32\drivers\を開いて確認できる。ファイルが存在し、かつゲームやアプリのクラッシュが発生しているなら、Embark Studiosの手順に従って削除を検討する価値がある。
「既知の問題なし」と書かれた更新プログラムが何かを壊す。2026年になっても、この繰り返しは止まらない。
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