Plasma 6.8、リモートデスクトップのクリップボードが双方向に
10月のリリースに向けて開発が進むKDE Plasma 6.8。今週の進捗では、リモートデスクトップの使い勝手を大きく変える改善や、3年越しの要望に応えるUI変更が入った。
10月のリリースに向けて開発が進むKDE Plasma 6.8。今週の進捗では、リモートデスクトップの使い勝手を大きく変える改善や、3年越しの要望に応えるUI変更が入った。
リモートデスクトップの「片道切符」が終わる
KDE Plasmaに内蔵されているリモートデスクトップサーバ(krdp)は、これまでクリップボードの共有がサーバからクライアントへの一方向に限られていた。サーバ側でコピーした文字列はクライアント側で貼り付けられるが、その逆はできない。
Plasma 6.8で、この制限が解消される。クリップボードの共有が双方向になり、クライアント側でコピーしたテキストやURLをサーバ側にそのまま貼り付けられるようになる。リモート接続中のコピー&ペーストが、ローカル作業と変わらない感覚で使えるようになるわけだ。
今週はあわせて、接続終了時にkrdpがクラッシュする問題も修正されている。内蔵リモートデスクトップは前週にもブラックスクリーンや低速ネットワークでの遅延といった問題への対処が入っており、Plasma 6.8ではこの領域の安定性が大幅に底上げされる流れにある。
マウス速度の微調整、3年越しの要望に応える
システム設定のマウスページとタッチパッドページにあるスクロール速度スライダーに、数値入力用のスピンボックスが追加された。スライダーだけでは微妙な速度調整が難しいという声が2023年から上がっていたもので、数値を直接入力して精密にコントロールできるようになる。

地味な変更に見えるが、スライダーの操作精度に不満を持つユーザーは少なくない。特にトラックボールやハイDPIマウスのように、ごくわずかなポインタ速度の差で使用感が変わるデバイスでは恩恵がある。
このほかのUI改善としては、デジタル時計ウィジェットのイベント説明がホバーツールチップからインライン表示に変わった。アプリストアのDiscoverがメタデータに含まれる外部リンクをすべて表示するようにもなっている。ログアウト画面のUI要素がアクティブモニターのみに表示されるようになり、フェードイン/アウトの速度も改善された。
KDE ConnectのCPU使い切りバグ、ようやく修正
Frameworks 6.30では、KDE ConnectがCPUコアを1つ占有し続けるバグが修正された。KDE ConnectはAndroidスマートフォンとLinuxデスクトップの間でファイル転送や通知共有を行うツールで、常駐プロセスとして動くだけにCPU消費の異常は見過ごせない。
同じFrameworks 6.30では、クリップボード上の大きな画像の貼り付けが失敗する問題も直っている。Plasma 6.6.7では大きなPNG画像の貼り付け時にラグが生じる問題も修正されており、クリップボード周りの信頼性は今回のサイクルで集中的に手が入っている。
もう一つ注目したいのは、Flatpakで配布されているアプリやNix経由のアプリが、タスクマネージャーウィジェットにより確実にピン留めされるようになった点だ。.desktopファイルのパスが変わるとピン留めが外れるという問題への対策で、パッケージ管理の都合で壊れやすかった部分が堅牢になる。
Firefoxのドラッグ&ドロップ改善への布石
パフォーマンスと技術基盤の面では、Plasma 6.7.5でKWinが複数のwl_data_deviceをサポートした。これはWaylandにおけるドラッグ&ドロップの仕組みに関わる変更で、Firefox上でのドラッグ&ドロップ操作が改善される道が開かれた。
Wayland環境でFirefoxを使うと、ドラッグ&ドロップがうまく動かない場面があるという報告は以前から出ていた。根本的な原因の一つがKWin側のwl_data_deviceサポートの制約にあり、今回の変更でその制約が取り除かれた形になる。
Frameworks 6.30では、UIコンポーネントKirigami.Iconがフォールバックアイコンを探す際のディスク読み取り回数が削減された。ファイルインデクサーのBalooも、ホームディレクトリ内にBtrfsスナップショットがある場合にそれを無視するようになり、無駄なインデックス処理がなくなった。
| 改善内容 | 対象 | 版 |
|---|---|---|
| 新機能 | ||
| クリップボード双方向化 | krdp | 6.8 |
| UI改善 | ||
| スクロール速度に 数値入力欄を追加 | システム設定 | 6.8 |
| イベント説明を インライン表示に変更 | デジタル時計 | 6.8 |
| 外部リンクを全表示 | Discover | 6.8 |
| ログアウト画面を アクティブモニターに限定 | KWin | 6.8 |
| バグ修正 | ||
| CPUコア1つを占有するバグ | KDE Connect | Fw 6.30 |
| 接続終了時のクラッシュ | krdp | 6.8 |
| 大きな画像の貼り付け失敗 | Klipper | Fw 6.30 |
| Flatpak/Nixアプリのピン留め強化 | タスクマネージャ | 6.8 |
| パフォーマンス・技術基盤 | ||
| 複数wl_data_device対応 (Firefox D&D改善) | KWin | 6.7.5 |
| アイコン検索時の ディスク読み取り削減 | Kirigami | Fw 6.30 |
| Btrfsスナップショットの インデックス除外 | Baloo | Fw 6.30 |
Plasma 6.8は10月14日にリリースされる予定で、KDEの30周年に合わせたタイミングになる。X11セッションを廃止しWayland専用となる最初のバージョンだ。派手な機能追加よりも、毎日触る場所の不便を一つずつ潰していく今の開発が、Waylandオンリーの船出を支える基盤になる。
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