NVIDIAの次世代AIラック、メモリコストが前世代比485%増

AIインフラの価格が止まらない。次世代ラックのコスト構造は、すでにGPUだけの話ではなくなっている。

NVIDIAの次世代AIラック、メモリコストが前世代比485%増

AIインフラの価格が止まらない。次世代ラックのコスト構造は、すでにGPUだけの話ではなくなっている。


メモリが価格を支配し始めた

モルガン・スタンレーがまとめた部品コスト分析によると、NVIDIAの次世代AIプラットフォーム Vera Rubin VR200 NVL72ラック1台の推定調達コストは 約780万ドル(約12億4000万円)に上る。

前世代のGB300 NVL72が約400万ドルとされることを考えると、約2倍近い水準だ。ただし内訳を見れば、コスト上昇の主役が変わっている。

VR200 NVL72のメモリコストは約200万ドル(約3億1800万円)。前世代のGB300 NVL72から 435% の上昇で、ラック全体の約25%をメモリだけが占める。

GPU以外の部品がシステムコストの中心に座り始めている。

なぜメモリコストはここまで膨らむのか

理由は2つある。

ひとつは LPDDR5X搭載量の激増だ。VR200 NVL72ラックに積まれるLPDDR5Xメモリの総量は54TBで、GB200 NVL72の17TBから3倍以上に増えた。LPDDR5Xはもともとスマートフォン向けの規格だが、NVIDIAはVera CPUに同メモリを採用した。1台のVera CPUが 1.5TB を搭載するという規模は、ハイエンドスマートフォンの約100台分に相当する。

AI向けHBMの増産がLPDDR5Xを含む一般DRAMの製造ラインを圧迫しており、価格は高止まりが続く。SemiAnalysisの推計では、2026年第1四半期時点でNVIDIAがLPDDR5Xを1GBあたり約8ドルで調達しているとされる。今後需要が拡大すれば、1GBあたり10ドル超に達するシナリオも現実的だ。

さらにVera CPUはSOCAMM2という高コストモジュール規格を採用しており、NVIDIAが自社マージンを上乗せして販売するため、実際の調達単価はさらに上振れする可能性がある。

もうひとつは 3D NANDストレージの追加だ。GB200 NVL72にはほぼ存在しなかったストレージが、VR200 NVL72では標準搭載となった。その価格だけで約100万ドル(約1億5900万円)に上る。

2026年5月時点でDDR5のスポット価格は1GBあたり平均約20ドル前後で推移している(DRAMeXchangeの情報による)。LPDDR5XはDDR5よりさらに割高で、SOCAMM2モジュール上に実装された状態ではさらに高くなる。

Rubin GPUは「1台5万5000ドル」

GPU本体の単価についても、モルガン・スタンレーは具体的な推計を示している。ハイパースケーラー向けの大量購入時、NVIDIAはRubin GPUを 1基あたり5万5000ドル(約874万円)、Vera CPUを1基あたり5000ドル(約79万5000円)で販売するとみられている。

VR200 NVL72は72基のRubin GPUと36基のVera CPUを搭載するため、GPU・CPU合計だけで約6億5800万円となる。スイッチング、ネットワーク、基板、冷却、電源、パッケージングなど周辺部材のコストが乗り、780万ドルという総額に達する。

GB300 NVL72が3月時点の情報で約400万ドルと伝えられていたことを踏まえると、VR200の780万ドルという数字はさらに上振れする可能性もある。

AIインフラ市場の「メモリ化」が進む

価格の問題は、NVIDIAだけに閉じていない。

AIサーバー向けHBM(高帯域幅メモリ)の需要拡大は、HBMと製造ラインを共有する一般DRAM・NANDの供給を圧迫している。2026年に生産されるDRAMウェーハの約20%がAIデータセンター向けに消費されるとの見方があり、コンシューマー向けDDR5の価格は2026年1月のピーク時点でコロナ禍前比の約4.4倍にまで上昇した。

2026年に生産されるメモリの70%をデータセンターが消費するという予測もある。その流れが加速すれば、PC・スマートフォン向けメモリの供給不足と価格高騰は今後も続く。

サムスン電子とSK Hynixはともに、AI主導のメモリ不足が2027年以降も続く可能性を示唆している。市場が正常化するのは、楽観的なシナリオで2026年末、現実的には2027〜2028年との見方が業界の主流だ。

VR200 NVL72の量産出荷は2026年下半期に始まる予定だ。メモリ単体で200万ドルを超えるコスト構造が市場全体に波及するのはこれからで、AIインフラの調達上限がどこにあるか、まだ誰も答えを持っていない。


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