PS6の社内資料にフレーム補間の記載。4K120fpsへの道筋
ソニーのPS6に関するリーク情報がまた一つ積み上がった。今度は内部のハードウェア戦略文書に、フレーム補間技術の記載が見つかったという。研究段階の話ではない。4K120fpsという次世代の看板を、AIでどう実現するか。その設計判断の痕跡だ。
VFIという三文字
リーカーのMoore's Law Is Deadが、自身のポッドキャスト番組で、以前入手したPS6関連の社内文書を読み返した際に気づいた記載として明かした。文書にはVFI(Video Frame Interpolation)、すなわちフレーム補間の記述がある。
VFIは、GPUが実際にレンダリングしたフレームの間にAIが中間フレームを生成し、見かけ上のフレームレートを引き上げる技術だ。PC市場ではNVIDIAのDLSS 4やAMDのFSR 4がすでに実用化している。コンソールでの本格採用はまだない。
文書はPS5 Pro発売前に作成されたものとされ、ソニーがその後どの仕様を最終決定したかは不明だとリーカー自身が留保している。だが記載の中身は具体的だ。
主要テーマ:コンソールはコスト制約がある。ML/AIによるSR(超解像)とVFI(フレーム補間)がコンソール/ローエンドdGPUに必要。低消費電力(EU法規制への対応)。
ソニーの社内対面会議で共有されたとされるこのテーマ設定は、PS6のハードウェア設計を貫く3本の柱を示している。超解像とフレーム補間の組み合わせ、コスト抑制、そしてEU規制を意識した省電力。どれもPS5 Proの延長線上にありながら、次世代で本格投入する意思表示に読める。
研究者のLinkedInから戦略文書へ
フレーム補間がPS6に来るという話自体は初出ではない。5月にはソニー・インタラクティブエンタテインメントの機械学習研究者が、自身のLinkedInプロフィールで「次世代PlayStationプラットフォーム向けフレーム補間パイプラインの中核研究を主導した」と記載していたことが確認されている。2件の特許出願にもつながったという。
マーク・サーニー(Mark Cerny)氏もDigital Foundryのインタビューで、PSSRと同じ共同開発アルゴリズムに基づくフレーム生成ライブラリが「PlayStationプラットフォームにも登場するはずだ」と発言している。ただし2026年中のリリースは予定していないとも述べた。
研究者の活動報告、設計責任者の示唆、そして今回の戦略文書。三つの異なる経路から同じ結論が浮かんでいる。PS6はフレーム補間を前提に設計されている。
「4K120fpsに感じさせる」という設計思想
ここで注目すべきは、VFIが「あれば嬉しい追加機能」ではなく、コスト制約を満たすための必須技術として位置づけられている点だ。
リーカーはこの文書から読み取れるソニーの狙いを、「4K120fpsに感じさせること」だと整理している。内部レンダリングは1080pか1440p。PSSRの次世代版でAIアップスケーリングをかけて4K相当に引き上げる。そこにVFIで中間フレームを挿入し、120fps相当の滑らかさを実現する。GPUの生の演算力で4K120fpsを達成するのではなく、AIの処理で体感品質を担保する。
この設計思想は、PS5 Proで導入されたPSSRの延長にある。PSSRは低い内部解像度から高品質な4K映像を生成するAIアップスケーラーだが、PS5 Proのハードウェアではフレーム生成までは手が届かなかった。PS6では専用のAIアクセラレータをさらに強化し、アップスケーリングとフレーム補間の両方をリアルタイムに処理する。AMDとの共同プロジェクト「Project Amethyst」がその技術的な背骨になる。
コスト制約が繰り返し強調されている理由もここにある。ラスタライズ性能を力任せに引き上げれば、ダイサイズが膨らみ、消費電力が増え、価格が上がる。メモリ高騰でコンソールの製造コストが圧迫されている現状では、GPUのスペックを盛るより、AIで賢く補う方が合理的だ。
コンソールの「性能」が変わる
フレーム生成には固有の課題もある。AIが作った中間フレームには入力遅延がつきまとう。ゲームの操作入力は実レンダリングフレームの間隔で処理されるため、60fpsを120fpsに補間する場合は問題が小さいが、30fpsを60fpsに引き上げるケースでは操作の応答性が犠牲になりうる。PC市場でも、フレーム生成をめぐる「実フレーム」と「偽フレーム」の議論は続いている。
ただ、PS6のリークスペック(ラスタライズ性能がPS5の2.5〜3倍、レイトレーシングが6〜12倍)を踏まえると、ほとんどのタイトルで実レンダリングが60fpsに到達する見通しはある。VFIの出番は60fps→120fpsの補間が主戦場になり、30fps→60fpsの「松葉杖」的な使い方は限定的になる可能性が高い。
そう考えると、PS6の戦略は明快だ。GPUの生の出力で安定した60fpsを確保し、PSSRで4K画質を作り、VFIで120fpsを体感させる。三段構えのパイプラインで、10万円以上のGPUでなければ実現できなかった映像体験を、コスト制約の中に収める。
PS6は2027年末の発売が有力とされているが、ソニーはまだ正式発表をしていない。メモリ価格の動向次第では2028年にずれ込む可能性も指摘されている一方、AMDが次世代APUの検証作業を進めていることから、大幅な延期はないとする見方もある。
いずれにせよ、ここまでリーク情報が積み上がると、PS6が「どれだけ速いか」より「どれだけ賢いか」で勝負しようとしている方向は見える。コンソールの「性能」が純粋なハードウェアスペックではなく、AIパイプラインの完成度で測られる時代が来る。PS6はその最初の本格的な試金石になりそうだ。
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