RTX Spark、Geekbench 7でM4 Maxのマルチコアに11%差まで接近
20コアを投入してもAppleのシングルコア性能には届かない。NVIDIAの勝負はCPUの外にある。
20コアを投入してもAppleのシングルコア性能には届かない。NVIDIAの勝負はCPUの外にある。
Geekbench 7に登場したスコア
RTX SparkのCPUベンチマークがGeekbench 7のデータベースに登場した。現地時間8月7日にアップロードされた2件のエントリで、20コア版と18コア版の両方のスコアが明らかになっている。



Geekbench 7
20コア版のシングルコアスコアは2,570点、マルチコアは2万3,126点。
18コア版はシングル2,541点、マルチコア2万1,776点。
比較対象として同じGeekbench 7に登録されている14コアM4 Maxは、シングル3,404点、マルチコア2万5,957点だった。
マルチコアに注目すると、20コア版はM4 Maxとの差が約11%にまで縮まっている。Computex 2026での正式発表前にLinux上で実行されたGeekbench 6のリーク(シングル3,096、マルチ1万8,837)では、2023年発売のM3 Maxにすら及ばなかったことを考えれば、進歩と言える。
Balancedで走っている
ただし、この数字には条件がついている。
スクリーンショットによれば、2台ともWindowsの電力プランが「Balanced」(バランス)に設定された状態で計測されている。最大性能を引き出す設定ではない。
20コア版のベースクロックは4.00GHz、18コア版は3.90GHz。M4 Maxは4.51GHz。クロックだけ見てもAppleが速いのは当然だ。電力設定を上げたときにRTX Sparkのスコアがどこまで伸びるかは、この結果からはわからない。
先行するCinebench 2026のリークでは、Surface Laptop Ultraの試作機が隠し設定の高性能モードでテストされている。それでもマルチコアはM3 Maxを約20%下回った。電力設定を80/95Wに変更しても実消費は50W前後に留まり、熱による制約が示唆されている。
Balancedでの計測は、性能の天井がまだ見えていないことを意味する。だが多くの消費者がBalancedのまま使うなら、この数字こそが現実に近い。
シングルコアの壁
マルチコアの差は11%に縮まった。だがシングルコアでは話が違う。
20コア版の2,570に対してM4 Maxは3,404。約24.5%の差だ。
RTX Sparkは20コアを投じてマルチコアの差を詰めているが、1コアあたりの処理能力ではAppleのArm設計に届いていない。RTX SparkのCPUはMediaTekとの共同設計でArmのCortex-X925をベースとしており、設計世代というよりもクロックと最適化の差が主因だろう。
20コア版と18コア版を比較すると、シングルコアの差はわずか1.14%、マルチコアの差は6.2%。18コア版のGPUは5,120 CUDAコア、20コア版は6,144コアで、CPUだけでなくGPU側にも明確な階層差がある。
CPUだけで測る意味
RTX Sparkの位置づけを理解するには、この数字だけを見ていても足りない。
NVIDIAがComputex 2026でMicrosoftとともに発表したRTX Sparkは、CPUベンチマークで勝つことを目的に設計されたチップではない。20コアのGrace CPUとBlackwell世代のGPUを1パッケージに統合し、最大128GBのユニファイドメモリをNVLink-C2Cで接続した設計は、ローカルAI推論とGPUコンピューティングに重心を置いている。FP4で最大1ペタフロップスのAI性能を謳い、120Bパラメータのモデルをローカルで実行できるとNVIDIAは主張する。
CUDAコア数はデスクトップのGeForce RTX 5070と同じ6,144基だが、メモリ帯域が根本的に異なる。RTX 5070のGDDR7は672GB/s、RTX SparkのLPDDR5Xは約273GB/sで、ゲーミング性能が同等になる保証はない。
今秋、ASUS ProArt P16やMicrosoft Surface Laptop Ultra、Dell XPS 16 Creator Editionなど8機種以上の搭載ラップトップが予定されている。製品版のドライバとファームウェアが出揃えば、この数字は変わりうる。
Geekbench 7のスコアは、RTX SparkのCPUがApple Siliconに追いついていないことを示している。だがNVIDIAの賭けはGPU・AI・ユニファイドメモリを含めたプラットフォーム全体にある。その賭けが当たるかどうかは、秋に搭載機が店頭に並ぶまでわからない。