ChromeとEdge、AIモデル用に20GBの空き容量を要求へ
5月に発覚した4GB自動ダウンロードは序章だった。Googleの公式ヘルプが更新され、ChromeのAIモデルに約20GBの空き容量が必要と初めて明記された。Edgeも同条件。実際のモデルは4GB前後だが、ダウンロードの前提として20GBの空きを求める。
5月に発覚した4GB自動ダウンロードは序章だった。Googleの公式ヘルプが更新され、ChromeのAIモデルに約20GBの空き容量が必要と初めて明記された。Edgeも同条件。実際のモデルは4GB前後だが、ダウンロードの前提として20GBの空きを求める。
4GBから20GBへ
5月、Google Chromeがユーザーの同意なくAIモデル「Gemini Nano」(約4GB)をバックグラウンドで自動ダウンロードしていた事実が発覚し、大きな問題になった。削除しても再ダウンロードされ、無効化の設定は存在していたものの、大半のユーザーはその場所を知らなかった。
3ヶ月後、Googleは公式のヘルプページを告知なく更新した。アーカイブの比較によると、更新は8月1日頃に行われたとみられる。
追加されたのは「オンデバイスAIの利用要件」という新しいセクションで、AIモデルのダウンロード条件が初めて明文化されている。
条件は3つ。従量課金ではないネットワーク接続、約20GBの空きディスク容量、そして十分なデバイス性能。Googleは「具体的な要件は今後変わる可能性がある」とも付け加えている。
20GBはモデルのサイズではなく、ダウンロードを開始するための前提条件だ。Gemini Nanoの実ファイルは従来通り約4GB。20GBの空きがなければダウンロードは始まらない。
なぜ4GBのファイルに20GBの空きが必要なのか、Googleは説明していない。
Edgeも20GB
これはChromeだけの話ではない。
Microsoftの開発者向けドキュメントによると、EdgeもオンデバイスAIモデルのダウンロードに20GBの空き容量を要求している。加えて、5.5GB以上のVRAM(GPUメモリ)も条件に含まれる。
Edgeが使うモデルはMicrosoft製のPhi-4-mini(38億パラメータ)で、Chromeが使うGemini Nanoとは別物だが、要求するストレージ条件は同じだ。
| Chrome | Edge | |
|---|---|---|
| AIモデル | Gemini Nano | Phi-4-mini |
| 空き容量 | 約20GB | 20GB以上 |
| 実ファイル | 約4GB | 約2.5〜5GB |
| VRAM | 明記なし | 5.5GB以上 |
| OS | 明記なし | Windows 10/11 macOS 13.3以降 |
| 自動削除 | 明記なし | 空き10GB未満で 自動削除 |
| 接続 | 従量課金以外 | 従量課金以外 |
| 無効化 | 設定→システム→ オンデバイスAI | 明記なし |
空き容量が10GBを下回ると、Edgeはブラウザの他の機能に空きを確保するためにAIモデルを自動で削除する。ダウンロードだけでなく削除も、ユーザーに代わってブラウザが判断する。
ChromeもEdgeもChromiumベースのブラウザであり、どちらもバックグラウンドでAIモデルをダウンロードする仕組みを持つ。128GBや256GBのSSDを搭載するノートPCにとって、ブラウザが20GBの空き容量を「予約」する設計は軽い負担ではない。
Chromeの標準的なインストールサイズは約1.5GB。その10倍以上のストレージをAIモデルの前提条件として要求している。
設定で止められる
Googleは2月の時点で、設定画面からAIモデルを無効化する手段を追加していた。Chromeの「設定」→「システム」にある「オンデバイスAI」をオフにすれば、モデルファイルは削除され、再ダウンロードも行われなくなる。
5月の騒動時、多くのユーザーがレジストリの編集やchrome://flagsの操作で対処していたのは、この設定の存在が十分に周知されていなかったためだ。
Googleはヘルプページで、このトグルが生成AIモデルを管理する「唯一のサポートされた方法」だと明記している。手動でファイルを探して削除しても今後のダウンロードを防げない可能性がある、と。5月にユーザーが手動削除しても再ダウンロードされていたのは、バグではなく設計通りの挙動だった。
Manifest V2廃止の同時進行
ストレージの話と同時期に、もう一つの変化が進んでいる。
Chromeは拡張機能の基盤をManifest V2からV3に移行する作業を進めており、uBlock OriginなどManifest V2に依存する広告ブロッカーは既に使えなくなった。ウェブストアからのManifest V2拡張機能の完全削除は8月31日に予定されている。
Edgeも現地時間8月7日、同様のManifest V2廃止スケジュールを公表した。8月中にCanary・Dev・Betaチャンネルで無効化を開始し、年内に一般ユーザーへの移行を完了させる方針だ。Edgeのアドオンストアに残るManifest V2拡張機能は58個で、うちManifest V3版が存在しないのは3個だけだという。
広告ブロッカーが制限される一方で、ブラウザ自身がストレージを占有するAIモデルを押し込んでくる。この2つの動きが同時に進行している事実は、記憶にとどめておいていい。
設定のデフォルト値が語ること
5月の騒動以降、GoogleもMicrosoftも無効化の手段を整備した。設定画面のトグル、Enterprise向けのレジストリポリシー。止める方法はある。



だが、デフォルトは依然として「オン」だ。
対象デバイスの条件を満たせば、ブラウザはユーザーに確認を取らずにAIモデルをダウンロードする。「オプトアウトできる」と「オプトインが必要」の間には、数億台規模の差がある。止めたければ止められる。ただ、止め方を知っている人だけが。
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