Unreal Engine 5.8、新Lumenで携帯機の60fpsへ

Unreal Engine 5のゲームは重い。そう言われ続けて数年になる。プレビュー版が出た5.8では、高品質モードの約2倍の速さで動く照明モードが加わった。Nintendo Switch 2のような携帯機でも、60fpsが視野に入ってきた。

Unreal Engine 5.8、新Lumenで携帯機の60fpsへ

Unreal Engine 5のゲームは重い。そう言われ続けて数年になる。プレビュー版が出た5.8では、高品質モードの約2倍の速さで動く照明モードが加わった。Nintendo Switch 2のような携帯機でも、60fpsが視野に入ってきた。


携帯機の60fpsを狙う「Lumen中品質」

Epic Gamesが5月12日に公開したUnreal Engine 5.8のプレビュー版で、注目を集めているのが新しい照明モードだ。「Lumen中品質(Lumen Medium Quality)」と名付けられている。Lumenは、光が壁や床で反射して回り込む様子をリアルタイムで計算する、Unreal Engine 5の照明システムを指す。

このLumenが扱うグローバルイルミネーションは、光の間接的な跳ね返りまで含めて空間を照らす技術だ。直接光が届かない場所の陰影や色のにじみは、これがあると自然になる。映像の説得力は大きく上がるが、計算の負担も大きい。Lumenの高品質モードが 60fps を狙えるのは、据え置き機のPlayStation 5クラスのハードに限られていた。

新しい中品質モードは、その負担を抑えるために用意された。位置づけは、公式のロードマップにはっきり書かれている。

Lumenの中品質モードは、グローバルイルミネーションを使うゲームの見た目を保ったまま、高品質モードの約2倍の速さで動く。現行世代の携帯機が60fpsで動かすための、新しい標準設定になる。

高品質モードの映像を大きく崩さずに、処理量をおよそ半分に抑える。電力もメモリも限られた携帯機にとって、グローバルイルミネーションは長いあいだ高すぎる買い物だった。その値段が、ようやく手の届くところまで下りてきた。

なぜ「重い」がSwitch 2の足かせだったのか

Lumen中品質は、なぜ携帯機向けに用意されたのか。背景には、Unreal Engine 5が長く抱えてきた評判がある。このエンジンは発表当初から映像の美しさで知られてきたが、出来上がったゲームの動作が重いという声も、同じくらい広く聞かれてきた。プレイヤーがエンジンの名前を聞いて身構える理由は、ここにある。

その重さがもっとも厳しく出るのが携帯機だ。Nintendo Switch 2は、据え置き機にくらべて使える電力もメモリも大きく少ない。これまでUnreal Engine 5のゲームを携帯機向けに移植するときは、LumenやNaniteといった看板機能をいくつも削るのが当たり前だった。

Naniteは、膨大な数のポリゴンを効率よく描くための仕組み。Lumenと並ぶUnreal Engine 5の看板機能で、どちらも映像の質を高める代わりに、ハードへの負担が大きい。

削った結果、携帯機向けの移植はたいてい機能を切り詰めた「縮小版」になる。LumenとNaniteを両方そのまま動かせた例は、ほとんど見当たらない。Lumen中品質は、この切り詰めをいくらか和らげる。映像を削って軽くするのではなく、軽い設定そのものを最初から用意するという発想だ。

Switch 2をめぐる事情も、この話と重なる。任天堂は5月8日、日本国内でのSwitch 2本体価格を4万9980円から5万9980円へ 1万円 引き上げると発表した。半導体メモリの高騰や円安など市場環境の変化が背景にあり、値上げは5月25日から始まる。本体が高くなるほど、同じハードでゲームが快適に動くことの価値は大きくなる。

5.8で変わるのはLumenだけではない

Unreal Engine 5.8のプレビュー版は、Lumen中品質のほかにも更新を多く抱えている。Epic Gamesはこのバージョン全体を通じて、性能の底上げを最優先に掲げた。

その象徴が MegaLights の正式対応だ。MegaLightsは、たくさんの光源を一度に扱うためのライティングの仕組みで、これまでは実験段階の機能という扱いだった。

5.8でMegaLightsは本格的な製品版に格上げされ、最新世代の据え置き機と携帯機の両方で、以前より速く、軽く動くようになった。実験段階を抜けて、現場で使える道具になった。

ほかにも、大規模な地形を3Dメッシュで組み立てる「メッシュ地形」、地形やオブジェクトを自動でつくるPCGまわりの改良、植生エディタの強化、数千体規模のキャラクターを配置できるMetaHuman Crowdなど、更新は広い範囲に及ぶ。並べてみると、向かう先は一つに揃っている。より軽く、より速く、だ。

期待と、まだ「プレビュー」であること

ここまでは明るい話だ。ただ、いま手に入るのがあくまでプレビュー版だという点は、押さえておきたい。

Epic Games自身が、プレビュー版にはっきり注意を添えている。

プレビュー版は品質テストが完全には終わっておらず、開発も活発に続いている。正式版が出るまでは、不安定なものとして扱ってほしい。

実際、公式フォーラムには早くも不具合の報告や確認の声が並んでいる。実験的機能のメッシュ地形が完成版のビルドで正しく動かないという指摘や、植生エディタに前から残る不具合が直ったのかを問う質問が出ている。プレビュー版とは、そういうものでもある。

Lumen中品質も、名前のとおり「中品質」だ。高品質モードと同じ絵にはならないし、携帯機で60fpsという数字も、いまは目指す段階にある。Unreal Engine 5.8の正式版がいつ出るのかも、まだ公表されていない。

それでも、進む方向ははっきりしている。映像の美しさには重さがついて回る。長く当たり前とされてきたこの前提に、Epic Gamesは正面から「軽さ」を組み込もうとしている。携帯機でUnreal Engine 5のゲームがどこまで快適に動くようになるのか。その答え合わせは、正式版と、それで作られたゲームが出てからになる。


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