Windows 11のタスクバー、縦配置と移動が4年ぶりに復活
Windows 11のタスクバーが、画面の上下左右どこにでも置けるようになる。リリース時に切り捨てた機能が、いまテスター向けに戻ってきている。
Windows 11のタスクバーが、画面の上下左右どこにでも置けるようになる。リリース時に切り捨てた機能が、いまテスター向けに戻ってきている。
タスクバーが好きな場所に動かせる
Microsoftが5月15日(現地時間)、Windows 11 Insider Preview Build 26300.8493をExperimentalチャネルへ配信した。注目はタスクバーの位置変更だ。設定アプリの「個人用設定 > タスクバー > タスクバーの動作」から、上下左右のいずれかを選べる。
Build 26300.8493に含まれる変更点はリリースノートで明示されている。ツールチップやフライアウトの吹き出し、アニメーションも、タスクバーが置かれた辺から出てくる。タスクバーを画面の上に置けば、スタートメニューは上から開く。左右に置けば、縦タブのような使い勝手になる。

タスクバーの位置にかかわらず、アイコンの配置もカスタマイズできる。上下に置く場合は左寄せか中央揃え、左右に置く場合は上寄せか中央揃え。「ボタンをまとめない」と「ラベルを表示」を有効にすれば、ウィンドウごとにラベル付きのボタンが並ぶ。多数のアプリを開いて切り替える人向けの設定だ。
ただし、画面上下左右どこに置いてもまだ未対応の項目がある。自動的に隠れるタスクバーとタッチ最適化タスクバーは未対応。タッチ操作も作業中。サイドに置いたときの検索ボックスは、当面は検索アイコン表示に縮退する。
「設定 > 個人用設定 > タスクバー > タスクバーの動作」から、画面の上下左右いずれかを選択できる。
同時に小型タスクバーも導入された。アイコンと高さの両方が縮む真の小型化で、Windows 10の小型タスクバーに近い。これまでWindows 11では「小さいタスクバーボタンを表示する」を有効にしてもアイコンだけが縮み、本体の高さは変わらなかった。再起動やサインアウトなしで切り替わる。
4年5ヶ月、Microsoftの言い分は変わった
Windows 11は2021年10月の発売時に、Windows 7以来続いていた位置変更の自由を残さなかった。当時、コアエクスペリエンス部門のタリ・ロス(Tali Roth)が2022年4月のAMA(Ask Me Anything、質問受付セッション)で理由を語っている。タスクバーをゼロから書き直したため、機能の取捨選択が必要だった。位置変更を求める利用者は少数だったというデータ判断。サイドに置けばアプリ側のレイアウト再計算が膨大になるという技術的負担も挙げていた。
「タスクバーを画面の異なる位置に動かせるようにすることには、多くの課題がある。右や左に置いた瞬間、すべてのアプリが環境を理解するためにこなす作業が膨大になる」(2022年4月のAMA、タリ・ロス)
「データドリブン」「少数派」「技術的に大変」。この3つで突っぱねられた要望が、4年5ヶ月後に戻ってきた。サードパーティのStartAllBackやExplorerPatcher、Start11を使って自力で取り戻していた人にとっては、長い時間だった。
Windows部門のトップが変わった影響も無視できない。2024年3月にパノス・パナイの退任を受けて指揮を執るパヴァン・ダヴルリ(Pavan Davuluri)が、2026年3月20日に「Our commitment to Windows quality」と題したブログでWindows 11の品質改善計画を公表した。最初に挙がった項目がタスクバーの位置変更と小型化だった。社内では位置変更が「Priority 0」、小型化が「Priority 1」とランク付けされていたとも報じられている。
なぜ今、戻ってきたのか
Microsoftが2022年に挙げた3つの理由のうち、技術的負担は今も残っているはず。アプリ側のレイアウト再計算が必要という主張は当時から疑問符が付いていた。タスクバーはOSの機能であって、アプリが個別に対応する話ではないからだ。残りの「データドリブン」と「少数派」だが、数字は4年で大きく動いていない。Feedback Hubでの要望数は当時から上位で、StartAllBackやExplorerPatcherを入れて使う層も一定数を保っている。
変わったのは数字より、Windows 11への不満の方だ。Copilotの押し付け、広告まがいの通知、強制的なアカウント連携。AI機能の前のめりな実装と、利用者が求めるカスタマイズの軽視が並んだ。タスクバーの位置を選べないという原始的な制約は、その象徴として残ってきた。
ダヴルリの3月のブログは、AI機能をやみくもに増やすのではなく、利用者の信頼を取り戻す方向に舵を切ると明言している。タスクバーを動かせるようにする決定は、その姿勢を示す最も分かりやすい一手になった。
タスクバーが上下左右に動かせるようになる。これがWindows 11改善の最初の一歩として配信された。
まだ全部は戻っていない
戻ってきた機能は完璧ではない。タスクバーを掴んでドラッグで動かす操作は、まだ実装されていない。設定アプリから選ぶ方式に限られている。モニターごとに違う位置に置く機能、サイドに置いたときの検索ボックス表示も、これからの作業だ。
Experimentalチャネルでの配信は、最終リリースを保証しない。Microsoftがこの段階で公開した機能が、後で削除されたり大幅に変わったりすることもある。Dev Channelから移行中のテスターが順次受け取る形になる。
それでもタスクバーが動かせるようになる。2021年10月以来、多くのWindowsユーザーが要望してきた回復の一つだ。サードパーティ製ツールに頼らず、設定アプリの数クリックで完結する。
何が変わったか、誰が得をするか
縦置きモニターを使う人、ウルトラワイドで画面の縦方向を最大限活かしたい人、複数の作業を縦タブのように並べて切り替えたい人。Windows 7やWindows 10で上や左にタスクバーを置いていた習慣のある人。これらの利用者が、自分の作業環境を取り戻せる。
Microsoftにとっては、Windows 11への不満を一つ消す機会だ。AI推進で稼いだ批判の貯金を、こうした基本機能の復元で少しずつ返す段階に入った。タスクバー位置変更の次に、設定の不安定さ、アップデートの強制力、Copilotの押し付けが控えている。
「少数派だから戻さない」と4年前に言った相手が、いま「最初に戻す」と言っている。判断が変わった理由を、Microsoftは多くを語らない。それでも、画面の好きな場所にタスクバーを置ける日がやってきた。
参照元
- Microsoft Windows Insider Blog - Announcing new builds for 15 May 2026
- Microsoft Windows Insider Blog - Improving Windows quality: Making Taskbar and Start more personal
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