Windows 11スタートメニュー、サイズ手動選択と領域オフが解禁へ

MicrosoftがWindows 11のスタートメニューを土台から作り直している。サイズの手動選択、おすすめフィードやピン留めの個別オフ、高負荷時の応答性改善。Reactベースから離れ、ネイティブのWinUI 3へ戻す構造転換が進んでいる。

Windows 11スタートメニュー、サイズ手動選択と領域オフが解禁へ

MicrosoftWindows 11スタートメニューを土台から作り直している。サイズの手動選択、おすすめフィードやピン留めの個別オフ、高負荷時の応答性改善。Reactベースから離れ、ネイティブのWinUI 3へ戻す構造転換が進んでいる。


根本から作り直されるスタートメニュー

Windows Centralが4月17日に報じた情報によれば、MicrosoftスタートメニューWinUI 3で再構築している。見た目は現行に近いが、中身はまったくの別物になる。カスタマイズ性と応答性を同時に引き上げる試みで、これはReact製の現行実装を置き換える動きでもある。

重要なのは、これが単発のUI刷新ではなく、Microsoftが3月20日にWindows Insiderブログで公表した全社的な品質改善計画の一環だという点だ。ユーザーの不満が積み上がり、ついに本社が動いた。そう読める展開だ。

Windowsを率いるPavan Davuluri氏(EVP, Windows + Devices)は、自身を「日々人々が頼る技術を作ってきた一人のエンジニア」と位置づけ、フィードバックに正面から応えると宣言した。この姿勢表明は、過去数年のWindows 11への不満の厚みを裏返した結果にも見える。

「自分で選べる」が戻ってくる

現行のスタートメニューには、小型レイアウトと大型レイアウトの2種類が内部的に用意されているが、ユーザー側で選ぶことはできない。画面サイズに応じてWindowsが自動で決めてしまう。

ここに不満の声が上がっていた。特に大画面ノートで小型レイアウトに固定される、あるいはその逆のケースだ。新しいスタートメニューでは、この判断をユーザー自身に戻す設定アプリから手動で大小を切り替えられるようになる。

自動判定が悪だったわけではない。ただ、ユーザーが自分のワークフローに合わせて決める自由を奪っていた。選択の権利を開発元が握り続ける設計は、いまの時代の感覚に合わない。

現在のWindows 11スタートメニューには、小と大の2種類のレイアウトがあるが、ユーザーが設定することはできない。画面サイズに基づいてWindowsが判断している。

加えて、セクション単位でのオン/オフも実装される。「おすすめ」フィードが邪魔だと感じる人は消せる。ピン留めを使わない人はピン留め領域ごと非表示にできる。全アプリ一覧すら、不要なら設定で切れる。

これは「引き算の自由」であり、これまでのWindows 11が提供してこなかった選択肢だ。プリインストール広告や動的な「おすすめ」に疲れたユーザーにとって、ようやく届いた応答と言っていい。

「押した瞬間に出る」を当たり前に戻す

性能面の変化は、カスタマイズ以上に深い。

現在のスタートメニューCPUが高負荷な状態だと、起動に数秒かかることがある。ビルドの途中で、動画エンコードの途中で、ゲームの裏側で。スタートボタンを押しても出てこない、あの微妙な沈黙を経験した人は多いはずだ。

新しい実装では、この「詰まり」を解消する。システムが重い状況でも応答性を保つことが設計目標として明示されている。検索も同様で、キーを打った直後から受け付ける。現行のスタートメニューでは「スタートを開く→素早く入力→最初の数文字が消えている」という現象が頻発していたが、ここに手が入る。

新しいスタートメニューの目標の一つは、システムが高負荷下にあっても常に応答性を保つことだ。

この改善の技術的な背景はシンプルだ。スタートメニューは現在、React(正確にはReact Native)で作られている。Microsoftは2023年のChain Reactカンファレンスで、React Nativeに賭ける姿勢を明確に示していた。しかしWeb系フレームワークは、どれほど最適化してもネイティブUIフレームワークほどの応答性は出せない。

今回の転換は、その方針の事実上の修正でもある。Microsoftは公式ブログでこう書いている。

コアなWindows体験をWinUI 3フレームワークへ移すことで対話遅延を下げる。

言葉の裏には、Reactを全面採用した過去の判断への再考がある。


コードネーム「Windows K2」が示す本気度

今回のスタートメニュー刷新は、Microsoft社内でWindows K2と呼ばれるプロジェクトの一部だ。世界で2番目に高い山の名前を冠したこのコードネームは、Windows 11の痛点を正面から潰しに行く全社的な取り組みを指している。

報道によれば、K2の優先度は社内で最上位に置かれており、他の計画が延期・中止されてまで人員とリソースが回されたという。これは単なるUIリフレッシュでは説明がつかない温度感だ。

K2の3本柱はパフォーマンス、信頼性、クラフトスタートメニューの刷新はこの3つすべてに直結している。起動が速くなる(パフォーマンス)、高負荷時も崩れない(信頼性)、使い手の選択を尊重する(クラフト)。

Taskbarの垂直配置・上部配置の解禁、Snipping ToolやNotepadからのCopilot導線削減、Windows Updateの強制再起動緩和、File Explorerの応答性向上。これらもすべてK2の傘の下にある。スタートメニューだけが孤立して改善されるわけではない。

なぜ「いま」なのか

興味深いのは、この動きが出てきたタイミングだ。

Davuluri氏は2026年1月下旬、Windows 11の「痛点」を公に認める声明を出した。その後、3月20日の詳細な計画発表へとつながり、スタートメニューの具体像が4月中旬に漏れてきた。この流れには意図が見える。

macOSLinuxの評判が着実に上がり、Windows 11の「重い」「広告が多い」「カスタマイズできない」という評価が定着しつつあった。Microsoft自身がそれを認識し、方向転換を選んだというのがもっとも素直な読み方だろう。

ただし、楽観はまだ早い。K2はまだコードネームであって成果物ではない。スタートメニューの新実装がいつプレビュービルドに届き、いつ正式版で配信されるかは公表されていない。「今後数か月にわたってプレビューでロールアウトが始まる」という表現にとどまる。

過去にも、Microsoftが壮大な改善計画を発表しながら、実装段階で失速した例は少なくない。今回も、プレビューに触れられるまでは評価を留保するのが妥当だろう。

取り戻すのは「選ぶ自由」

それでも、今回の動きには意味がある。

Windows 11は発売以来、「ユーザーが選べない」ことが常態化していた。タスクバーの位置、スタートメニューのレイアウト、おすすめフィードの表示、Copilotの導線。そのほとんどがMicrosoft側の都合で固定されていた。

今回の刷新は、ここに逆の力学を持ち込む。ユーザーが自分の環境を決める。そのための設定項目を増やし、セクションを消せる自由を渡し、レイアウトを手動で選ばせる。Windows 10以前の感覚に近い。

技術的にはWinUI 3への回帰が核心だが、思想面での回帰のほうが大きいのかもしれない。OSはユーザーに仕えるものであって、その逆ではない。その当たり前を、Microsoftは改めて確認しようとしている。

プレビュービルドで手応えが示されたとき、「Windows 11は変わった」と言えるかどうか。そこがK2の真価が問われる場面になる。


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