Windows 11更新KB5089549がエラーコード0x800f0922で失敗。EFI領域不足が原因

Windows 11更新KB5089549がエラーコード0x800f0922で失敗。EFI領域不足が原因

5月のWindows 11セキュリティ更新「KB5089549」が一部のPCでインストール途中に失敗している。Microsoftが原因をEFIパーティションの空き容量不足と認め、レジストリ修正による回避策を公開した。


35%で止まり、ロールバックされる更新

5月12日に配信されたWindows 11 25H2/24H2向けの累積更新「KB5089549」が、一部の環境でインストール中に失敗している。初期段階は通常通り進む。ところが再起動後の処理がおよそ35〜36%まで進んだところで止まり、「Something didn't go as planned. Undoing changes.(変更を元に戻しています。)」というメッセージとともにロールバックされる。最終的に表示されるエラーコードは 0x800f0922 だ。

更新適用の途中で電源を切ったわけでもなく、ディスクが壊れているわけでもない。Windows Updateの履歴を見ても、原因は読み取れない。何が起きているのか分からないまま、同じ失敗を何度も繰り返している利用者が出ている。

KB5089549 インストール失敗のプロセス
ダウンロード・初期インストール 通常通り進行 再起動 → 構成適用フェーズ ここまで問題なし 35〜36% で停止 EFIパーティションの空き容量が不足 ServicingBootFiles failed 画面メッセージが表示される "Something didn't go as planned." (うまくいきませんでした) ロールバック実行 更新前の状態に戻される エラーコード: 0x800f0922 成功 失敗 警告 ロールバック
※ CBSログ上は SpaceCheck: Insufficient free space と ServicingBootFiles failed (Error = 0x70) が記録される

原因はEFIパーティションの空き10MB

Microsoftは公式サポート文書の「Known issues」セクションでこの問題を認めた。原因は EFIパーティションの空き不足 にある。

EFIパーティション(EFI System Partition、ESP)は、PCの起動時に最初に読み込まれる小さな専用領域だ。OSの起動に必要なブートローダーや構成ファイルが置かれている。通常は100MB程度の容量で確保されているが、長年使い続けたPCではOEMのBIOS更新ファイルやサードパーティのブートローダーがこの領域に蓄積し、空き容量が極端に減っていく場合がある。

Microsoftによれば、空きが 10MB以下 まで減っているPCで今回の更新が失敗する。CBS.logには次のエラーが残るという。

SpaceCheck: Insufficient free space
ServicingBootFiles failed. Error = 0x70
SpaceCheck: used by third-party/OEM files outside of Microsoft boot directories

3行目が問題の核心を示している。Microsoftが管理するブートディレクトリの外側、つまりOEMやサードパーティが置いたファイルが、Windows更新の作業領域を圧迫している。

なぜ今回の更新で表面化したのか

EFIパーティションの空き不足は、今回が初めてではない。0x800f0922 のエラー自体は過去のWindows更新でも繰り返し報告されてきた。EFIパーティションを100MBで確保したまま、何年もOEMのBIOS更新やセキュリティブート関連のファイルを上書きし続けると、いつかは空きが尽きる。

今回のKB5089549は、改善内容に Secure Bootの証明書更新 やブートマネージャの修正が含まれている。EFIパーティションに書き込む量がいつもより多く、空きが少ない環境では一気に閾値を超えてしまった。普段は気付かない空き容量が、特定の更新を境に問題として表面化する。

Windows Updateで毎月配信される累積更新には、この種の「環境依存の地雷」がいくつも潜んでいる。普段は通っていた更新が、ある日突然失敗する理由の多くは、PCが何年もかけて溜め込んだ細かな状態の積み重ねにある。

回避策はレジストリ1行で済む

Microsoftが提示した回避策は2つある。一般利用者向けには レジストリ修正、企業の管理者向けには Known Issue Rollback(KIR)グループポリシーだ。

レジストリ修正の手順は次の通り。管理者権限でコマンドプロンプトを開き、1行のコマンドを実行する。

reg add "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Bfsvc" /v EspPaddingPercent /t REG_DWORD /d 0 /f

EspPaddingPercent は、更新時にEFIパーティションへ確保しようとするパディング領域の割合を指定する値だ。これを 0 にすることで、Windowsが余分な空き要求を出さなくなり、ギリギリの空き容量でも更新が通るようになる。

既存のEFIパーティション空き容量が更新時の必要量を下回っている場合、レジストリのEspPaddingPercent値を0にすることで、Windowsはパディング領域を要求せずに更新を試みる。これは恒久的な解決ではなく、次回以降の更新で同じ問題が再発する可能性がある。

実行後にPCを再起動し、もう一度Windows Updateから更新を試す流れになる。

管理PCでは、Intune などの管理ツール経由でKIRグループポリシーを配布できる。詳細はMicrosoftの公式サポート記事に手順がある。

根本的にはEFIパーティションを広げるべきか

レジストリ修正で目の前の更新は通せる。ただ、これは恒久的な解決ではない。EFIパーティションが10MB以下まで埋まっている状態は、次の月のセキュリティ更新でも同じ問題を引き起こす可能性が高い。

EFIパーティション空き容量別の状態
空き容量 10MB以下 標準状態 推奨
パーティション
全体サイズ
100MB前後 100MB前後 200〜500MB
KB5089549の
挙動
35%で失敗 正常に完了 正常に完了
必要な対処 レジストリ
修正が必要
当面は不要 不要
次回更新での
再発リスク
高い 中程度 低い
恒久的な
解決策
パーティション
の拡張
拡張を検討 不要
※「ディスクの管理」でEFIシステムパーティションの空き容量を確認できる。長年OEMのBIOS更新やSecure Boot関連ファイルが蓄積したPCは10MB以下に近づいている場合がある

理想を言えばEFIパーティションそのものを 200〜500MBに拡張 するのが安全だが、ディスクのレイアウト変更には相応のリスクが伴う。AOMEI Partition Assistant のようなツールでパーティション操作はできるものの、起動領域の編集に失敗すればPCが起動しなくなる。Dellなど特定機種ではブリック化したという報告も出ている。

利用者にできる現実的な選択肢は、まずレジストリ修正で今回の更新を通し、その上でディスク容量に余裕のある時期に専門ツールでEFIパーティションを拡張する、という二段構えになる。

10MBという数字は、いま自分のPCで何が起きているかを確かめるきっかけになる。「ディスクの管理」で隠れたEFIパーティションを覗いてみると、自分のPCがいつ同じ問題にぶつかってもおかしくない状態にあると気付くかもしれない。


参照元

関連記事

この記事を共有する