Call of Duty次回作、PS4を切る12年ぶりの決断

Call of Duty次回作、PS4を切る12年ぶりの決断
アクティビジョン

「次のCall of DutyはPS4向けに開発していない」。アクティビジョン公式アカウントのこの一言が、12年続いたシリーズの前世代機対応に終止符を打った。値上げ続きのPS5への移行は、誰の負担になるのか。


公式アカウントの一言が確定させた区切り

事態が動いたのは日本時間5月5日の早朝だ。アクティビジョンが運営するCall of Duty公式X(旧Twitter)アカウントが、週末から広がっていた噂を否定する短い投稿を出した。

Not sure where this one started, but it's not true. The next Call of Duty is not being developed for PS4.(どこから出た話か知らないが、これは違う。次のCall of DutyはPS4向けに開発していない)

160万件以上の表示を集めたこの投稿は、リーカーHeyImAlaixが5月3日に「MW4が現在PS4でプレイテストされていると聞いた」と書いた話を打ち消すものだ。Alaix本人は後に「リリースされるとは言っていない、面白いと思って書いただけ」と補足していたが、ファンの間では「またPS4対応かよ」という落胆が広がっていた。

公式の否定は、その落胆を一掃するに足りるものだった。12年ぶりの世代区切りが、短い投稿一つで確定したことになる。

2013年から続いた長すぎる延命

Call of Dutyが前世代機を切るのは、2013年の『Call of Duty: Ghosts』以来。あの作品はPS3/Xbox 360とPS4/Xbox Oneの両世代に同時対応した、いわゆるクロスジェン作品だった。あれから12年。同じ役割を今度はPS4/Xbox Oneが担い続けてきた。

PS5とXbox Series X|Sが発売されたのは2020年11月だ。それから今年でほぼ6年。歴代のCall of Dutyを振り返ると、これほど長く前世代機を引きずったケースはない。PS3/Xbox 360対応は2015年の『Black Ops III』(マルチプレイヤーのみの簡易版)で実質的に終わっている。今回はそれを上回る世代またぎが起きていたことになる。

2025年の『Call of Duty: Black Ops 7』が、PS4/Xbox Oneに対応する最後のシリーズ作品となる。次回作からは、PS5・Xbox Series X|S・PCの3プラットフォーム体制に絞られる見通しだ。
Call of Dutyシリーズの世代対応の変遷
主要タイトル PS3 /
Xbox 360
PS4 /
Xbox One
PS5 /
XSX|S
2013 Ghosts
2015 Black Ops III
2016 Infinite
Warfare
×
2020 Black Ops
Cold War
2025 Black Ops 7
2026 Modern
Warfare 4
×
○:対応/×:非対応/△:マルチプレイヤーのみ対応(キャンペーン非搭載)/—:当該世代未発売

なぜここまで長引いたのか。理由はシンプルで、PS4とXbox Oneの稼働台数がいまだに大きいからだ。一部の業界レポートでは、シリーズ売上の20〜30%が前世代機経由だとも言われてきた。アクティビジョンにとって、その層を切り捨てる判断は売上の20〜30%を捨てることに等しい。逆にいえば、それを今回ようやく切れる程度には、前世代機の存在感が小さくなったということでもある。

開発側にとっての解放

この決定は、開発スタジオのInfinity Wardにとっては解放を意味する。クロスジェン開発は、最弱の機種に合わせて設計の天井が決まる構造だ。PS4の性能を前提にすると、PS5でしかできないはずの表現に制限がかかる。テクスチャの解像度、メモリ使用量、ロード時間の設計、すべてが前世代機の都合に縛られる。

ファンの不満もそこにあった。「PS5を買ったのに、PS4基準で作られたゲームを遊んでいる」。この感覚が、シリーズの停滞感の根の一つだった。前世代機が外れることで、ようやく現行機の性能を前提とした設計が可能になる。

ただし、それで作品が必ず良くなるとは限らない。技術的な天井が上がっても、ゲームデザインの方向性が変わらなければ、結局同じ印象の続編が量産される懸念は残る。アクティビジョンはBlack Ops 7の不振を受け、Modern WarfareとBlack Opsの連続リリースを今後行わないと表明した。次回作は、その新しい体制で作られる最初の作品になる。


ユーザーが直面する移行コスト

問題は、PS4ユーザーがどう動くかだ。次回作を遊びたければ、PS5かXbox Series X|S、あるいはPCに乗り換える必要がある。ところがそのPS5の価格が、ここ1年で大きく上がっている。

日本では2026年4月2日にソニー・インタラクティブエンタテインメントがPS5の価格を改定した。標準モデルは9万7980円、デジタル・エディションは8万9980円、PS5 Proは13万7980円。発売当時の標準モデル5万4978円と比べると約1.8倍に達している。標準モデルの値上げ幅は23%にのぼる。

SIEは値上げの理由を「世界経済を取り巻く状況が厳しさを増すなか、質の高いゲーム体験を提供し続けるために避けて通れない判断」と説明した。直接の言及はないが、AI需要によるDRAM・NANDの世界的な逼迫が背景にあるとみられる。
PS5標準モデル 日本価格の推移(2020年発売〜2026年4月)
出典:ソニー・インタラクティブエンタテインメント公式発表(2020年11月発売価格、2022年9月/2023年11月/2024年9月/2026年4月の各価格改定)

救いは、2025年11月に登場した「PlayStation 5 デジタル・エディション 日本語専用」モデルが今回の値上げ対象から外れ、5万5000円で据え置かれていることだ。日本語と日本アカウント専用に機能を絞ることで価格を抑えており、為替の影響を受けにくい設計になっている。日本国内でCall of Dutyを遊ぶためだけに乗り換えるなら、これが現実的な選択肢になる。

Game Passからの離脱という追加の負担

もう一つ、見落とされがちな変化がある。マイクロソフトは新作Call of DutyをXbox Game Pass Ultimateの初日提供から外す方針を明らかにした。次回作がGame Passに入るのは、おそらく2027年末の年末商戦頃だ。

その代わり、Game Pass Ultimateの月額は29.99ドルから22.99ドルに、PC Game Passは16.49ドルから13.99ドルに引き下げられた。サブスクの値下げは歓迎すべき動きだが、Call of Dutyを初日に遊びたいユーザーは買い切り版を購入するしかなくなる。

マイクロソフトがアクティビジョン買収を完了したのは2023年10月。その後Day 1でGame Passに入ったCall of Dutyは『Black Ops 6』と『Black Ops 7』のたった2作だ。買収の最大のシナジーとされていたGame Pass×Call of Dutyの組み合わせが、わずか2年で見直されたことになる。

買収の説得材料の一つだったはずの構図が、想定より早く解体されている。サブスク経済の限界か、Call of Dutyの収益構造の特殊性か、判断材料はまだ揃っていない。Game Passで遊べる作品が一つ減ったのは、ユーザーにとって明確な損失だ。

Microsoftがアクティビジョンを買収完了したのは2023年10月。その後Day 1でGame Passに入ったCall of Dutyは『Black Ops 6』と『Black Ops 7』のたった2作だ。買収の最大のシナジーとされていたGame Pass×Call of Dutyの組み合わせが、わずか2年で見直されたことになる。

買収の説得材料の一つだったはずの構図が、想定より早く解体されている。サブスク経済の限界か、Call of Dutyの収益構造の特殊性か、判断材料はまだ揃っていない。ただ、ユーザーから見れば「サブスクで遊べる作品」が一つ減ったのは確かだ。


12年の終わりに残るもの

Ghostsから数えて12年。前世代機を切るというのは、シリーズの設計思想を引き上げる決断であると同時に、これまで支えてきたユーザー層の一部を置き去りにする決断でもある。アクティビジョン公式アカウントの否定の言葉は短かったが、その背後にあるのは「前世代機のまま遊び続ける選択肢はもうない」という、目立たないけれど決定的な通告だ。

技術的な前進と、移行コストの押し付け。どちらの面を強く感じるかは、いま手元にどの機種があるかで変わる。

PS5を持っている人にとっては、ようやく現行機の性能を前提とした作品が遊べる朗報。PS4で遊び続けてきた人にとっては、約9万円の追加投資か、5万5000円の日本語専用モデルか、シリーズから降りるかの三択を迫られる。Call of Dutyというフランチャイズが背負ってきたユーザー層の広さが、今回の決断で初めて狭まる。

マイクロソフトが約10兆円を投じて手に入れたこのシリーズが、買収完了からわずか2年で「Day 1 Game Pass非対応」「前世代機切り捨て」という二つの方針転換を迎えた。フランチャイズの再設計はまだ始まったばかりだ。次の動きが見えてくるのは、Modern Warfare 4の正式発表を待ってからになる。


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