GTA 6リーク。Take-Two株価が一時下落、犯行声明には仮想通貨の影
11月の発売を3か月後に控えたGTA 6から、ゲームプレイ映像とマップ画像が流出した。親会社Take-Twoの株価は2日で一時4%超下落。だが犯行グループの「ゲーマーの権利のため」という主張には、仮想通貨の宣伝が張り付いている。
11月の発売を3か月後に控えたGTA 6から、ゲームプレイ映像とマップ画像が流出した。親会社Take-Twoの株価は2日で一時4%超下落。だが犯行グループの「ゲーマーの権利のため」という主張には、仮想通貨の宣伝が張り付いている。
8月18日、映像が出回り始めた
現地時間8月18日、CYBERLEEKと名乗る人物またはグループが、『グランド・セフト・オートVI』(以下GTA 6)のゲームプレイ映像とマップ画像をインターネット上に公開した。
映像には主人公ジェイソンが自宅でバスケットボールをする場面、車を運転して市街地を走る場面、NPC(操作しない登場人物)との格闘シーンが含まれていた。別の映像ではテーザー銃の使用やカットシーンの一部も確認されている。マップ画像は舞台となる架空の州「レオナイダ」の全域を俯瞰したもので、公式トレーラーに登場していない地名も含まれていた。
映像には一貫して「$CYBERLEEK」という仮想通貨トークンのウォーターマークが埋め込まれている。
Take-TwoとRockstarは公式声明を出していない。対応はDMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づく削除申請のみで、映像を転載した投稿は次々と消えたが、拡散の速度が削除を上回っている。
マニフェスト「3つの戒律」
CYBERLEEKは映像とあわせて自らの主張をまとめた文書を公開した。「CYBERLEEKの勅令」と題されたその文書は、ゲーム業界の「反消費者的慣行」を批判し、3つの要求を掲げている。
第1条「デジタルプリオーダーを売ってはならない」。デジタル販売には在庫切れが存在しないのだから、予約購入制度はもはや消費者にとって何の利益もない、というのが主張の骨子だ。
第2条「偽のシングルプレイヤーDLCを売ってはならない」。ゲームデータとして本体に入っているコンテンツに鍵をかけ、解除を有料で売る行為を問題視している。
第3条「シングルプレイヤーコンテンツを保存せよ」。サーバーが終了してもオフラインで遊べる手段を残すこと。ここでCYBERLEEKが名指ししたのが、2024年にUbisoftがサーバーを閉じたことで完全に遊べなくなったレーシングゲーム『The Crew』だった。
GTA 6は11月19日の発売が予定されているが、パッケージ版にゲームディスクは入らない。箱の中にはダウンロードコードだけが同梱される。CYBERLEEKはこの決定を引き金として挙げている。
株価は下がり、そして戻った
Take-Two Interactive(NASDAQ: TTWO)の株価は、リーク直前の8月18日に終値242.40ドルをつけていた。翌19日の終値は237.04ドル。さらに20日の取引時間中には一時231.58ドルまで下落した。
Insider Gamingの報道はリーク前の株価を248.13ドルとし、記事執筆時点の232.84ドルとの差額から「時価総額が約28.3億ドル(約4,200億円)減少した」と伝えた。この248.13ドルがどの時点の価格かは明記されていないが、8月18日の取引時間中の高値は248.39ドルが記録されており、近い数値ではある。
ただ、8月20日の終値は240ドル台に回復している。Robinhoodのデータでは同日終値241.00ドル、Investing.comでは240.40ドルだった。日中の最安値と回復後の終値には約10ドルの開きがある。「28.3億ドルの損失」は、日中の最安値付近を基にした瞬間的な数字だ。
株式市場は変動する。それ自体は当然のことで、リークだけが下落要因とは断定できない。Take-Twoの時価総額は約440億ドル規模であり、仮に数ドルの下落が続いたとしても、会社の存続を揺るがす水準ではない。
仮想通貨、そして2022年の記憶
CYBERLEEKの主張を額面通りに受け取ることが難しい理由がある。
リーク映像のすべてに、Solana(仮想通貨の基盤技術の一つ)上のミームコイン「$CYBERLEEK」のウォーターマークが入っている。マニフェストの中にも「秘密のプロジェクトのための資金調達」としてこのトークンへの言及がある。報道によれば、このトークンの時価総額は公開直後に約5,800%急騰し、約346万ドルに到達した後に下落した。
ゲーマーの権利を掲げながら、そのゲーマーに仮想通貨を買わせようとしている。
2022年9月、別のリーカーがGTA 6の開発映像90本以上を流出させた事件があった。犯人はハッキンググループLapsus$の一員で、当時18歳のアリオン・クルタイ(Arion Kurtaj)氏。英国の裁判所で有罪となり、無期限の入院命令を受けている。UberやNVIDIAへのサイバー攻撃にも関与していた人物だ。
CYBERLEEKが同様の結末を迎えるかは分からない。だが、Take-Twoがこの種の侵害を放置した前例はない。
Stop Killing Gamesは距離を置いた
CYBERLEEKがマニフェストの中で引き合いに出した「Stop Killing Games」は、名前を使われた側として即座に反応した。
2024年4月、YouTuberのロス・スコット(Ross Scott)氏が『The Crew』のサーバー閉鎖を受けて立ち上げた消費者権利運動だ。ゲームを購入した消費者がサーバー終了後もそのゲームを利用できるよう、法的・政治的手段で変化を求めてきた。請願書の署名は140万を超えている。
その運動の代表者モーリッツ・カッツナー(Moritz Katzner)氏は、Redditに声明を投稿してCYBERLEEKを明確に非難した。
この人たちにお金を送らないでほしい。どんなに共感を覚えたとしても。これは違法であり、公式の「Extended Look」(拡大版映像)公開を1週間後に控えたRockstarの開発者たちにとって、再びこの経験を強いられることに心が痛む
違法な手段で主張を通そうとすることは、我々にとって容認できない。購入したものを使い続ける権利を守ることにもつながらない。経営層の判断にどれほど強く反対しても、このプロジェクトに心血を注いだ何千人もの開発者がいる。最も大きな打撃を受けるのは彼らだ
Stop Killing Gamesは、CYBERLEEKの主張の一部が自分たちの目標と重なることは認めつつも、手段として完全に拒絶した。名前を意図的に出さず「注目を与えたくない」とも述べている。
主張は正しいか。手段は正当か
「3つの戒律」そのものに対して、多くのゲーマーが賛同の声を上げたのは事実だ。デジタルプリオーダーへの疑問、ディスクレスのパッケージ販売への不満、サーバー終了後のゲーム保存。どれもゲームコミュニティで長年議論されてきた問題だ。
だが、賛同が集まったのは主張に対してであって、手段に対してではない。
盗んだ映像に仮想通貨の広告を重ね、「正義」と呼ぶ。そのトークンは公開直後に急騰し、誰かが利益を得ている。Xでは偽のCYBERLEEKアカウントが乱立し、CYBERLEEK自身が「あれは自分ではない」と否定する事態になった。リーク映像の中にはAI生成の偽物も混ざり始めている。
8月18日 ゲームプレイ映像が流出 CYBERLEEKが映像とマップ画像を公開。仮想通貨のウォーターマーク入り 8月18日 マニフェスト公開 「3つの戒律」を掲げ、予約販売廃止・ゲーム保存等を要求 8月19日 追加映像が流出 テーザー銃やカットシーンの映像が公開。偽アカウントも乱立 8月19日 Stop Killing Gamesが非難声明 「違法な手段は容認できない」「お金を送らないでほしい」と表明 8月20日 Take-Two株価が一時下落 日中に231.58ドルまで下落。終値は240ドル台に回復 8月27日 公式映像公開(予定) Netflixで先行公開後、同日中にYouTubeでも配信予定 11月19日 GTA 6発売(予定) PS5・Xbox Series X|S向け。パッケージ版にディスクは入らない |
正当な主張を、違法行為と金銭的動機で汚している。結果として、ゲーマーの権利を訴える運動全体に対する不信を広げかねない。Stop Killing Gamesが即座に距離を置いたのは、まさにその懸念からだろう。
GTA 6の公式ゲームプレイ映像は8月27日、Netflixでの先行公開を経て、同日中にRockstarのYouTubeチャンネルでも配信される予定だ。発売は11月19日。リーク映像は2023年頃の開発ビルドとされ、最終製品とは異なる可能性がある。