Nano Banana 2 Lite、1枚約6円で最上位Proを超えた
Googleが6月30日に発表したNano Banana 2 Liteは、Nano Bananaファミリーで最も安く、最も速い。画像生成品質のベンチマークでは、最上位のNano Banana Proを上回った。API利用料は1K解像度の画像1枚あたり0.034ドル(約5.5円)、生成は4秒。同時に、動画生成モデルGemini Omni FlashのAPI提供も開始された。
最安モデルが最上位を食った
2月にNano Banana 2が発表されたとき、Googleの画像生成AIは「速度のFlash、品質のPro」という二層構造だった。Nano Banana 2はその中間を埋め、Pro品質をFlashの速度で提供するモデルとして登場した。
4か月後に出たNano Banana 2 Liteは、その構造を壊した。
正式名称はGemini 3.1 Flash Lite Image。Gemini 3.1 Flashの軽量版で、速度とコストに全振りした設計になっている。解像度は1Kのみ、推論能力は低い。Googleは初代Nano Banana(Gemini 2.5 Flash Image)からの移行先として位置づけており、初代を使っている開発者にはそのまま差し替えるよう推奨している。
ベンチマークの数字が面白い。テキストから画像を生成するEloスコアで、Nano Banana 2 Liteは1251を記録した。最上位モデルであるNano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image)の1245を上回っている。APIの利用料が桁違いに安い「Lite」が、最も高価な「Pro」の画像生成品質を超えた。
Proが得意とする4K出力や高度な推論を伴う複雑な編集では依然としてProに分がある。Nano Banana 2 Liteの出力は1K解像度に限定されており、推論能力も低い。画像編集のEloスコアではNano Banana 2(1387)がLite(1308)を大きく上回る。Liteは「速くて安い下書き用モデル」であり、すべての用途でProを置き換えるものではない。
それでも、テキストから画像を1枚生成するという最も基本的なタスクで、最安モデルが最上位を超えたという事実は軽くない。
4モデル体制の整理
Nano Bananaファミリーは現在4モデルになった。
Nano Banana 2 Lite(Gemini 3.1 Flash Lite Image)は速度特化型で、レイテンシが低く、コストも低い。画質は中程度、推論能力は低い。大量生成やプロトタイピング、リアルタイムに近い応答が必要な場面に向く。
Nano Banana 2(Gemini 3.1 Flash Image)は汎用型で、レイテンシ・コスト・画質・推論のバランスが最も取れている。日常的なクリエイティブ用途の主力モデルだ。
Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image)は高品質型。4K出力に対応し、推論能力も高い。精度が速度より重要な業務用途に向く。
初代のNano Banana(Gemini 2.5 Flash Image)はレガシー扱いとなり、GoogleはNano Banana 2 Liteへの移行を推奨している。
| Nano Banana 2 Lite | Nano Banana 2 | Nano Banana Pro | |
|---|---|---|---|
| レイテンシ | Low | Medium | High |
| コスト | Low | Medium | High |
| 画質 | Medium | High | High |
| 推論 | Low | Medium | High |
開発者にとっての判断基準は明確になった。プロトタイプや大量のバリエーション生成にはLite、日常の制作にはNano Banana 2、印刷物や最終納品物にはPro。ただしLiteのテキスト→画像品質がProと並ぶ水準にある以上、「とりあえずLiteで試す」が最も合理的な起点になる。
Gemini Omni Flash、開発者に公開
Nano Banana 2 Liteと同時に、Gemini Omni FlashのAPIが開発者向けに公開された。
Gemini Omni Flashは5月19日のGoogle I/O 2026で発表された動画生成・編集モデルだ。Geminiの推論能力と動画生成を組み合わせ、自然言語による会話型の動画編集ができる。テキスト、画像、動画を入力として受け付け、動画を出力する。発表時点ではGeminiアプリとGoogle Flowの有料ユーザー向けに提供されていたが、今回初めてGemini APIとGoogle AI Studioで開発者が直接利用できるようになった。
動画出力の料金は1秒あたり0.10ドルで、Veo 3.1 Fastと同額。現時点での生成上限は10秒。音声参照の入力やシーン拡張には未対応で、3秒を超える動画参照も正しく処理されない。シーン切り替え時のキャラクター一貫性にも課題が残る。パブリックプレビューの段階であり、制約は多い。
Googleが強調しているのは、Nano Banana 2 Liteで画像を高速に生成し、その画像をGemini Omni Flashに渡して動画化するパイプラインだ。Interactions APIを使えばセッション内で最大3回の逐次編集もできる。デモアプリとして、自撮り写真を世界の名所に合成する「Anywhere」、部屋の写真からインテリアを提案する「Space Lift」、商品画像から動画広告を生成する「Omni product studio」の3つが公開されている。
画像生成が1枚4秒・約6円で完了し、そこから動画化まで1本のAPIで繋がる。マーケティングやECの広告素材を大量に制作する開発者にとっては、コストと速度の両面で選択肢が広がった。
Googleが作ろうとしている流れ
2025年8月、初代Nano Bananaが登場してバイラルした。GeminiアプリやGoogle Flowで誰でも無料で画像を生成できるようになり、日本語テキストの描画精度が向上したことで、スライドやSNS投稿の素材作りに使う人が一気に増えた。
Googleはその流れを止めていない。2月にNano Banana 2で品質を引き上げ、6月にNano Banana 2 Liteでコストを引き下げた。同時にGemini Omni FlashのAPIを開放し、画像から動画への導線を整えた。消費者向けサービスには即日展開されており、AIモード検索、Geminiアプリ、NotebookLM、Googleフォト、Stitch、Google Flow、Google広告のいずれでもNano Banana 2 Liteが使える。
個人が無料で触れるGeminiアプリから、開発者がAPIで組み込む業務システムまで、画像生成と動画生成を一貫して提供する。初代の登場から1年足らず。Googleは画像生成AIを、特定の用途のツールではなく、自社サービス全体に埋め込むインフラとして扱い始めている。
参照元:Start building with Nano Banana 2 Lite and Gemini Omni Flash
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